小室哲哉、五輪エンブレムパクリ騒動を斬る! サノケンが批判された本当の理由は…

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 小室はそう語り、先行する芸術作品に似た作品をつくったサノケンを擁護する。しかし、彼はそのやり方がよくなかったと指摘する。

〈突っ張って、デザイナーやクリエイターはポンとものを創り上げる印象を持たせるんじゃなくて、もっと柔軟に、例えば岡本太郎さんが好きとか、アンディ・ウォーホルが好きとか、自分のルーツを柔軟に話しておくと、“それっぽい影響を受けてるよね”で済むんですよ。決して真似ではなくて、“さすが、好きなだけあって似てるよね”とポジティヴに捉えてもらえる。その差はすごく大きいなと思って〉

 これは、彼自身の経験から来る感覚なのかもしれない。小室自身、TM NETWORKの楽曲がエルトン・ジョンの曲と酷似していることを言われたり、globeの「ラッパーと女性ボーカルの組み合わせ」というコンセプトが2・アンリミテッドのパクリと指摘されたり、キーボードのプレイがエマーソン・レイク&パーマーのキース・エマーソンと似ていると言われたりと、小室哲哉は常に「パクリ」指摘と無縁ではいられないキャリアを歩み続けてきた。

 だが、そう言われながらも、彼はキース・エマーソンやジミ・ヘンドリックスといったプレイヤーへの敬愛をインタビューで話し続け、また、その時期に流行しているダンスミュージックに対してのリスペクトも語り続けてきた。その結果、「パクリ」指摘は受けるものの、自らインスパイアされた元ネタを明かす小室の姿勢を前に、リスナーの間では「言うだけ野暮」という雰囲気が醸成され、その面においてはひどい毀誉褒貶に晒されずに済んできた。

 そんな小室だが、今回サノケン問題が巻き起こったのには、佐野氏のインスパイア元を明かさない姿勢の他にも、もうひとつ問題点があったと指摘する。彼のデザインからは「熱」「エナジェティック」を感じなかったのも原因のひとつだと言うのだ。

〈正直に言えば、あのエンブレムを観た瞬間のみんなのファースト・インプレッションが、“あれ? もっとオリンピックっぽい感じだと思ってた”というようなモヤモヤがあったんだと思うんです〉
〈それで、心の中で“ちょっと違うな”って思ってる気持ち、モヤッとしたものがあった上で、こういった大きな問題になったんだと思うんです〉
〈音楽でも同じなんです。“何かに似ているけど、カッコいいよね”とみんなに思われれば、“似ている、似ていない”という問題は軽くクリアしちゃう〉
〈みんなもっとデザインに熱やエナジェティックを感じたかったんだと思います。何か言われたとしても、“でもいいよね”と言われればいいわけですよね〉

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