『バケモノの子』はショタ萌え映画か? 細田守監督の“ショタ愛”を検証してみた

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 細田監督は『バケモノの子』小説版(KADOKAWA/角川書店)も自ら執筆しているのだが、小説版で描かれる一郎彦の描写は九太や二郎丸とはちょっと違う。二郎丸は「ウリ坊みたいにコロコロ太った子」としか書かれていないのに、一郎彦は「スラリとした背の子」「色白の整った顔立ちと落ち着いた物腰」「弟に話しかける爽やかな横顔。耳の形に飛び出た帽子の下の、白い肌と端整な鼻筋。自信にあふれた目」と、事細かに描写されているのだ。主人公の九太ですら「ぼさぼさの髪。何日も洗っていない薄汚れた肌。飯もろくに食わない痩せた体」としか書かれていないのに、だ。こう見ると、細田監督の今作の推しショタは、九太よりも一郎彦なのかもしれない。一郎彦が主人公以上に人気なのも、監督の愛情がつまったキャラゆえだろうか。

 いずれにしても、『バケモノの子』が評判通り、ショタファンを大満足させる映画であるのはたしかだろう。しかし細田守作品のショタ萌えは『バケモノの子』に限ったことではない。これまでの作品でもさまざまなショタキャラが登場しているのだ。

 前作の『おおかみこどもの雨と雪』では、おおかみこどもである弟の雨がかわいすぎると話題になった。また、雨の人気に隠れてしまいがちだが、雪の同級生で転校生の少年・草平も「小学生なのにかっこよすぎる」と密かに人気を集めた。

『サマーウォーズ』では、主人公のへたれ男子高校生・小磯健二と、格闘ネットゲームのチャンピオンでもある13歳の少年・池沢佳主馬が登場する。とくに、佳主馬は真のヒロインとまで言われるほどショタコンに人気のキャラだ。褐色の肌にタンクトップという姿だけでもエロいのに加え、初対面の健二にパソコンを貸してと言われ「言い方がダメ。もっと取引先に言うみたいに言って」と返すSっ気にやられた人が大勢現れた。

 さらに、この『サマーウォーズ』の、佳主馬のアバターであるキング・カズマが負けて掲示板に誹謗中傷が書き込まれるシーンでは、「カズマたんの指をチュッパチュッパ」というコメントが紛れ込んでいた──。

 と、ざっとあげただけでも、これだけのエピソード。ショタ萌えは、明らかに細田作品の大きな特徴のひとつとなっているのだ。というより、細田監督は明らかにそれを狙っていると言っていいだろう。

 細田監督は「SWITCH」(スイッチ・パブリッシング)Vol.33のインタビューで「少年が夏休みに冒険して、一歩成長する」のがアニメーション映画の王道と語り、昔から少年を主人公にした物語を作りたかったという強い思いを明かしている。

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