ぼうごなつこ『100日で崩壊する政権』を読めば、安倍首相が病気で辞任ししたのでなく国民が声をあげ追い詰めたことがよくわかる

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連載100日目に安倍政権は崩壊していなかったが、ぼうごは「私たちには力がある」と

 しかし、『100日で崩壊する政権』には課題があった。実際に100日目になったらどうするのかという問題だ。『100日後に死ぬワニ』はフィクションなので、作者の意思でワニは確実に100日後に死なせることができる。しかし、『100日で崩壊する政権』はノンフィクションなので、ぼうご氏が自分の意思で、100日で政権を崩壊させられるわけではない。たとえ電通が付いていたとしてもさすがにそんな仕込みは無理だ(そもそも電通と政府の癒着も批判しているこのマンガに、電通が付いているはずもないが)。

 安倍政権が崩壊しないまま迎えた100日目、いったいどうするのか? そう思っていたら、ぼうご氏のマンガは読者にこう語りかけた。

「私たちは日本の政治も社会もこの政権も 覆せない宿命のように思い込んでいませんか?」
「今まで無力だと思い込んできたけれど私たちには力がある」
「微力かもしれないけれど確実に力がある」

 たしかに〈100日目〉が書かれた7月5日には、現実の安倍政権は終わっていなかった。しかし、ぼうご氏が「私たちには力がある」と訴えたとおり、3月下旬から始まった100日間連載のあいだ、人々が声を上げることが現実の政治を動かしていくということをいくつも証明した。

「有事なんだから批判するな」「一致団結しろ」という批判封じの声もあったが、検査体制も治療体制も後手後手で、生活支援策もほとんどやろうとしていなかった安倍政権に、多くの国民が声を上げた結果、少しずつではあるが、政府を動かし、支援策を引き出してきた。対象を絞りに絞った30万円給付案が土壇場でひっくり返り、一律10万円給付が決まった。強行採決目前だった検察庁法改正案は廃案となった。電通に決まっていたとされる「GoToキャンペーン」の事務委託先の公募も一旦見直しとなった。

 しかも、この連載完結から約50日後の8月28日、安倍首相は辞任を表明、政権は本当に崩壊してしまう。約50日遅れとはいえ、これはワニもびっくりの展開だろう。

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