「泉放送制作という制作会社が日本の全テレビ局を牛耳り反安倍報道を仕掛けている」 拡散するネトウヨのデマを大真面目に検証!

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「金富隆」は泉放送制作の社員にも専属スタッフにも存在していなかった

 すでにこの時点で普通の人ならデタラメであることはわかるのだが、にもかかわらず、このデマは急速に広まっており、きょうもこの流言飛語をもとにまとめサイトが「泉放送制作が蓮舫に忖度して朝の報道バラエティに「泉放送制作が蓮舫に忖度して朝の報道バラエティに『蓮舫』の名前無しw」などというタイトルで記事を拡散している。

 そして、各テレビ局には「なぜ泉放送制作のような反日会社を使うのか」という抗議が殺到し、6月28日に行われたフジテレビの株主総会でも、デマを真に受けた株主が「朝から晩まで同じような番組ばかり。泉放送制作という会社がいろんな番組の制作を請け負っていると聞いた」などと質問するという事態も起きている。

 さらに、沖縄メディアを「歪んでいる」「左翼に乗っ取られている」などと批判し、百田尚樹の「沖縄の2紙は潰さなあかん」発言を引き出したこともあるバリバリの安倍親衛隊の長尾敬衆院議員も、7月12日にバイラルメディアによる泉放送制作にかんするデマ記事をリツイートし、〈拡散!情報戦です!〉などと呼びかけたのだ。

 国会議員までもが拡散に加担し、「真実」として広がっていく泉放送制作デマ。ならば、やはりきちんと事実を指摘しておく必要があるだろう。

 まず第一に指摘しておかなくてはならないのは、デマに登場する「泉放送制作のプロデューサー・金富隆氏」についてだ。なかには氏が泉放送制作の社長だと言い張っているものもあるが、いずれにしても、ネトウヨたちは“在日の金富氏が泉放送制作という会社を使って、反安倍的な番組をつくらせ、反日工作を仕掛けている”などと喚いている。

 だが、泉放送制作の社長は金富隆という名前ではないし、社員にも契約スタッフにもそんな名前の人物は存在しない。金富隆氏という人物は実在しているが、彼はいま現在もTBSの報道局に所属するTBSの社員だ。同局でプロデューサーをつとめているが、ネトウヨたちが挙げている番組のうち担当しているのは『サンデーモーニング』(TBS)だけで、他の番組はまったくかかわっていない。

 また、こういうことはわざわざ書きたくないのだが、金富氏は「在日コリアン」ではない。普段の報道姿勢を見てもらえればわかると思うが、本サイトは在日コリアンのみならず、いかなる出自、国籍でも、報道やテレビ番組の制作に携わることは当然だと考えている。むしろ、多様性のある社会づくりのためには、メディアこそ率先して幅広いルーツをもった人材を採用すべきだ。しかし、ネトウヨの安易で卑劣な差別デマを検証するために取材したところ、金富氏が在日コリアンではないことははっきりした。ようするに、苗字に「金」という文字がついていたら在日、という根拠のない迷信を信じて喚いているだけなのだ。

 いずれにしても、TBSの社員である金富氏がいったいどうやってテレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』や『スーパーJチャンネル』、フジテレビ『直撃LIVEグッディ!』『とくダネ!』、日本テレビ『ZIP!』を牛耳ることができるというのか。頭がおかしいとしか思えない。

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