森友学園問題で橋下徹と松井知事の言い逃れがヒドい!『橋下×羽鳥』でも公共の電波を使った論点ずらしが

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テレビ朝日『橋下×羽鳥の番組』公式サイトより


 学校法人森友学園の問題で、相も変わらず安倍首相はヒステリックに責任逃れに必死だが、醜態を晒しているのは総理だけではない。国と同じように森友学園への関与が疑われている維新の会だ。

 たとえば、これまで松井一郎・大阪府知事は小学校認可について「教育長の権限にああせえこうせえと言うのは越権行為」などと安倍首相と同じように言い逃ればかりだったが、6日になって「(認可は)難しい」として今年度の認可を事実上見送る発言を行い、森友学園による大阪府に開校総事業費を3倍近く上乗せしていた件などの虚偽報告問題についても、7日に「補助金詐欺なら刑事事件になる」と言及。一方で、大阪府私立学校審議会で異論が噴出しながらも認可を急いだ理由などについては、一切、納得のいく説明を行っていない。

 さらに松井府知事は、「(申請するのは)教育者なので性善説に立っていた」などとまるで自分たちが被害者のようなことを言い出す始末。「教育改革」とやらで現職の教員たちを徹底的に監視する体制を築き、国歌斉唱の口元チェックまで行わせていたのに、なぜ森友学園には「性善説」に立つのか、意味がわからない。

 松井府知事の態度は籠池泰典理事長に全責任を負わせ、日に日に高まる世間の“森友批判”に便乗するかのようだが、しかし、松井の上をゆく浅ましさを見せているのは、無論あの男、橋下徹・前大阪市長だ。

 そもそも大阪府では、資金繰りの問題が生じないようにという観点から、小学校や中学校の設置した実績がある学校法人にしか借入金による小学校開設を認めていなかった。そのため、森友学園は2011年に小学校の設置認可の基準を緩和してほしいと要望したのだが、その際の府知事が橋下だった。その後、松井府知事にバトンタッチされた後の2012年4月に基準緩和は実施され、しかも、この基準緩和後に小学校の認可申請をしたのは森友学園の1件のみ。まるで森友学園のために基準を緩和したとしか考えられない不自然さだ。

 だが、橋下は今月1日、Twitterで認可申請が森友学園の1件しかないことを〈それが何か?それは現代段階での話だろ〉(原文ママ)と反論。〈大阪府は森友の要望を受けて基準を改正した。それは僕の私学審議会・設置基準が既得権化しているこことを是正せよとの大号令に基づく〉(原文ママ)と自身の関与を認めつつも、〈ただ僕が直接要望は受けていないし、金も貰っていない。部局が大阪のまずいところを是正しただけ〉と開き直ってみせたのだ。

 さらに、橋下はTwitterだけでは飽き足らず、6日放送の冠番組『橋下×羽鳥の番組』(テレビ朝日)にて森友学園問題を取り上げ、“自分の言い分”を垂れ流したのである。

 番組で橋下は、「(自分が)基準を変えたのは間違いない」と認めつつも、従来、大阪府が設けていた設置基準について「他の都道府県にはやっぱり、あまりない規定なんですよ。(学校法人に)借り入れがあっても、ちゃーんと具体的な中身を見て大丈夫だったら小学校建ててもいいよっていう都道府県もある。だから大阪府はそっちのほうに合わせたんですよ」と主張した。

 しかし、この橋下の主張はまったく筋が通っていない。私学審の議事録によると、文科省が定める基本金さえ森友学園がゼロであることから「計画性がない」と不安視。橋下は「ちゃーんと具体的な中身を見て」などと言うが、私学審の委員たちが「中身を見た」結果、認可答申を保留したにもかかわらず、その約1カ月後に開かれた臨時会で一転して認可適当とされたのだ。

 だが、橋下は同番組にゲストとして出演していた民進党の玉木雄一郎議員にこの基本金がゼロだったことを指摘されると、今度は「今回の件、全部時系列を追っていろんな関係資料読みましたけども、これは大阪府も、それから国も、この……森友学園ですか? あの小学校をあそこの土地に建てると絵を描いていたことは間違いないです」と言い、「国交省の(国有地売却先公募の)声のかけ方が姑息」「政府与党の説明は官僚答弁」などと政府批判を展開。府知事として基準緩和した自身の責任問題から話の流れを強引に変えたのだ。

 しかも姑息なのは、政府批判をしながらも橋下は「首相の奥さんがHPに顔出したとか、そんなところは責任あるかもしれないけども」などとこっそり安倍首相を擁護。昭恵夫人は名誉校長に就いていたからこそHPに顔を出していたわけだが、そうした事実は無視しようとするのである。

 挙げ句、橋下は、いきなり「全国の自治体ではですよ、朝鮮学校も敷地は無償貸し付けです」と、まるで森友学園以上の不正であるかのようにお得意の朝鮮学校無償貸与問題を俎上に載せたのだ。

 橋下の詭弁には呆れかえるほかないが、このような話のすり替えがまかり通るはずがない。いま、これだけ森友学園の国有地払い下げが問題になっているのは、当初、売却額さえ非公表にされ、しかもそれは驚きの激安価格で、さらには小学校設置認可や土地取得の過程にあからさまなまでに不自然さがあり、政治家をはじめとする権力者の関与がなければ不可能と言うべき事態となっているからだ。

 そして、「政治家の関与疑惑」のなかには維新の存在もある。実際、私学審が設置認可に難色を示した直後に、大阪維新の会所属の中川隆弘大阪府議が籠池理事長より小学校設置認可の働きかけを受けていたことが発覚。それだけではなく、上西小百合議員も〈私が国会議員になった4年前、維新から「塚本幼稚園」を視察してその素晴らしさを広めろと命じられました〉と明かしているし、そのほかにも籠池理事長の子息が維新の足立康史議員の「私設秘書」をしていたとHPに明記していた件(足立議員は雇用事実はないと否定)など、森友学園の疑惑には維新の陰がちらついている。

 だが、橋下は、疑惑には何も言及せずに問題を朝鮮学校への土地無償貸与にすり替えるのである。そもそも、朝鮮学校の公有地無償貸与は、市民に公表されないまま秘密裏に行われることなどないし、橋下が大阪市長だった2011年には、朝鮮学校と同じように学校教育法に規定された一条校に該当せず「各種学校」とされる大阪YMCAインターナショナルスクールに対し、大阪市は旧中津南小学校の施設を無償貸与することを決定している。

 つまり橋下は、朝鮮学校などをめぐる大衆の差別感情を利用して論点を森友学園からずらし、維新の関与という疑惑の目をはぐらかそうとしているだけなのだ。──大衆の劣情につけこむやり口は橋下の常套手段とはいえ、あまりに下劣と言わざるを得ないだろう。

 いや、橋下が下劣なのは話のすり替えだけではない。問題の当事者である橋下が、このような“言い分”を自分に有利な“編集”が施された上、公共の電波を使って垂れ流させたことだ。同番組は、メインMCの橋下の主張が結果的に正論であるかのごとく毎度のように帰着するが、この日の放送でも、森友学園の問題を追及するはずが、橋下の主張に乗っかって最後にはテーマを「値下げは森友学園だけじゃない!? 橋下が語る行政の実情」などと朝鮮学校の話へ誘導し、森友学園の疑惑は「よくあること」と言わんばかりに見事に矮小化して終わっている。こんな当事者の一方的な言い分に番組制作者が相乗りして放送すること自体、放送法違反に値するだろう。

 冒頭で指摘した松井府知事に対してもそうだが、なぜマスコミは森友学園の認可をめぐる維新の疑惑に切り込まないで、連中のこんな詭弁や言い逃れを垂れ流し続けるのか。

 今後も連中は必死になって詭弁を弄することと思うが、視聴者は騙されることなく、冷静に「橋下と松井は何を隠したがっているのか」を見てほしいと思う。
(編集部)

最終更新:2017.11.21 12:42

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