鈴木清順の弟が明かす、清順美学の根底に流れる戦争の影響「兄は戦争から帰ってきて人が変わった」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
suzukiseijun_01_170225.jpg
鈴木清順著『鈴木清順 けんかえれじい』(日本図書センター)より

 今月22日、『ツィゴイネルワイゼン』や『殺しの烙印』などで知られる鈴木清順監督が慢性閉塞性肺疾患のため亡くなっていたことが明らかになった。93歳だった。

 色鮮やかで独特な色彩感覚を筆頭とする傑出した画づくりは「清純美学」と呼ばれた。クエンティン・タランティーノ監督をはじめ国外でも信奉者は多く、最近でもデミアン・チャゼル監督が『ラ・ラ・ランド』のポップアートのような色合いは『東京流れ者』からの影響も含まれていると明かしていた。

「映画は絢爛豪華で派手で楽しければいい。だから、私の映画はしかめっ面して見てほしくない。私も大仰なメッセージを伝えようなどとは思っていない」(「週刊朝日」2002年4月11日/朝日新聞出版)と本人が語っている通り、鈴木清順は同じ戦中派の文化人でも、永六輔、大橋巨泉、水木しげる、野坂昭如ほどには戦争や平和についてメッセージを発信することはなかった。『春婦伝』という従軍慰安婦を主人公にした作品を撮ったりもしているが、作風も基本的には娯楽性・芸術性に重きを置く人で、直接的に社会派なテーマを扱った作品は多くはない。

 しかし、彼の映画をきちんと見ていけば、そのなかに「戦争」からの影響と怒りが拭いがたく存在することは一目瞭然だ。たとえば、代表作のひとつである1964年公開の『肉体の門』。戦後すぐの闇市のなか、身を寄せ合って何とか生き延びていく売春婦たちを描いたこの作品では、彼女らが戦争で家族を亡くしたことを告白し合うシーンや、立ちんぼの縄張りをめぐるケンカのなかで「民主主義だとか、八紘一宇だとか、そういうお題目はもうたくさんだよ!」と叫ぶシーン、野川由美子演じる売春婦が持っていたボルネオ島で戦士した兄の形見(出征の際に持たされた日の丸の旗)を宍戸錠演じる復員兵が頭からかぶり「麦と兵隊」を歌いながら涙するシーンなど、戦争によって大切なものを奪われ傷つけられた人々が描かれていた。

 彼の作品に戦争からの影響は間違いなく存在する。しかし、実は、戦争が清順に与えたものは「影響」なんてなまやさしいものではなく、その人生を180度変えてしまったものであったと、鈴木清順の弟で元NHKアナウンサーの鈴木健二は証言している。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

鈴木清順の弟が明かす、清順美学の根底に流れる戦争の影響「兄は戦争から帰ってきて人が変わった」のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。新田 樹の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 NHK朝ドラ『スカーレット』と朝鮮人強制労働
2 安倍首相がラグビー南アフリカ戦で「夢のような一ヶ月間」とツイート
3 台風被害のさなかに天皇の即位礼強行! 式典予算は160億円
4 即位パレード延期は天皇の意向、官邸は強行するつもりだった
5 視聴率3.7%『いだてん』が日本の中国での戦争加害に言及!
6 消費増税反対の内閣官房参与“退職”の裏に官邸の圧力
7 くりぃむ上田晋也が“政権批判NG”に敢然と反論
8 池上彰が政権のテレビへの圧力を明言
9 台風19号の避難所になった「朝鮮学校」インタビュー
10 葵つかさが「松潤とは終わった」と
11 上田晋也の番組で東国原英夫と千原せいじが日韓問題への無知晒す
12 安倍首相が統計不正に「選挙5回勝ってる」とヤジ
13 佐藤浩市をフェイク攻撃した安倍応援団が批判殺到で逃亡
14 ジャパンライフと安倍政権の関係!首相側近や田崎史郎が広告塔に
15 美智子皇后が誕生日談話で安倍にカウンター
16 安保法の目的は経団連による武器輸出
17 橋下徹に恫喝された女子高生が告白!
18 安倍政権御用ジャーナリスト大賞(前編)
19 池上彰が朝日叩きとネトウヨを大批判
20 「家政婦」の名目で24時間労働の介護で日当1万円、残業代なし
1久米宏が「テレビが反韓国キャンペーンをやってる」と真っ向批判
2安倍政権・厚労政務官が外国人在留申請で口利き「100人で200万円」
3 玉川徹がGSOMIA破棄で加熱するテレビの嫌韓煽動を批判
4明石家さんまが吉本上層部と安倍首相の癒着に痛烈皮肉!
5『ゴゴスマ』で今度は東国原英夫がヘイト丸出し、金慶珠を攻撃!
6『報ステ』の“安倍忖度”チーフPがアナやスタッフへの“セクハラ”で更迭
7『ゴゴスマ』で「日本男子も韓国女性が来たら暴行しなけりゃいかん」
8文在寅側近の不正に大はしゃぎの一方、安倍政権が厚労政務官の口利きに無視
9埼玉知事選で警察が柴山文科相への抗議を排除!柴山も表現の自由否定
10安倍首相がトランプからトウモロコシ爆買い
11菅官房長官「トウモロコシ大量購入は害虫被害対策」は嘘
12 GSOMIA破棄は安倍のせい 慰安婦合意から始まった韓国ヘイト政策
13安倍が後に先送り財政検証の酷い中身
14 GSOMIA破棄で日本マスコミの「困るのは韓国だけ」の嘘
15 松本人志や吉本上層部批判の友近、近藤春菜にバッシング、報復か
16『週刊ポスト』の下劣ヘイト記事は「小学館幹部の方針」の内部情報
17GSOMIA破棄!八代・有本ら安倍応援団は「嫌なら来るな」
18 『モーニングショー』で「暑さに耐えるのが教育」元高校野球監督は右派論客
19 古市憲寿の芥川賞候補作「参考文献問題」に選考委員が猛批判
20『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』のデマとトリックを暴く

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄