聖火リレーの醜い“スポンサーファースト”! 公道ごり押し、子どもにスポンサー製品の着用強要、コカ・コーラ社以外の自販機隠し

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TOKYO2020公式サイトより


 聖火リレー開催自治体の首長から、東京五輪組織委の感染対策を無視した横暴とデタラメを告発する声が次々と上がっている。
 
鳥取県では、感染拡大防止に配慮して公道を走ることをとりやめたはずのガンバレルーヤのまひるについて、組織委が「公道を走る」とした資料をメディアに対しリリース。鳥取県が訂正を求めたにも関わらず、訂正を拒否していたことを、同県の平井伸治知事が明かした。橋本聖子・組織委会長が謝罪する事態となった。

また、山梨県では、長崎幸太郎知事が東京五輪聖火リレーに伴走するスポンサー車両について「聖火リレーの前後を走行し、グッズを配りまくって人を寄せるのはいかがなものか」と苦言を呈したところ、組織委の布村幸彦副事務総長から渡辺和彦副知事に「聖火リレーはパートナー企業の協賛金があって成り立っている。発言が繰り返されるなら影響が出ると知事に伝えてほしい」と圧力があったことを明かした。

しかも、その後、組織委の橋本会長が長崎知事に謝罪、県と感染防止対策について協議することで合意していたはずが、今月1日、組織委が山梨県の聖火リレーを予定通り公道で実施すると一方的に発表。長崎知事が再び、「感染対策に触れないまま、公道での実施が報道された」と抗議する事態になっている。

 いったいなぜ、組織委は自治体を無視してまで、公道での聖火リレーを強行したがり、感染対策無視の横暴を繰り広げようとするのか。

その背景に、東京五輪組織委の傲岸な体質があるのはもちろんだが、それ以上に大きいのはやはりスポンサーの存在だ。

聖火リレーにも大会と同様、スポンサー企業がついており、約100億円の協賛金を拠出している。

そして、公道で聖火リレーをやる場合は、ランナーの前後を、スポンサーであるコカ・コーラやトヨタ、NTTなどの企業名が大書された改造車が何台も列を連ね、大宣伝を繰り広げるのだ。車両からは、ゆずやEXILEなどの曲が大音量で流され、荷台に立つDJがマイクを使って大騒ぎしながら、スポンサー名の入ったノベルティグッズを配りまくるのである。

その光景は、山梨県知事が指摘していたように、コロナ下で密をつくりだす愚行としか思えないが、しかし、金を出したスポンサーは、「出した金に見合う宣伝活動はやらせてもらう」とばかりに、公道での聖火リレー実施を要求。組織委も「リレーを中止したら、スポンサーから『逸失利益を支払え』と言われかねない」と、自治体の意向を無視し、感染対策と逆行する愚行をごり押ししているのだ。

 今の商業五輪は“スポンサーさまが神様”というのはよく言われるが、国民の健康や命よりもスポンサーの利益が優先されるということらしい。

聖火リレーのルートもスポンサーありき 組織委の指示でコカ・コーラ社以外の自販機に幕

しかも、聖火リレーのスポンサー至上主義は、感染対策に逆行する公道実施強行だけではない。ほかにも、各地でグロテスクなスポンサーファーストの光景が繰り広げられている。

 その一つが、コース上にあるスポンサー以外の企業の看板や自販機隠しだ。前述した通り、聖火リレーはコカ・コーラ社がスポンサーに名前を連ねているのだが、リレーのルートは極力、コカ・コーラ社以外のメーカーの自販機を避けて組まれているのだという。

「とくに、著名人が走ったり、メディア取材ポイントなど、人目に触れるところにコカ・コーラ社以外の自販機があるのは絶対NG。どうしても、避けられない場合は、別企業の自販機に幕をかけるなどして隠している」(広告代理店関係者)

 たとえば、5月末に聖火リレーが行われた、京都府立京都スタジアムでは、スタジアム内の自動販売機16台のうち、コカ・コーラ以外の企業名が入った8台に、五輪ロゴなどをあしらった幕が掛けられた。

 それだけではない。この京都スタジアムはネーミングライツが売却され、現在、「サンガスタジアム京セラ」という名称になっているのだが、リレーが終わる5月26日までの間、外周に掲げられているスタジアム名を示す大看板の「サンガ(SANGA)」と「京セラ(KYOCERA)」の部分が黒い幕で覆われた。

 京都新聞は「五輪スポンサー企業以外の企業名を伏せるよう、大会組織委員会から指示を受けた措置」としてこれを報じたが、全国各地で同様のことが行われているのだ。

聖火リレーに動員する中学生にまでスポンサー製品の着用を強要

 さらに、呆れ果てたのが、この醜いスポンサーファーストを、子どもたちにも押しつけていることだ。

聖火リレーでは、走者の後方を走る「サポートランナー」に中学生などを参加させている地域があるのだが、そのサポートランナーの中学生に、スポンサーである運動具メーカー・ASICS(アシックス)の製品を着用することを強要しているのだ。

たとえば、神奈川県藤沢市では、同市教育委員会が市内中学校長などに対し、教育総務課長と東京オリンピック・パラリンピック開催準備室長連名の文書を送付し、サポートランナーとして各校生徒1人を選出するよう依頼。そのなかで、留意事項として、生徒の服・靴・帽子は、東京五輪・パラリンピックのスポンサー企業の製品か、他社製の場合、ロゴマークなどの印字や刺しゅうが見えない物などに限るとして、対応できない場合はテープなどでロゴなどを隠すよう指示していたことが判明した。

この教育委員会の指示については、市民団体が批判していたが、当然だろう。コロナ下で密になる聖火リレーに子どもを参加せようということ自体が問題なのはもちろん、教育委員会が子どもにスポンサー製品の使用強要までするとは、権力や金を持っている者を忖度するような人間を育てようとしているのかと言いたくなる。

 いずれにしても、こうした聖火リレーの実態を見れば、「平和の祭典」だの「復興への思いをつなぐ」だのといった美辞麗句が嘘っぱちで、その本質はスポンサーのための「カネまみれ」イベントでしかないことがよくわかるだろう。

 そもそも、聖火リレーはオリンピックの伝統でもなんでもなく、ナチスドイツがアーリア人の優越性を喧伝するためにベルリン五輪ではじめたものであるため、その実施には以前から強い批判の声が上がっていた。しかも、そこに、金権・商業主義の要素が加わって、コロナ禍で国民や子どもまで巻き込み、感染の危険にさらしているのだ。

 オリンピック・パラリンピックの中止はもちろんだが、その前に、まず聖火リレーという、この危険な拝金イベントを中止すべきだろう。

最終更新:2021.06.05 06:32

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