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『朝まで生テレビ』に自民党区議が一般人装い出演! でも“自民党のサクラ”もアベノミクス効果は完全否定(笑)
テレビ朝日『朝まで生テレビ!』番組サイトより
元日放送の『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)に“自民党の工作疑惑”が浮上している。なんでも、客席から「一般人」としてアベノミクスについてコメントした人物が、なんと、自民党の現役大田区区議会議員であり、しかも「民主党政権よりも安倍政権のほうが景気がよくなっている」と発言したというのだ。これに「やらせじゃないか!」「自民党の工作か?」と批判が殺到しているのである。
この日の『朝生』は、「激論!安倍政治~国民の選択と覚悟~」と題して、さまざまな安倍政権の政策をめぐり出演者が議論するという内容だったが、問題の場面は、アベノミクスの元祖三本の矢について、司会の田原総一朗氏が「中小企業の実態が聞きたい」として客席に話題をふったときのこと。
渡辺宜嗣アナウンサーから、「大田区で建築板金業を営んでいる」と紹介された大森昭彦氏は、数分間に渡り建設業界の景気について語ったあと、こう答えた。
「いや、あの〜、(笑)、民主党政権のときよりかはまだいいかなって、そりゃ印象ありますけども」
ところが、番組放送中から、ネットではこの大森氏の正体が自民党区議であると指摘され、たちまち「一般人に扮した自民工作員が『民主よりマシ』と発言した」なる情報が拡散。番組に出演した小林よしのり氏も自身のブログで「あきれた!」「どうも今回の『朝ナマ』は奇妙な感じがしたのだ」と疑義を呈し、目下『朝生』は炎上中である。
事実、自由民主党大田区連合のホームページをみると、大森氏のプロフィールが写真とともに掲載されており、03年の統一地方選で初当選後、09年には大田区議会自民党幹事長も務めた現役区議であることが確認できる。
スポーツ報知によれば、取材に対して大森氏は「番組へは自民党の区議という立場ではなく、町工場の経営者として出演し、意見を言いました」「自分は、工場の経営者として観覧したので、(大田区議であることを)言う必要はないと考えていました」と答えている。
だが、現役自民党区議が肩書きを隠し、あくまで一般人のフリをして安倍政権についてコメントしたことは、明らかだろう。
大森議員は、番組出演時にはスーツ姿で、胸には「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)のブルーバッヂと、JOC(日本オリピック委員会)のエンブレムと思しきバッヂをつけていたが、議員バッヂは確認できなかった。わざわざ外していた可能性が高い。
これはもしかしたら、例の「自民党ネットサポーターズクラブ」(J-NSC、通称ネトサポ)がネットでやっていることと同じ手法ではないのか。ようするに、実際は自民党の仕込みなのに、まるで一般市民を装って、安倍政権を絶賛し、民主党などの野党政権を批判。それがあたかも世論であるかのように、拡散させていく、というやつだ。
今回、自民党が個別にそんな指令を出していたとは思わないが、安倍体制になって党全体にこういう“サクラ工作”を奨励する空気があることは事実だ。今回はそれを、迂闊な区議がまさかの顔出しでやってしまったということだろう。
ただ、ネットでは触れられていないが、その“自民党のサクラ”であるはずの大森議員は、意外なことも述べていた。それは「アベノミクスの効果が感じられない」という発言だ。安倍政権の3年間で収益は上がったか、アベノミクスは効果があったかと聞かれるたび、大森議員はこう答えていた。
「上がっているという印象はないです。私だけではなくて、同業の人たちに聞いても、上がっているという印象はないかなと思います。やはりコストがかかったりしているところが波があるので、平均に慣らすと、やはり利益が上がっているという印象はちょっとないんじゃないか」
「私の場合は街場の業者なんですよ。ゼネコンの方達と取引している業者とまあちょっと違うので、構造的にちょっと違いがあるので」
「われわれの業界だけでいうと、(アベノミクスは)あまり効果的には伝わってないって印象ですよね」
「直接アベノミクスというところでは、あまり感じてないんです、われわれは」
このように、地域の中小企業経営者の実感からアベノミクスの効果を繰り返し否定しつつ、“儲かるのは大手ゼネコンと取引している業者だけ”とすら説明していたのだ。
今ネットで問題視されている「民主党時代よりはマシ」発言も、むしろ、田原氏の誘導質問に答えた形で、「(アベノミクスは)悪かったっていうより、今ちょっとやや横ばいなのかな、って印象はあります」と、安倍政権の経済戦略に疑問を呈して発言を終えていた。
つまり、“自民党のサクラ”であるはずの自民党区議でさえ、自分の経営している中小企業の実態を聞かれたら、「ない」「儲かっているのは大企業だけ」と答えざるをえなかったということだろう。
ここで、一昨年の衆院選前を思い出してほしい。安倍政権は、アベノミクスの評価を聞く街頭インタビューを放送したTBS『NEWS23』へ対し「厳しい意見を意図的に選んでいる」とまくしたて、在京キー局に〈公平中立ならびに公正〉を盾にした圧力文書を見まった。さらに“アベノミクスは全体に波及していない”と報じたテレビ朝日『報道ステーション』に対しても恫喝文書を送りつけて、〈アベノミクスの効果が、大企業や富裕層のみに及び、それ以外の国民には及んでいないかのごとく断定する内容の報道〉と批判、「放送法」4条を持ち出して露骨に圧力をくわえていた。
ところが、今回の『朝生』では、他ならぬ自民党議員自身が“アベノミクスの失敗”を証言しているのだ。
今回、問題にすべきなのは、サクラ工作よりもこちらのほうだろう。安倍自民党は、恫喝文書を送りつけたテレビ局と有権者に謝罪すべきではないのか。
(宮島みつや)
最終更新:2016.01.03 09:57
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