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初中出し撮影で妊娠…AV女優とAV監督の“職場結婚”夫婦が明かすマル秘結婚生活
『溜池家の流儀 AV夫婦の仲良しマル秘夫婦生活』
昨年、一般既婚者を対象に行った「結婚に関するアンケート調査」(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)によると、「結婚相手と出会った場所」第1位はダントツで「職場」だという。そういえば、今年に入り結婚した芸能人19組中7組が芸能人同士。これも“職場結婚”の割合の高さを表しているといえるだろう。
さてここにも一組、職場結婚の末、幸せな家庭を築いている夫婦がいる。AV監督の溜池ゴロー氏と、元AV女優で小説家の川奈まり子氏だ。
たしかにAV業界でも職場結婚は少なくない。AV女優とAV男優、監督、マネージャー、カメラマン……。しかし、そこはやはり、他の異性とセックスをする複雑なお仕事。なかなか結婚生活はうまくはいかず、一説には離婚率90%以上ともいわれている。
そんななか、業界ではおしどり夫婦として知らない者はいないのが、この溜池氏と川奈氏。いったい、その円満の秘訣は何なのだろうか。このほどふたりが『溜池家の流儀 AV夫婦の仲良しマル秘夫婦生活』(双葉社)を上梓したので、その理由を探ってみた。
まずは、ふたりのなれそめだが、もちろんAVの現場であった。
当時、川奈は30歳前後。夫とセックスレスゆえ、〈パソコン通信の先駆けだったニフティ・サーブの『大人の掲示板』にハマり、掲示板上で「セックスフレンド募集」と謳って女性を募っている投稿主を選んで、連絡を取り合い、デートするように〉なっていたという。
そんな遊びを1年間続けた結果、〈だんだん気が弛んで選球眼が曇ったようで、悪いヤツに引っ掛かって〉しまう。男に「バラされたくなければAVに出演してギャラの7割をよこせ」と脅されたことをきっかけに、その状況を助けてくれたAVプロダクション社長の事務所に所属することになった。
そして1999年春先、離婚した直後にデビュー。AV女優・川奈まり子が誕生した。しかし、しばらくはまったく売れず、ほとんどの面接に落ちては〈「パンチラ100連発」というパンツを見せるだけのビデオに出たり、本物の盗撮ビデオという「設定」のウソ作品にデリヘル嬢という「設定」で顔にモザイクをかけられて出演したり、そんなものしか仕事が回ってこなかった〉という。
一方、そのころ、「美少女単体作品のエース」として業界内で名を馳せていた溜池ゴロー氏は、世話になっているメーカーに「熟女ものを撮らせてほしい」と頼んで回っていたが、メーカー側は〈熟女なんてキワモノを監督して、名前を下げさせるわけにはいかない〉と一蹴。唯一、ソフト・オン・デマンドの高橋がなり社長だけが〈二つ返事でOK〉してくれたという。
そして同年4月、それまでメーカーに任せきりだったキャスティングに、自ら初めて挑む溜池の前に現れたのは、書類審査をくぐり抜けた6人のうちの1人、川奈だった。
初めてのキャスティングを任された溜池だったが、どうやって選べばよいか分からない。そこで、〈ヒクソン・グレイシーの試合前の流儀にならって、10日間セックスもオナニーもせず、ザーメンを溜めることにした。ヒクソンはそうやってエネルギーを体内に充満させて試合に望むそうなのだ〉〈僕はこうして肉体を研ぎ澄まして女優さんに会い、最初に勃起した人に主演をお願いすることにした〉という。
そんな臨界状態で出会った川奈に溜池は、〈理想が服を着て歩いている〉と、一目見た瞬間から恋に落ちていた。
川奈はセックスフレンドの人数を聞かれれば「4人います」と淡々と答え、熟女モノの官能小説の文庫本を手渡され、朗読を促されると、素直に読んだ。溜池はうっとり聞き惚れ、「いいですねぇ」と感動の面持ちを浮かべていたという。
もちろん、キャスティングは彼女に決まりだった。しかも、面接が終了すると、ご法度であるにもかかわらず溜池は思わず川奈へ、プライベートアドレスを書き加えた名刺を直接渡す。
それから毎日、〈寝ても冷めても彼女のことが気になって〉仕方がない溜池だったが、一方の川奈は主演作に抜擢されても、撮影初日も平常心。そして、〈こっちがビジネスライクに無駄なくやろうとしても、溜さんは人懐っこい犬みたいにじゃれついて〉きたのを邪険にできずにいたらしい。
だが、そのうち彼女のなかにも変化が起こる。
〈撮影期間四日間、カメラが回っている間もずっと彼とだけ話をしている感覚にとらわれるようになり、気がついたときには、スタジオの中で移動するたびに私の方から彼を探して、姿を目で追うようになっていました〉
川奈も恋を自覚した瞬間だった。かくして、発売した『義母まり子34歳』は爆発的ヒットを記録。AV界に美熟女ブームをつくり出し、今日までの熟女ブームに続いている。
すぐに付き合い出したふたり、お互いのセフレは離れていったが、実は溜池には10歳年上の内縁の妻がいたという。
川奈は彼女の話を聞いてはいたが、〈一度も奥さんの悪口を言いませんでした〉という溜池と彼女の関係に、一度も嫉妬したことがなかった。
溜池はそんな川奈の境地まで降りようと、加藤鷹に川奈を抱かせたところを、いつもはカメラマンが撮るのに自ら撮るという、いわば「寝取られ」作品も製作している。
2000年1月1日、「カミさんとは、川奈とするようには自由に話せない。川奈にはすべて曝け出せるけど、カミさんには見せられるのは俺のほんの一部だけなんだ」というように募る川奈への想いが止まらなくなっていた溜池は、内縁の妻に別れを切り出した。
しかし、すんなりとは別れられなかった。溜池は家に監禁され、包丁をつきつけられ、内縁の妻は手首を切り、川奈の実家には怪文書が送られ、ふたりは必要最低限の荷物片手に、ウィークリーマンションへ逃亡した。同年2月末にやっと示談で事態が収束したが、溜池は無一文に、川奈の貯金も底をつきていたが、そんな状況がふたりの絆を深めていた。
かなりドラマティックな展開で、結婚のきっかけもさぞドラマティックに違いないと思いきや……。
それは、川奈の引退作について、ふたりがプランを練っていたときだった。いままでやっていないプレイを入れようという話になり、
〈川奈「ウンウン考えていたら、“あっそうだ、《生中出し》はしたことなかった”って気付いて……」
溜池「じゃあ初めてハメ撮りしたところに行って、最初で最後の中出しをしよう、と。中に出したら赤ん坊もできちゃうかもしれないから、もしも妊娠したときのことを考えて先に籍を入れておこうって決めたんだよな」〉
しかし、女優と結婚するということは、いわば「プロダクションの大事な商品に手を出した」ことである。筆者も、AV女優に手を出し、「早朝6時に呼び出され、『いますぐ喫茶店を開けてこい。そこで話をつけてやる』と言われ、街中のドトールのシャッターを泣きながら叩きまくった」男や、「会社から帰宅中、突然目の前に黒塗りの車がついたかと思うと、ドアが開き引きずり込まれ、事務所に連れられ数時間土下座させられた」男を知っている。
どちらも最終的には多額の金を払い解決しているが、溜池は一体どんな目に遭ったのだろう……。
〈溜池「社長に“川奈をください!”ってワシが頭を下げたら、社長さんが、ワシじゃなく、そばで見守っていた川奈に向かって“生きたまま伝説になれ!”って言ったんだよ」〉
どうやらすんなりいったようだ。さらに、双方の家族も大歓迎。
〈溜息「ワシにも川奈にもそういう特殊な事情があったから、双方の親はもろ手をあげてワシらの結婚に賛成。“やっとまともな形に収まってくれるんだ”って思ったんだと思う」〉
〈川奈「それまでの私たちの行いが、親にとってみたら悪すぎたから、私たちが結婚することを一種の更生ととらえたフシがある(笑)」「AV監督だからダメだとか元AV女優だからイヤだとか全然言われなかった」〉
おめでたいことはまだまだ続く。引退作発売日、引退イベント後に生理が来ないことに気付いた川奈は、〈「イベントの後、薬局で妊娠検査薬を買ってきて検査したら陽性だった」〉、つまり、妊娠していたのだ。
それからの溜池は並の“イクメン”など鼻で笑いたくなるほど徹底している。タバコや酒を止めたのはもちろん、〈出産予定日の前後一週間ずつ、計2週間、仕事を入れなかった〉と言い、当時のことを〈そういうときは何が何でも休まなくっちゃ。妻が出産するんだよ? 最優先にしなくてどうする?〉と述懐する。
さらに出産後には息子が生まれたことを神に感謝するため、毎朝5時に「神様ありがとう」と唱えつつ涙を流しながら走っていたという。坊主頭に黒尽くめで。
異様な光景に川奈は笑うが、こういった円満な夫婦生活はAV業界人同士ではなかなかむつかしいだろう。それはふたりも、自覚している。
〈川奈「夜遅くまで一生懸命仕事して、家では私を労ってくれるし、暇があると何か勉強してるし、私は凄い人と結婚してしまったんだと思った」
溜池「でも、やっぱりワシらみたいなケースは珍しいんだろな」
川奈「AV業界人同士が結婚して家庭を築くってこと?」
溜池「そう。普通に穏やかに家庭で暮らすのって、特にAV出演している人たちにとっては難しいことだから……」〉
ふたりが“普通”以上に穏やかに、幸せに暮らせているのは、結局、お互いへの思いやりや尊敬の気持ちという当たり前のことがあるからだろう。本書にはこんな言葉が散りばめられている。
〈終わらない恋も、永遠の愛も、どうやら本当にありそうな気がしてきた今日この頃です〉
普通なら、クサすぎる台詞だが、この2人の言葉だと思うと、すんなり受け入れられそうな気がしてくるのが不思議である。
(羽屋川ふみ)
最終更新:2015.06.08 09:33
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