ユースケ・サンタマリアが語る“うつ体験”「体がダルくなって、飯が食えなくなって…」不調を脱することができた理由とは?

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大槻ケンヂや内田樹も「無理をしない」ことで心の病に打ち勝った

 彼がだんだんとおかしくなっていったのは、あまりに若くして成功してしまったのが原因だった。24歳で武道館のステージに立つなど大ブレイクを果たすも、もともとネガティブな思考が強かった彼は「こんな状況がずっと続くわけがない」という心配と不安に苛まれるようになり、そのうち「自分はエイズなのではないか?」と怯える心気症になってしまう。一番ひどい時期は、カタカナの「エ」の字を見ただけでパニックになってしまうような状況だったという。

 そんな状況を変えたのは心療内科で受けた診療と投薬。そして、本で出会った「森田療法」であった。彼は心のありようを変えてくれた発想法の変化をこのように語っている。

〈それは仏教の考え方をとり入れた治療法で、「不安」も「葛藤」もなくすことはできない。人間生きていく限り、老いも病気も死もさけられない。だから、「不安」はあるがままにすておいて、今自分がすべきことをすればいい。そのうえで、成功しても失敗してもその人生はまちがいではない。ここでボクは自分を俯瞰する視点を持てるようになって、一気に気が楽になりました。「不安」は消えることなく、時々ちょっかいを出してくる困った存在だけど、いっしょに歩くことが可能なヤツだ──そう思えるようになってきたんです〉(筆者の判断で句読点のみ付け加えた)

 内田樹も「がんばり過ぎた」ことが原因で心の病も患ってしまったひとり。そのきっかけのひとつは阪神淡路大震災だった。この地震により家は半壊状態になったうえ、職場である神戸女学院大学も復旧作業を余儀なくされる。そのうえシングルファーザーとしての子育てが重なり、震災以降馬車馬のように働く日々が続くことになる。そして、地震発生から半年の月日が経ち、ようやく家に帰ってきたときに変化は起きる。

 落ち着いた日々を取り戻すと同時に心は病み始めていく。ちょっとした音にも震災のことがフラッシュバックして恐怖を感じて不眠状態になり、無理に眠ろうとして服用した睡眠薬により授業中も記憶が飛ぶようになってしまう。そんな生活が続き、自己否定の感情が心を蝕んでいく。

 そんなとき彼を救ってくれたのは、趣味の合気道だった。合気道は試合に勝つために負荷をかけて練習し、頭にも身体にもストレスをかけるといった一般的な競技スポーツとは違い、むしろ、脳を休ませ、身体がどう動きたいのかを見つめる武道。心を休ませ、身体が心地いいと感じることを優先的にしてあげるという生活の送り方を合気道から学んだのだ。自分の心に負荷をかけないような生活を心掛け、無理をしない生活の送り方を会得することで心の病を寛解させていった。

 本稿冒頭にあげた「文春オンライン」のなかでユースケは、最近の役者としての仕事についてこのように語っている。

「僕ももう「なんでもやります!」みたいな歳でもないので、出る作品もすごく選ぶようになりましたし。というのも、つまらない仕事していると、如実に体調に出るんですよ。ストレスが影響して、心身ともに蝕まれてしまうので、今はもうできるだけ自分が好きなことだけをするようにしています」

 やりたくない仕事だって食べていくためにはやらざるを得ないこともあり、みんながみんなこのような仕事観で生活できるわけではないかもしれないが、一度その思い込みをはずすことは、とかく真面目になんでもこなしていこうとしがちな現代人にはひとつ参考になる生き方なのではないだろうか。

最終更新:2017.12.06 06:12

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