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AKBが“握手会”批判封じ込めに成功! 完璧すぎる情報統制の手口
映画『DOCUMENTARY of AKB48 The time has come 少女たちは、今、その背中に何を想う?』公式HPより
7月5日、AKB48の握手会が再開された。5月25日の襲撃事件以来、実に41日ぶりの再開だ。
メンバーが暴行を受けて重傷を負うというショッキングな事件をめぐっては、当初、アイドルとファンの接触をビジネスにする商法の問題点も指摘され、一時は握手会の存続さえ危ぶまれていた。それが、わずか1カ月半後、なんの批判も受けずに再開されたのである。当然のように、各地での全国握手会再開も決定された。
「実はこのタイミングで握手会を再開する事はかなり前から決まっていました。ただ、早めに発表してしまうと、また批判が起きかねない。それで、ギリギリまで伏せて、直前に再開を発表したんです」(週刊誌記者)
しかも、その発表の方法が相当に戦略的だった。まず6月29日、これまで事件について沈黙を守ってきた秋元康が読売新聞の連載で、「傷ついた彼女たちは立ち上がり、前に進んだ」とコメントする。翌6月30日には事件で負傷した入山杏奈が秋葉原の専用劇場のステージに立ち、事件以来、はじめてファンの前に姿を見せて挨拶。さらに同じ日、公開間近のAKB48のドキュメンタリー映画『DOCUMENTARY of AKB48 The time has come 少女たちは、今、その背中に何を想う?』で襲撃事件を取り扱っているという情報を流す。そして、しめくくりとして、同日夜、キングレコードが握手会の再開を発表したのだ。
こうした情報戦が功を奏したのか、4日後の7月4 日に公開された問題の映画はヒット、翌5日、東京ビッグサイトで数万人のファンを集めて大握手会が開催された。AKBグループとしては、最大の集金装置であるイベントの復活だけでなく、事件をさらなるビジネスに結びつけるという、まさに思惑通りの展開になった。
このやり口に対して、「事件からまだ2カ月半しか経っていないのに」「何でも金に換えるんだな」といった批判がとびかっているが、新聞、テレビ、週刊誌などのマスコミはほとんど異議を唱える事はなかった。それどころか、スポーツ紙や一部の週刊誌はこの情報操作の共犯といってもいい役回りを演じていた。
「スポーツ紙はほとんどの番記者が再開のタイミングを知っていました。知っていながらそこは一切報道せずに、運営側が小出しにしてくる情報に丸乗りして、“事件を乗り越えようとするAKB”というイメージをPRし続けたんです」(スポーツ紙記者)
周知のように、AKBはメンバーのグラビア出演をはじめ、カレンダー、パンフレット、公式本などの“利権”を各社に分配することで、メディアを手なづけてきた。2〜3年前から、AKBのスキャンダルを書けるのは「週刊文春」(文藝春秋)だけ、という状態がずっと続いている。その関係が今回、存分にいかされたようなのだ。
実際、襲撃事件直後から、マスコミは運営の意を受けて、事件がAKBビジネスに影響を与えないように報道を誘導してきた。前出のスポーツ紙記者が自嘲気味にこう話す。
「運営側は当初、事件そのものを“なかったこと”にしようとした節さえありました。一部のスポーツ紙では文化芸能部がそれをのみそうになって、社会部と大もめにもめたと聞いています。ただ、事件については、Twitterで情報が出回り、共同通信も配信したので、さすがに報道しないわけにはいかない。そこで、運営側がいってきたのは、目前に控えた総選挙と絡めるな、異常者がおこした例外的な犯罪であることを強調してくれ、というお達しでした。もちろん、各社とも全面協力でしたよ」
さらに、握手会が中止に追い込まれる事を危惧した運営は、担当記者たちに「事件と握手会とは関係がない」というロジックをレクチャーし、擁護記事を書かせていたという。
「握手をしてレコードを売るというのは、昔から演歌歌手などもやっている、芸能界全体でやっていることだと強調してくれ、という要請でした。つまり、AKBは特別なことをやっているわけじゃない、と。実際、一部のスポーツ紙や週刊誌ではこのレクチャーどおりの論調で記事を書いていて、思わず笑ってしましましたね」(前出・スポーツ紙記者)
ようするに、こうしたマスコミの情報誘導によって、AKB商法追求の動きは完全に封じ込められ、なんの批判もされないまま、握手会復活が実現してしまったのだ。
それにしても、いくら利権を分配されているとはいえ、ここまでメディアがAKBの言いなりになってしまう理由はなんなのだろう。
「AKBのマスコミ対策は、テレビをケイダッシュのS氏が、週刊誌やスポーツ紙を秋元康さんの弟さんがやっているんですが、この弟さんがすごくうまいんですよ。たんに利権をばらまくだけでなく、メディアとまめにつきあって、うるさ方の雑誌編集部のキーマンをことごとく取り込んでしまっている。しかも、講談社や小学館だけでなく、『BUBKA』のようなマイナーなメディアまで差別せずにそれなりの利益を分け与えてコントロールしていますからね」(前出・週刊誌記者)
秋元弟氏がそこまですごい手腕をおもちなら、いっそメディア対策のノウハウを指南するビジネス本でも書いたらどうだろう。企業の広報担当者がこぞって買いに走って、ベストセラーになることうけあいだと思うのだが……。
(田部祥太)
最終更新:2014.07.08 08:09
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