宇多田ヒカル「音楽に責任はありません」にSKY-HIが異論!「この国の問題に目を塞いでいてはいけない」「大人の責務」

2018.09.27 12:46
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 SKY-HIインタビュー掲載の「ユリイカ」(8月号)

 SKY-HIは鋭いだけじゃなくて、深い。少し前に発売された「ユリイカ」(青土社)2018年8月号のインタビューを読んで、そのことを再認識させられた。

 SKY-HIは人気グループAAAのメンバーでありながら、ラッパーとしても活動。政治や社会問題にコミットした楽曲も次々発表し、コアな音楽ファンからも熱い支持を受けている。象徴的だったのは昨年6月、共謀罪が強行採決されてから一週間後に突如YouTube上にアップされた「キョウボウザイ」だ。

〈木曜日 朝4時(Morning)/国民的行事(国会)/色を変えた常識/説明ならば放棄/何らかの事情に/何らかの理想に/良い悪いの定規/それで作るなんてホント正気?(DAMN.)〉〈燃えた家計簿に(加計)/火消しをするように/木で隠した森(Friend)/丸出しでソーリー/シンゾウには毛が生えて/舌の数は無尽蔵/HP残り36ポイント(支持率)/保護するのは秘密の方で/テロと五輪 歪なコーデ/組み合わせて出来た/それで治安維持しようぜ〉といった強度のある政権批判の歌詞が大きな話題を呼んだ。

 しかもSKY-HIは、勢いやノリだけでこうした楽曲を発表しているわけではなかった。社会が抱える問題点を冷静に見つめ、深い思索の果てに、確信犯として、こうした表現を送り出していた。

 ケンドリック・ラマーを特集した「ユリイカ」で、SKY-HIは、なぜ音楽で社会問題へのコミットが必要なのかを語っているのだが、これが非常に説得力のある内容なのだ。

「アメリカには音楽が社会をリードしているというシチュエーションがずっとありますよね」と語ったあと、SKY-HIは、日本の音楽業界についてこう批判していた。

「日本だとそういうムーブメントは起こらないですよね。あゆ(浜崎あゆみ)が流行ったから、ヒョウ柄のギャルが増える、とか、アーティストの本質にかかわらず、表層的に人々の消費欲求を刺激するに留まるものがほとんど。意識とか、生き方に影響を与えることにまで至らないと思われているし、作る側もそう考えているようなフシも感じて」

 また、SKY−HIはその背景にある、日本社会の問題にまで言及していた。

「それはGHQの陰謀だ!ってのは冗談なんだけど(笑)、日本の戦後教育のやり方を問い直すことにも繋がるような気がして。制服の問題に代表されるように、同じ格好、同じ行動、規律を乱すな、ということを是とするスタンスは、明治初期ならまだしも、現代でいまだにそれをやっているのかと呆れてしまうし……」

「GHQの陰謀」と歴史修正主義者の用語にツッコミつつ、そうした陰謀論に基づいたよくある右派の戦後民主主義批判とは真逆で、むしろ現在もいまだ残る明治軍国主義の名残のほうを批判してみせるというのは、SKY-HIの民主主義に対する強い意識が感じられる。

 さらに、印象的だったのは、宇多田ヒカルのタワーレコードのポスター問題にふれたときのことだ。このポスターには、「今をどのような時代であると思いますか」「時代と関係ないところで生きてきたのでわかりません」「その中で音楽はどのような責任を担っていると思いますか」「音楽に責任はありません」と、音楽に政治性をもちこむことを否定するようにも読める宇多田ヒカルのセリフが掲載されているのだが、その感想を聞かれたSKY-HIはこう語っている。

「『音楽で世界を変える』って言葉の方が、いまは欺瞞として捉えられがちじゃないですか。謙虚とか謙遜もすごく美しいとは思う。でも、「僕にできることなんて歌うことくらいだから」とか、「音楽をやることにしか能がない」とか、そう発言することが美徳とされていたり、逆に社会に対してコンシャスな人を「意識高い系」と冷笑する状況は、決して理想的な状態ではないと思う。日本にはいいところもめっちゃあるから、それは大事にしたいとは思うものの、この国の問題に目を塞いでいてはいけない。とくにいまって、若い子にとってマイナスとなるような問題が多いですよね。どうして日本がこういうことになってしまったのかを考えるのは、ミュージシャンだけではなくすべての大人の責務なんだけど、とりわけ俺たちミュージシャンは若い世代と触れ合う機会が多いから、その責任が重大になってくる。だから、くだらねえ歌を流しているような場合じゃないんですよ」

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