恥ずかしすぎる! 安倍政権が世界遺産否定のために「南京大虐殺はなかった」のトンデモ言説を世界に発信

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 また、第一次安倍政権時の2006年、安倍首相の訪中に際して実施合意にいたった日中歴史共同研究でも、日本側が論文に〈日本軍による捕虜、敗残兵、便衣兵、及び一部の市民に対して集団的、個別的な虐殺事件が発生し、強姦、略奪や放火も頻発した〉と記している。

 虐殺の人数は、中国側が主張する30万人(これは1947 年の南京戦犯裁判軍事法廷に依拠した数字である)、日本側は〈研究では20 万人を上限として、4 万人、2万人など様々な推計がなされている〉と、食い違いがあったが、しかし、これは逆に言うと、日本側が最低でも2万人の虐殺は認めているということだ。

 しかも、これらの研究を行ったメンバーは、決して「サヨク学者集団」ではない。70年談話の有識者会議でも座長代理を務めるなど、自民党的親米保守の代表的存在である北岡伸一・国際大学長なども名を連ねていた。

 南京事件にかんしては、一部の狂信的学者やネトウヨが「南京大虐殺はなかった」「虐殺人数はほぼ皆無である」と叫んでいるが、この“虐殺なかった”論はいまや、保守系学者の間でもほとんど相手にされていないトンデモ説なのだ。

 ところが、日本政府は今回、そんなトンデモ説を国際社会に向かって声高に叫び、南京大虐殺の遺産登録を阻止しようとしている。

 しかも、その理由は支離滅裂なものだ。たとえば、日本政府は、中国側の申請資料の中に虚偽の資料が含まれているはずだとして、遺産登録はおかしいと主張する。現段階では未確認だが、たしかに、一部に含まれている可能性はあるだろう。しかし、だとしても、その場合は、該当資料の削除を要求すればいいだけの話。虐殺の事実はあるわけだから「登録自体を取り消せ!」と迫る理由にはまったくならない。

 また、中国が世界記憶遺産を「政治利用」しようとしているというが、これもイチャモンとしか思えない。今回の中国の動きに政治的意図があるのは明らかだが、それは日本政府も同じだからだ。

 たとえば今回、日本は第2次大戦後のシベリア抑留の資料を申請し世界記憶遺産に登録された。シベリア抑留では、敗戦後に投降した日本軍の捕虜らが、ソ連によってシベリアなどへ移送され、長きにわたる強制労働などに従事させられたあげく、多くの抑留者が死亡している。もし、「南京大虐殺」の登録を今後の日中外交でのカードとしての「政治利用」だとするなら、シベリア抑留も日露間のそれに当たることになる。もしロシア側が「政治利用だ」「事実誤認がある」と世界記憶遺産登録を取り消せと主張してきたら、日本政府は応じるのだろうか。そんなことはありえないだろう。

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