「老人は経済的強者、騙して何が悪い」振込め詐欺に走る若者たちの格差社会への復讐心

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
roujinkui_01_150323.jpg
『老人喰い 高齢者を狙う詐欺の正体』(筑摩新書)

 高齢者を狙った振り込め詐欺などの特殊詐欺犯罪が後を絶たない。警察庁の統計では、2014年の被害額は過去最悪の559億4000万円! しかもその被害者の実に8割が60歳以上の高齢者だ。様々な啓蒙、防止活動にもかかわらず、その手口は年々多様化し、当局の間でイタチごっこになっている。

 どうして振り込め詐欺はなくならないのか。ルポライター・鈴木大介氏の新刊『老人喰い 高齢者を狙う詐欺の正体』(筑摩書房)は、そんな詐欺犯罪を犯す若者の実態を描いたものだが、しかし本書は「防犯知識」を啓蒙するものではない。むしろ、高齢者に対してこんな挑戦的な問いを投げかけかけられる。

「彼ら犯罪者があなたたち高齢者を狙うようになった原因が、あなたたち自身にあると考えたことはありますか?」

 一体どういうことなのか。そこには詐欺に手を染める現代社会が抱える背景が存在した。

 現在の特殊詐欺は高度に組織化され合理化されているという。地味なスーツに革靴、短い黒髪。多くのサラリーマンが出社する時刻にテナントビルに出社する若者たち。だが実は、彼らこそ振り込め詐欺を行っている若者たちだ。

「その集団は、極めて純粋に、ただ『摘発を受けない』という一点を目標として、統制されていた」

 駅から事務所に向かう際も挨拶しない、お互い連絡先はおろか本名も教えない。私生活でも女やクスリ、酒等に関し様々な制約がある。私生活から犯罪に関わっている疑いを排除させるためだ。

 彼らは「騙しやすい」高齢者の名簿を持ち、さらに高齢者の家族構成、居住形態(持ち家か賃貸か)、経済状態などの詳細を“下見”した上でターゲットを狙う。かつては「俺、俺」と電話したが、いまでは息子の名前を調べているので実名であったりもする。手口も巧妙だ。しかも息子の住所も会社も所属部署も孫の名前も学校まで知っていると臭わせる。すると被害者は「もしかしたら詐欺かもしれない、いや詐欺だ」と確信していても金を出してしまうのだ。

「もしここで詐欺だと断定して電話を切ってしまったら、万が一詐欺でなかった場合に息子の社会的生命は奪われる。かといって、詐欺を疑って警察に電話して、もしこれが詐欺でなかったとしたら、示談どころか息子の立場はさらに追いつめられてしまう」

 例えば最近、学校の教師やその家族に「お前のために教え子が心を病んだ。復讐されたくなかったら金を送金しろ」などといった手紙が大量送付されたことがあったが、これなど代表的事例だろう。その手口は刻一刻と進化・変化をとげており、ここで書く意味は持たないほどだ。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

老人喰い:高齢者を狙う詐欺の正体 (ちくま新書)

  • amazonの詳細ページへ
  • Yahoo! ショッピングの詳細ページへ
  • セブンネットショッピングの詳細ページへ

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

「老人は経済的強者、騙して何が悪い」振込め詐欺に走る若者たちの格差社会への復讐心のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。振り込め詐欺林グンマ格差老人鈴木大介の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 安倍首相が「サイバー攻撃受けただけで武力行使可能」と宣言
2 幻冬舎・見城徹社長に寄せられた作家の批判総まくり!
3 百田尚樹vs古市憲寿、ウソついたのは
4 『朝生』で百田尚樹が徹底論破され大恥
5 玉川徹が『バイキング』の小室圭さんバッシングの嘘を批判!
6 葵つかさが「松潤とは終わった」と
7 「佐藤浩市が安倍を揶揄」の炎上は言いがかりだ
8 秋篠宮家の料理番がブラック告発
9 百田尚樹『日本国紀』批判で出版中止の津原泰水に直撃
10 丸山穂高「戦争」発言で長谷川豊、百田尚樹がマスコミを批判
11 読売が出会い系通い記事批判に失笑反論
12 佐藤浩市をフェイク攻撃した安倍応援団が批判殺到で逃亡
13 安倍が再びバノンから「偉大なヒーロー」と
14 佐藤浩市がテレビの右傾化に危機感表明
15 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
16 ジャニーズが“2.5次元”に危機感
17 瀬戸内寂聴がさらに激烈安倍批判
18 『報ステ』がまた政権批判アナ排除
19 橋下徹に恫喝された女子高生が告白!
20 つんく♂が秋元のメンバー差別に
1国民健康保険料が大幅値上げ、年間10万円増額も
2安倍首相と省庁幹部の面談記録ゼロ!安倍政権“公文書破壊”の実態
3石野卓球がワイドショーに勝利した理由
4忖度道路めぐり安倍の直接指示の新事実が
5安倍首相が「桜を見る会」に『虎ノ門ニュース』一行を堂々招待
6安倍が“忖度道路”の要望書を提出、山陰自動車道でも利益誘導
7上野千鶴子「東大祝辞」へのワイドショーコメントが酷い!
8 塚田「忖度」発言は事実! 麻生利益誘導の疑惑
9イチローに国民栄誉賞を断られ安倍政権が赤っ恥
10野党議員をデマ攻撃「政治知新」の兄・自民党県議を直撃!
11NHKで国谷裕子を降板に追い込んだ人物が専務理事に復帰
12維新勝利で橋下徹が「反対した年配の人が死んじゃった」
13中村文則が安倍政権批判に踏み込む理由
14 『あさイチ』の「中高生に韓国が人気」企画炎上の異常
15 安倍首相「桜を見る会」招待状が8万円で売買との報道!
16菅官房長官「令和おじさん」人気の正体!
17ゴーン逮捕“国策捜査説”を裏付ける経産省メール
18「あつまれ!げんしりょくむら」以外も…原子力ムラの醜悪SNS戦略
19衆院補選で安倍自民党が大惨敗の予想が!
20 ピエール瀧出演の『麻雀放浪記2020』に“安倍政権への皮肉”

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄