維新の「核兵器共有」主張に批判殺到…一方で松井代表は鈴木宗男の「ロシアよりウクライナに責任」論を擁護、維新はプーチンの味方か

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日本維新の会HPより


 またぞろ下劣な火事場泥棒が現れた。ロシアによるウクライナ侵略に乗じ、安倍晋三・元首相が声高に叫び始めた「核共有」論だが、これを党勢拡大の材料にしようと、さっそく日本維新の会が動き出したからだ。

 維新代表の松井一郎・大阪市長は2月28日、核共有について「議論するのは当然だ」と述べ、「非核三原則は戦後80年弱の価値観だが、核を持っている国が戦争を仕掛けている。昭和の価値観のまま令和も行くのか」などと発言。3月2日にも「昭和の価値観を改める必要がある」と言い、維新は核共有や非核三原則の見直し議論を政府に求める提言をまとめた。

 これを受けて、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の代表委員であり被爆者である田中重光氏は「心の底から怒りがわいている。維新の言っていることが広がれば、すべての国が核を持つ。そのときは人類の滅亡だ」と批判。日本被団協は「国民を核戦争に導き、命を奪い国土を廃虚と化す危険な提言だ」として撤回を求めた。

 あまりにも当然の批判であり、維新も3日に政府に提出した提言から非核三原則の見直しをするべきとする文言を削除。だが、それでも松井代表は「核を保有している国が力による現状変更を試みたという事実を目の前にして、(核共有や非核三原則の見直しについて)議論もするなというのは違うと思う。そのままやり過ごすのは無責任だ」などと述べたのだ。

 バカも休み休みに言え、という話だろう。今回のウクライナ侵略で露呈したのは、核が侵略者によって一方的な恫喝に使われれば抑止力にはならないという「核抑止論の限界」だ。それを、過去に隣国を侵略した日本が核共有するなど核軍拡を進めれば、それこそ核攻撃を受ける口実を与えることになるだろう。だいたい、欧州の核共有は核拡散防止条約(NPT)発効前からのものであり、日本の核共有は非核三原則だけではなくNPTや原子力基本法に違反する可能性があるのだ。

 しかも、松井代表の「非核三原則は昭和の価値観」発言に対しては、被爆者団体からだけではなく、安全保障の専門家からも批判が飛び出している。

安全保障の専門家らも「核持ち込みにメリットはない」「むしろ危険なだけ」と指摘

 たとえば、アメリカの政策研究機関・ハドソン研究所の研究員である村野将氏は、松井代表の発言を伝えたニュース記事を引用した上で、〈非核三原則が昭和の価値観なら、NATOの核共有は冷戦の価値観。かつては有用だったが、今は軍事的価値がなくなり、核同盟としての政治的象徴だけが残っている。つまるところ、核使用に関するもっと深い協議枠組みが必要なだけであって、核が日本国内の地上施設にある合理性はない(というかむしろ危険)〉〈今更、核持ち込みを認めてもメリットは特にありません〉と投稿。

 また、国際政治学者である神保謙・慶應義塾大学総合政策学部教授も〈核共有(シェアリング)を情緒的な半核武装論として議論するのは日本の抑止力を低下させる〉とし、〈核共有論者の根拠は、核共有によって日本が半独自の懲罰的抑止力を持ち、また核の存在によって敵国の攻撃コストを高め、米国による拡大抑止の効果を高める、と想像。ただ核共有の核兵器は米管理下にあり、二重鍵のマスター鍵は常に米国が持つ。日本独自の抑止力という目的は排除して考える必要がある〉と指摘。〈核共有の議論を見据える前に考えるべきは、日米の核拡大抑止の信頼性を十分に高める努力をすることだ〉と警鐘を鳴らした。

 さらに、日朝首脳会談を実現させた立役者として知られる田中均・元外務審議官は、〈敵基地攻撃能力や核シェアリングについてそもそも「タブー」など無い。既に議論は行われ、ミサイル防衛システム導入や米国拡大核抑止の強化に繋がってきた。台湾有事可能性やウクライナ危機を前に、本来議論すべきは安保環境を改善する外交の在り方。反中、反韓、反ロ、反北朝鮮だけで良いわけがない〉と投稿している。

 ようするに、松井市長は核共有や非核三原則の見直しについて議論しないことを「無責任だ」などと叫んでいるが、安全保障の専門家から見れば、現実的には何の意味もない、もはや議論にも値しないものなのだ。

 そういう意味では、岸田文雄首相が核共有論を否定したのはごく当たり前の話なのだが、松井代表や維新の連中は、参院選を控えて、こうした恥も外聞もない非現実的なお花畑的核武装論を展開することでネトウヨ層の歓心を買おうと必死になっているのである。まさしく戦争を利用した火事場泥棒ではないか。

核武装論の一方で、所属議員・鈴木宗男のロシア擁護、ウクライナ批判をかばう松井市長

 しかも、松井代表や維新の連中が下劣なのは、かたや「ロシアの味方」のような振る舞いをおこなっていることだ。

 たとえば、ロシアのウクライナ侵略に対して日本共産党の志位和夫委員長が〈仮にプーチン氏のようなリーダーが選ばれても、他国への侵略ができないようにするための条項が、憲法9条〉と投稿したことにウザ絡みした挙げ句、松井代表は2月25日の会見で「共産はまた9条でどうのこうの言ってるけど、あの人たちはロシアの味方なんかなと思う」などと発言した。

 しかし、実際は「ロシアの味方」をしているのは維新のほうだ。そのひとつが、維新所属の鈴木宗男・参院議員のロシア擁護、ウクライナ批判を庇いつづけていることだろう。

 鈴木議員は自身のブログで「ゼレンスキーが大統領になってからミンスク合意、停戦合意を履行しなかったことが今日の事態を招いている」などと主張し、国会質疑でも明らかに“ロシア寄り”の発言を繰り返した。

 こうした鈴木宗男議員の発信には、ウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使が〈なんという恥知らず、吐き気がする!〉(What a shame, disgusting!)〈ムネオ・スズキ、よく眠れてるか?〉(Muneo Suzuki, do you sleep well?)と名指しで批判する騒ぎとなっていたが、さらにここにきて、林芳正外相に対する面会要請が約1カ月も放置されていた問題について、コルスンスキー駐日大使は〈(自分と)会いたくなかったのは副大臣の鈴木さんだ〉(It is his deputy Ms.Suzuki who did not want to meet)と投稿(現在は削除)。つまり、鈴木宗男議員の長女で外務副大臣である自民党の鈴木貴子・衆院議員が面会を止めていた、というのだ。

 この駐日ウクライナ大使の投稿について、鈴木貴子・外務副大臣は事実無根だと主張しているが、いずれにしても、問題なのは松井代表の態度だ。前述した鈴木宗男のブログでの主張をコルスンスキー駐日大使が批判したあとも、松井代表は「鈴木さんはすれ違いを指摘しただけ」と擁護。記者から「代表から注意しないのか」と訊かれても、「表現の仕方まずかったけど、それでいちいち全部、党のメンバーに表現をすべて僕が指摘して直させるっていうのも違う」などと語り、事実上、容認したのだ。

 ロシアが国際秩序を破壊して侵略をおこない、戦禍で多くのウクライナ市民が犠牲となるなかで、「ウクライナに非がある」と主張する所属議員を擁護する──。「ロシアの味方」と呼ぶべきは、明らかに維新ではないか。

 そういえば、“維新の生みの親”である橋下徹も、プーチンに反対の声をあげる人々を「クソの役にも立たない」「言いたいことを言いたいならウクライナに行って戦え」などと矮小化した挙げ句、「NATOが政治的妥結すべき」とプーチンに屈服しろと言わんばかりの主張を繰り広げており、本サイトでは、こうした言動の背景には、権力や弾圧で国民を従わせ、軍事力で他国を屈服させようとするプーチンのような独裁的な政治家、絶対的強者に対する憧憬があるのではないか、と指摘した。

 しかし、今回の松井代表の非核三原則見直し主張や鈴木宗男擁護を見ていると、こうした姿勢は橋下氏だけでなく、松井代表や吉村洋文・大阪府知事など、維新の政治家に共通するものだ。維新という政党全体にプーチン的な独裁者志向が浸透していると言っても過言ではないだろう。彼らが大事なのは、自分たちの権力拡大と政治的野望の達成だけ、そのためには、民主主義や法の支配を踏みにじることも平気だし、市民の安全や命など虫けら同然にしか考えていない──。

 実際、大阪万博やカジノに巨額の予算を投入しながら、医療や保健所をケチり、コロナ患者が次々と亡くなっている状況は、まさに強権・独裁的な政治の弊害以外の何物でもない。

 しかも、全国で最悪のコロナ死亡者数を記録しても、自治体の責任者である松井市長はろくな対策も打たず、ロシアの侵略に乗じて“非核三原則を見直せ”などというお花畑国防論をわめいている。最悪の政治集団と言うしかない。

最終更新:2022.03.05 08:51

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