ネトウヨ文化人として復活したケント・ギルバートの正体(後)

ケント・ギルバートはなぜ突然ネトウヨになったのか? 背後に右派人脈とビジネスのにおい

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ケント・ギルバート『まだGHQの洗脳に縛られている日本人』(PHP研究所)

 YOUはいつからネトウヨに?──。憲法攻撃に歴史修正主義、安倍首相礼賛発言を連発し、今や、右派論壇から引っ張りだこになっているアメリカ人タレント、ケント・ギルバート氏。前回の記事では、1980年代に“外タレブーム”を巻き起こしたこの人物がもともと右派思想の持ち主でもなんでもなく、むしろ、憲法9条擁護や在日韓国・朝鮮人への同情的な発言をしていたことを指摘した。

 そしてもうひとつ、本サイトが記事にしたのが、ケント氏がさまざまな事業に手を出し、そのいくつかに失敗しているという事実だった。

 1989年には外国人を講師とする英語学習塾「ケント・ギルバート外語学院」を華々しく開校するも、90年に所属していた外国人講師2人が大麻取締法違反で逮捕されるなどスキャンダルを引き起こし、95年には閉校に追い込まれた。

 また、タコスチェーン店「タコタイム・ジャパン」に日産自動車と共同出資という形で事業展開したこともあったが、こちらも経営不振で91年4月に解散している。

 さらに、テレビでほとんど姿を見なくなった99年頃、ケント氏はマルチ商法にまで関わっていた。

 このマルチ商法は「レクソール・ショーケース」。サプリなどの健康食品や化粧品など主力商品とし、ディストリビューターと呼ばれる会員販売員を構成、あらたに勧誘することで、売上からボーナスをバックしていくというアメリカの連鎖販売取引企業だ。

 ケント氏はこの会社の日本進出に際して広告塔を務めていたのである。たとえば、99年には『ケント・ギルバートの「レクソール始めませんか!」』『ケント・ギルバートが贈る「レクソール・ビジネストレーニング」』(ともにイーハトーブ出版)という“勧誘本”に出演して、同社の製品やマルチの仕組みを大絶賛している。また、書籍だけでなく、レクソールの販促ビデオにも関与しているが、これまた「なぜ私がレクソールを始めたのか」「ディストリビューター体験談集」など、タイトルからして怪しさが漂う代物だった。

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