水木しげるが最期の仕事で綴った、戦争による死への恐怖と平和への思い「戦争に行くのが嫌で嫌で仕方がなかった」

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 しかし、どんなに水木しげるが戦争体験者として戦争の悲惨さを繰り返し主張しても、平成日本はその恐ろしさを忘れどんどん右傾化していった。その先鞭をつけたとも言える、小林よしのり『新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論』(幻冬舎)がヒットした時、水木はエッセイマンガを通じてこんな警鐘も鳴らしている。

〈私は『戦争論』で、ふとあの戦前の勇ましさを思いだし、非常になつかしかったがなんだか輸送船に乗せられるような気持ちになった(中略)『戦争論』の売れゆきが気になる。「戦争恐怖症」のせいかなんとなく胸さわぎがするのだ〉(『カランコロン漂泊記 ゲゲゲの先生大いに語る』小学館)

 昨年は、水木しげる、野坂昭如と、その作家生活のなか、一貫して戦争の恐ろしさを伝え続けてきた作家が次々と亡くなってしまった年であった(野坂原作「マッチ売りの少女」を水木が漫画化したり、水木の単行本に野坂が巻末解説を書いていたりと、実はこの二人は浅からぬ関わりがある)。

 昨年の安保法制強行採決をはじめ、日本は急速に「戦争」の気配に覆われつつある。水木しげるや野坂昭如が作品を通じて語り続けてきたメッセージが忘れ去られることのないよう、ひとりでも多くの人に読んでほしい。
(新田 樹)

最終更新:2018.10.18 04:42

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