「女が嫌いな女」アンケートにだまされるな!“女の敵は女”は本当なのか?

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 このように解説するのは、精神科医・水島広子氏。水島氏は著書『整理整頓 女子の人間関係』(サンクチュアリ出版)のなかで、女性が自力では社会的な地位を得ることができなかったこと、「どの男性に選ばれるか」ということで女性自身の地位が決まってきたという歴史を振り返り、しかもそれは過去の話ではなくいまも根強く残っていることを指摘。そして、イケメンの人気俳優に結婚や交際が発覚すると相手の女性が「女」によってバッシングされる現象を、こう読み解く。

〈「選ばれる」ということを中心に世界が回っているので、「選ばれなかった人たち」(現実に可能性がなかった人たちも含めて)は、「なぜあんな女性が選ばれるのか」というところに衝撃を受けてしまうのです。「あんな女性があの素晴らしい男性に選ばれるわけがない」「彼女は本性を隠して相手に取り入ったに違いない」などという気持ちが起こってくるのはそのためです〉
〈ある女性が選ばれたということは、それ以外の女性は「選ばれなかった」わけですから、心のどこかが傷つきます。それが、「選ばれた女性」に対する意地悪やバッシングにつながるのです〉

 また、社会には依然、魅力的な女性の条件として「女性らしい仕草」「女性らしい細やかさ」という「外的なもの」を求める。そうなると、女性は男性に好まれるだろうと考えて「演じる」ようになる。それを女は“媚態”と感じ、女への嫉妬を覚えるのだ。

〈女性を対象に行われる「嫌いな女性」のアンケート調査などを見ると、やはり「男性の前で演じている女性」は嫌われ度が高いものです。「演じる女」の不愉快さは、もちろん人間としての不正直さにもあるのですが、「もしかしたら自分もあのくらいやると得をするのかもしれない」と「女」の心を刺激する、というところにもあると言えるでしょう。「男性に選ばれる」というゲームにフェアに参加していない人に嫌悪感を覚えつつも、自分が不器量で馬鹿正直であるために損をしているような感覚になるのです〉(同前)

 こうした「ねたみ・そねみ・ひがみ」という感情を、社会学者の上野千鶴子氏は『女ぎらい ニッポンのミソジニー』(紀伊國屋書店)のなかで〈男のあいだにもある〉としながら、水島氏と同様に〈男と決定的に違うのは、女の場合は、それが「男に選ばれる」女の帰属をめぐるゲームだからである〉という。そして、〈すべての女は男への帰属をめぐって潜在的なライバル関係に置かれている〉と指摘するのだ。

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