ネトウヨ文化人として復活したケント・ギルバートの正体(後)

ケント・ギルバートはなぜ突然ネトウヨになったのか? 背後に右派人脈とビジネスのにおい

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 もっとも、植田氏はもともと右派というわけではなく、90年代の著書では、従軍慰安婦についても「強制的に集められた」とするなど、バランスのとれた歴史認識を示していた。ところが、加瀬氏が「つくる会」教科書発行のためにたちあげた自由社に取締役として就任したあたりから、急速に右旋回。さまざまな歴史修正主義運動で加瀬氏と行動を共にするようになり、2015年には『目覚めよ!日本』(日新報道)という、「連合国戦勝史観の呪縛からの脱却」をスローガンに掲げた歴史修正本を出版している。

 そして、ケント氏もこの長年のビジネスパートナー植田氏の右旋回の後を追うように、急激なネトウヨ化をとげるのである。

 しかしだからといって、ケント氏がこういった右派人脈に操られていると考えるのは、早計だ。たとえば、1993年の加瀬氏との対談本『日米知ってるつもり大論争』でも、ケント氏は加瀬氏の主張に全面的にくみしていたわけではなく「武士道とかはいただけませんね。ああいう精神は、すぐ第二次世界大戦を連想しますから。なぜ特攻隊は、あのように飛行機で身を挺してまで切り込んでくるのか? なぜ、ああまで主君に一方的に忠誠を誓わなければならないのか?」などと、日本の戦前の体質を批判していた。

 また、植田氏との対談が収録されている2013年出版の『不死鳥の国・ニッポン』にしても、東日本大震災を象徴的な出来事として、“日本人は日本というスゴイ国に生まれただけで幸せだ”などと語るなど、外国人の立場から日本人を慰撫する内容が中心で、今、ブームの外国人による“日本スゴイ本”のハシリという印象だった。

 それどころか、歴史認識について、ケント氏は同書でこう書いている。

〈日清戦争から日露戦争、第二次世界大戦にかけて、どのような歴史的経緯があったにせよ、日本が朝鮮半島や中国大陸、東南アジア諸国を「侵略」し、悲惨な戦争を繰り広げたことは事実である。(中略)
 また、その当時の日本人の多くが中国人や朝鮮人を差別し、彼らを民族的に見下しながら虐げていた事実を、一部の日本の年配者は否定していない。第二次世界大戦の終戦までに日本が行っていたことは国家として、そしてその国の国民である日本人として、歴史の必然であったとしても、負の遺産として顧みることは無駄ではないと思う。(中略)
 また私が推測するに、「自分が生まれる遥か昔の出来事なのに、なぜ自分が日本人として反省しなければならないのだ!と、憤慨する人も多いと思う。現代では、そのような考えを持つ日本人の方が多数派かも知れない。
 彼らに対して私がひとつだけ伝えたいのは、「世界の人々は決してそのような考え方をしない」ということだ。つまり、「そんなことはずいぶん昔の話でしょ。オレには関係ないもん!」といった日本の若者的な考え方は、かつて日米貿易摩擦の時代によくいわれた、「日本の常識は世界の非常識」の典型例なのである。〉
〈「自分が直接関わっていないから反省などできない」と反発するのは、未熟な子どものいい分である。二十代の若者ならまだ大目に見るとしても、三十代以上の「分別のある大人」であるなら、私はそのような人には時間を掛けて諭したい。(中略)
 祖先が残した遺産はありがたく頂戴するが、歴史問題という負の遺産は相続したくないという考えは、ただのワガママである。そして困ったことに、今の日本にはワガママな大人が少なくない。〉

 今のケント氏に聞かせてやりたい言葉だが、とにかく、ケント氏は2013年の段階では、右派人脈と付き合いつつも、歴史修正主義とは距離をおいていたのだ。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

ケント・ギルバートはなぜ突然ネトウヨになったのか? 背後に右派人脈とビジネスのにおいのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。ネトウヨ宮島みつやの記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 松井府知事と橋下徹の台風対応が酷い!
2 投票呼びかけに松本人志が「軽い感じで行かれても」と投票抑圧発言
3 菅田将暉らの「投票呼びかけ動画」参加のローラに差別丸出しのバッシング
4 小室圭さんをとにかく糾弾したいワイドショーの事実歪曲とグロテスクな差別性
5 玉川徹が『バイキング』の小室圭さんバッシングの嘘を批判!
6 安倍、甘利、麻生、山口が立憲と共産党へのデマ攻撃!
7 眞子内親王をPTSDにした小室圭さんバッシングの裏にある差別的本質!
8 佳子内親王の「姉の一個人の希望を」に批判殺到はおかしい
9 甘利幹事長に「闇パーティ」広告塔疑惑
10 葵つかさが「松潤とは終わった」と
11 Dappi運営会社社長が、“安倍の懐刀”元宿自民党事務総長の親族の土地に家を
12 Dappi運営企業と取引報道の自民党ダミー会社は岸田、甘利が代表の過去
13 維新の野党共闘ディスが悪質!吉村知事も“暴言王”足立康史と一緒に
14 大阪医療崩壊でも吉村知事が緊急事態宣言の要請を遅らせた理由
15 山口敬之の逮捕をツブした中村格の警察庁長官就任に広がる抗議!
16 田崎史郎ら御用が垂れ流す「安倍さんは人事に不満」説の嘘,
17 千原せいじの不倫をなぜか賛美するワイドショーの男尊女卑
18 佳子さまはなぜ学習院をやめたか
19 甘利明が「スマホは日本の発明」「消費税の使途は社会保障に限定」の嘘
20 安倍晋三が杉田水脈の名簿順位を上げ、あの初村元秘書の公認ゴリ押し
1Dappi運営企業と取引報道の自民党ダミー会社は岸田、甘利が代表の過去
2甘利明が「スマホは日本の発明」「消費税の使途は社会保障に限定」の嘘
3安倍、甘利、麻生、山口が立憲と共産党へのデマ攻撃!
4ネトウヨDappiと自民党の関係が国会で追及されるも岸田首相はゴマカシ
5Dappi運営会社社長が、“安倍の懐刀”元宿自民党事務総長の親族の土地に家を
6菅田将暉らの「投票呼びかけ動画」参加のローラに差別丸出しのバッシング
7維新の野党共闘ディスが悪質!吉村知事も“暴言王”足立康史と一緒に
8投票呼びかけに松本人志が「軽い感じで行かれても」と投票抑圧発言
9岸田首相の解散直前『報ステ』単独出演に「放送の中立性欠く」と批判殺到!
10辻元清美が自らの不正への対応を語って甘利明に説明要求!
11岸田首相に「話が長くて中身がない」「何を言いたいのかわからない」と悪評
12安倍晋三が杉田水脈の名簿順位を上げ、あの初村元秘書の公認ゴリ押し

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄