『バイキング』で有本香がトランプそっくりの「どっちもどっち」論。一方、玉川徹はトランプ発言とネトウヨの共通性指摘

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有本香が「白人至上主義だけでなくリベラル至上主義もとんでもない」

 これこそ“どっちもどっち論”の典型的なやり口だろう。そもそも、白人至上主義の象徴となっているリー将軍の銅像の撤去は「名作が上演できなくなっている」なる問題とはまったく次元が違う。また、白人至上主義者たちは今回、あきらかにリー像の撤去反対を名目に、「アメリカを白人の手に取り戻せ」とか「1国1民族、移民反対」などとレイシズムと排斥主義をわめきちらしていた。そして、忘れてはならないのは、白人至上主義者の方が車で抗議者に突っ込み、多数の負傷者とひとりの死者を出したという事実である。

 こんな明白な人種差別、ヘイトクライムに対して、映画界のポリティカル・コレクトネスの是非を持ち出して、いったいどうしようというのか。首を大きくかしげざるをえないが、続けて番組を見ていると、有本氏はついにグロテスクな本音をさらけ出した。

「まあ、いまちょっと揶揄される向きとしては、白人至上主義、これも非常に忌まわしきものだけど、リベラル至上主義っていうのもこれもまたちょっととんでもないね、と。さっき言ったみたいに、非常にオバマ時代の8年間が逆にいろんなストレスを生んでしまったと、こういう側面もあるんですよね」

 この人はいったい何を言っているのだろう。有本氏は「リベラル至上主義」なるものの存在をデフォルトのように語っているが、こんな無理やりな言葉なんてこれまで聞いたことがない。よしんば、有本氏の言う「リベラル至上主義」なるものがあったとして、どうしてそれが白人至上主義と並置されるのか。

 まあ、ようするにこういうことだろう。有本氏は、差別主義に抗議する人々を「リベラル至上主義」なる理解しがたいカテゴリーに入れ、白人至上主義の差別性を薄めた。そのうえで、差別主義の台頭をリベラルなオバマ政権の政策に原因があると言い出し、まるで、反差別、反ヘイト側に非があるかのように議論を誘導したのである。

 これこそがまさにトランプとそっくりな、強者と弱者の構図を無視することで人権や社会的正義を無化しようとする“どっちもどっち論”の典型例だが、しかし、この無茶苦茶な論理は、日本のネット右翼にも、そして実は安倍首相にも通底しているものだ。

 そのことをズバリ指摘したのが、同じ日の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)での、玉川徹氏だった。

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