早野龍五・被曝論文の重大誤りに糸井重里は? 福島原発後に“放射能汚染たいしたことない”論を振りまいた責任

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

早野龍五にお墨付きを与えスターダムに押し上げた糸井重里の責任

 原発事故後、早野氏は上記のようにTwitter上でさまざまな投稿をおこなっていたが、その投稿を目にした糸井氏は早野氏を「信頼できる」と考え、2014年には共著『知ろうとすること。』(新潮文庫)を出版。さらに2016年には18歳未満の入場を制限していた福島第一原発構内を高校生と一緒に見学したほか、ふたりは親交を深め、現在、早野氏は「ほぼ日刊イトイ新聞」のサイエンスフェローを務めている。

 こうして早野氏は一躍名を馳せ、他のメディアでも〈科学的で冷静〉(読売新聞)、〈「事実」を分析し、ツイッターで情報を発信し続けた〉(BuzzFeedNews)人物として登場してきた。このように早野氏を「信頼できる学者」として社会的な評価を押し上げたのは、言うまでもなく、糸井氏による“プロデュース”と“お墨付き”があったからだ。
 
 実際、ベストセラーとなった『知ろうとすること。』で糸井氏は、「正しい方を選ぶ、っていうときに考え方の軸になるのは、やはり科学的な知識だと思うんですよ。ところが、放射線に関しては、怖がってる人たちに正しい知識がどうも伝わっていない」と述べた上で、早野氏とこう会話している。

糸井「とりわけ、早野さんがご自分で実際に計測や分析を重ねて、はっきりといえることはなんでしょう」
早野「いまの時点で明らかなのは、さまざまな調査や測定の結果、起きてしまった事故の規模にたいして、実際に人々がこうむった被ばく量はとても低かった、ということです」

 論文の大きな間違いが指摘されたいまでは、なぜこうもはっきりと言い切れるのかと疑いをもたずにはいられないが、同書のなかで早野氏は、1973年に中国が大気圏内核実験をおこなった際の東京のフォールアウト(放射性降下物)の数値と、福島での事故の数値を気象研究所のデータを使って比べ、このように話している。

「少なくとも首都圏に関しては、1973年のフォールアウトと比較しても、それほど心配するレベルではないなと」

 これと同様のことを早野氏は2011年3月14日にツイートしていたため、糸井氏は「ああ、そのツイートはよく覚えています」と言い、こうつづけるのだ。

「そうそう、当時、早野さんのツイートを読んでいたときの気持ちを思い出してきました。早野さんは「安心しなさい」みたいなことは一言もおっしゃってなくて、ただ事実をツイートしてたんですよ。みんなが大騒ぎしているときに、淡々と」
「(事故発生当時は)ネット上でいろんなことを声高に主張している人がたくさんいて、ちょっと怖いくらいでしたよね。そんな中で、早野さんは冷静に事実だけをツイートしていて。ああ、この人は信頼できる人だ、と思ったんです」

 だが、じつは糸井氏が「事実」「冷静」と評した早野氏のこの話には疑義が呈されている。今回、早野氏の論文の間違いを指摘した黒川真一KEK名誉教授が、「気象研究所のデータを見るとそんなことは全然ない」と反論しているのだ(「週刊金曜日」2017年6月30日号)。

 たしかに、1950年代半ばから記録されている気象研究所のデータを見る限り、2011年の原発事故直後から、セシウム137の平方メートルあたりの月間数値は桁違いに増加している。早野氏の言う1973年と比較しても圧倒的に高い値を示している。どうしてこれが「それほど心配するレベルではない」と言えるのか。黒川氏は「何の根拠も示さずに「心配するレベルではない」と言ってしまう態度は不誠実です」と早野氏を批判しているが、それは根拠を問いただすこともなく「事実」「冷静」と評価した糸井氏にも同じことが言えるだろう。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

早野龍五・被曝論文の重大誤りに糸井重里は? 福島原発後に“放射能汚染たいしたことない”論を振りまいた責任のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。放射能早野龍五福島原発事故糸井重里編集部黒川真一の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 伊藤詩織氏への名誉毀損ははすみとしこ氏だけじゃない、国会議員も
2 文通費問題で「やる気なし」なのは維新!松井代表がセルフ領収証OKに
3 『バイキング』坂上忍パワハラ報道は政権批判潰しだった!
4 クーポン券事務費967億円「過大でない」は嘘 子ども食事支援は22億円
5 吉村知事がコロナ協力金めぐる税金無駄遣いを棚上げし岸田クーポン批判
6 葵つかさが「松潤とは終わった」と
7 玉川徹が『ドクターX』に出演して岸部一徳に言われた一言
8 橋下徹がれいわ・大石あきこ議員に粘着攻撃で「大石パニックおじさん」の異名
9 宮台真司「ネトウヨは感情の劣化」
10 岸田首相のオミクロン対策はザルだ! 入国禁止は外国人だけで差別性丸出し
11 菅政権で「公費不倫」の和泉洋人首相補佐官が“再任、官邸官僚のトップに
12 安倍晋三に中国電力から原発マネーが 
13 文通費どころじゃない!維新が政党交付金も返還せず掠め取り
14 三原じゅん子が「政権を握っているのは総理大臣だけ」と無知発言
15 ジャニーズタブーで犯罪もみ消し
16 安倍首相が百田尚樹『日本国紀』をPR
17 瀬戸内寂聴が生前、「美しい憲法を汚した安倍政権は世界の恥」
18 政治資金報告書で「維新」議員の文通費横流しとデタラメ使途が続々判明
19 小倉優香の番組中「辞めさせてください」の本当の理由は番組のセクハラ
20 安倍晋三の総裁選支配に今井尚哉、北村滋の二大側近がまたぞろ暗躍か!
1吉村知事がコロナ協力金めぐる税金無駄遣いを棚上げし岸田クーポン批判
2自民党の“アシスト係”維新が賛成した最悪の法案総まくり
3クーポン券事務費967億円「過大でない」は嘘 子ども食事支援は22億円
4安倍晋三に中国電力から原発マネーが 
5橋下徹がれいわ・大石あきこ議員に粘着攻撃で「大石パニックおじさん」の異名
6コロナ禍で困窮のさなか介護料を月6.8万円爆上げの鬼畜
7吉村知事が府の施設に「表現の不自由展」使用許可を取り消すよう圧力!
8政治資金報告書で「維新」議員の文通費横流しとデタラメ使途が続々判明
9伊藤詩織氏への名誉毀損ははすみとしこ氏だけじゃない、国会議員も
10岸田首相のオミクロン対策はザルだ! 入国禁止は外国人だけで差別性丸出し
11文通費問題で「やる気なし」なのは維新!松井代表がセルフ領収証OKに

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄