橋本聖子より酷い 丸川珠代は男女共同・五輪担当相に不適格! 男社会を内面化した「娘として」発言、夫婦別姓反対、ヘイトデマ丸乗り

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丸川珠代公式HPより


 東京五輪組織委員会の新会長に橋本聖子氏がおさまり、すっかりメディアでは一段落感が漂っている。しかし、橋本氏がいかに組織委会長にふさわしくないかについてはすでにお伝えしたとおりだ(https://lite-ra.com/2021/02/post-5799.html)。

 無論、この人事はすべて菅義偉首相の目論見どおりのもの。性差別発言をおこなった森喜朗・前会長による川淵三郎氏の後任指名を事前に了承しておきながら、「密室禅譲」だと批判が集まるや否や、主導して「組織委会長に橋本」でレールを敷いた。「透明性が大事」などと言いながら、菅首相は東京五輪開催を強行するための“傀儡”を会長に据えるべく、密室人事をおこなったのだ。

 しかも、橋本氏は森氏が自身の派閥である細田派の所属で、以前から「娘だと思っている」と紹介してきた秘蔵っ子。ようするに、菅首相や森氏といった権力を握る男たちが、自分にとってコントロールしやすい「わきまえた女」を選んだにすぎないのだ。

 だが、今回の人事では、男性権力者たちが橋本氏以上の「わきまえた女」として、もうひとり大臣に引き立てた。橋本氏の後任として五輪担当相、男女共同参画担当相、女性活躍担当相に選ばれた丸川珠代氏だ。

 丸川氏といえば、1993年にアナウンサーとしてテレビ朝日に入社し、2007年に退社して参院選に初出馬し当選。このとき丸川氏を政界へと口説き落としたのは安倍晋三・前首相で、政界入りを果たしてからは安倍前首相そっくりの極右発言を繰り返すだけではなく、森友問題における佐川宣寿・元財務省理財局長の証人喚問では、真相究明よりも安倍夫妻の関与を「否定」するための露骨な“誘導尋問”をおこない、批判を集めた。

 当然、安倍前首相は自分の言うことをよく聞く丸川氏を可愛がり、丸川氏はそうして政界でのし上がり、第二次安倍政権では連続して入閣を果たしてきた。この丸川氏の世渡り術を象徴するのが、2015年に環境相に就任した際の発言だ。

 丸川氏は、環境省の職員を前にして、こんな挨拶をおこなった。

「妹というべきか娘というべきか悩むところだが、そういう人間が自分たちのところに来たという思いで、お育ていただけたらありがたい」

「妹、娘として育ててほしい」などと女としてへりくだってみせる。この台詞こそが自民党的「わきまえた女」がどういうものなのかを浮き彫りにするものだが、丸川氏はこうしたあからさまな世渡り術を公の場で披露するだけではなく、女性差別に基づいた政策を押し進めようとさえしてきた。

 たとえば、丸川氏は選択的夫婦別姓制度の導入に「反対」する急先鋒のひとりなのだ。

選択的夫婦別姓制度を潰した丸川珠代 杉田水脈ら極右議員とともに地方議会にも圧力

 今回の大臣就任にともなって18日夜におこなわれた会見では、記者から選択夫婦別姓制度の導入に対する自身のスタンスを問われた際、丸川氏は「いまちょっと私個人の考えをここで述べさせていただくのは控えさせていただきたい」などと回答を拒否したが、丸川氏はこれまでも現在も反対の立場にある。

 選択的夫婦別姓制度をめぐっては、昨年末、前任者の橋本氏が導入実現に向けて検討を進める方針を男女共同参画基本計画案に盛り込みたいという考えを表明。一気に制度化に向けて動き出すかと期待が高まったが、計画案は自民党の部会で修正に次ぐ修正に追い込まれ、「選択的夫婦別姓」という文言までをも削除して「夫婦の氏に関する具体的な制度のあり方」という本質を覆い隠す表現に変更されるという事態に。前進どころか大幅に後退してしまった。

 そして、こうした選択的夫婦別姓制度の導入を阻止しようとする「反対派」として、丸川氏も積極的に活動しているのだ。

 その証拠が、自民党所属の埼玉県議会議員・田村琢実氏が2月3日に自身のブログで公開した〈自由民主党所属国会議員有志の連名〉で送られてきたという文書。そこには〈「選択的夫婦別氏制度」の創設には反対しております〉〈家族単位の社会制度の崩壊を招く可能性がある〉と書かれており、地方議会における「選択的夫婦別氏制度の実現を求める意見書」の採択の動きに対し、〈貴議会の自由民主党所属議員の先生方にも私達の問題意識をお伝えいただき、慎重なご検討を〉と求めている。

 計画案を修正させただけではなく、地方議会にも手を伸ばして圧力をかけているとは絶句するほかないが、問題はこの文書の最後。送り人として「国会議員有志」の名が並んでいるのだが、そこには計画案を大幅修正に追い込んだ山谷えり子・元拉致問題担当相や高市早苗・前総務相、衛藤晟一・前少子化対策担当相、片山さつき・元地方創生担当相、有村治子・元女性活躍担当相、杉田水脈衆院議員、長尾敬衆院議員、赤池誠章参院議員といったネトウヨ極右議員の面々とともに、丸川氏の名がしっかりと明記されているのである。

 言っておくが、夫婦同姓を法律で義務付けている国は世界で日本以外にはなく、国連の女子差別撤廃委員会が2003年から日本に繰り返し制度への懸念を表明しているように、夫婦同姓の強制はこの国のジェンダー平等の遅れを象徴する大きな問題のひとつだ。なのに、性差別是正と「女性の活躍推進」の先頭に立つべき大臣が、それに猛反対している──。しかも、これはジェンダー平等が謳われているオリンピック憲章にも反するもので、あらゆる意味で大臣の資格がないと言わざるを得ないだろう。

子ども手当に「愚か者めが」のヤジ 少子化対策を聞かれて「地域の絆」を主張

 夫婦別姓の問題だけではない。丸川氏は、「女性」であり「出産・子育て経験者」だが、いまの社会のなかで女性がどうすれば生きやすくなるかといった視点をまったくと言っていいほど持ち合わせておらず、むしろ「自己責任」を唱えてきた。

 象徴的なのは2010年、民主党政権が進めた子ども手当法案が委員会採決された際、「この愚か者めが!」「このくだらん選択をしたバカ者どもを絶対忘れん!」と大声でヤジを飛ばした一件だが、環境相時代の2015年にもNHK『日曜討論』で少子化対策を問われ、「家族をどうやって増やしていくかというか、きちんと絆をもっていくかが、これからのカギ」などと発言。司会者から「その家族が実際なかなか増えていない。支援策としてはどうか」と再質問されても、「何より地域の絆ですね。家族を周りで取りまいている地域の絆、しっかりまた強くしていくのは大事なこと」と述べていた。

“国からの子育て支援策に甘えるな。家族や地域の力を借りてどうにかしろ”とは、まさしく「自助」を振りかざす菅首相とも通ずる自己責任論だが、このような主張をする人物が男女共同参画や女性活躍を担当する大臣にふさわしいはずがない。

 その上、丸川氏は五輪担当相としても、過去に信じられない答弁をおこなっている。

 それは、2017年1月31日参院予算委員会でのこと。この日の審議では、東京五輪でゴルフ競技の会場となっている霞ヶ関カンツリー倶楽部では女性が正会員になれず、さらには女性は原則日曜日にプレーできないことから「オリンピック憲章に反する女性差別ではないか」と問題になったのだが、答弁に立った丸川五輪担当相はこんなことを言い出したのだ。

「スポーツや教育の分野では、男性または女性のみに資格が認められることが不合理とはされていない部分が事実として存在する」

 女性という属性を根拠に正会員として認めない、日曜はプレーさせないというのは疑いようもない性差別そのものだというのに、丸川五輪担当相はそれを認めようとはしなかったのである。

 どうしてこんな人物が、しかも日本の性差別とジェンダー平等への問題意識の低さが国内外から注目されているなかで五輪担当相に再任するのか、まったく意味がわからないが、丸川氏が五輪担当相として不適格である理由はもうひとつある。

 じつは、丸川氏はヘイトスピーチまがいのデマ発言まで口にしているのだ。

「WiLL」(ワック)2011年3月号に掲載された故・渡部昇一氏との対談では、民主党政権が前年に導入した子ども手当について、渡部氏の「(子ども手当を目当てに)中国人や韓国人が役所へやってきて、一人で数十人も申請するようなケースが出てきてしまった」というデマ丸出しの主張に丸乗りし、丸川氏は「子ども手当は、子供が日本国内に住所を有せず、かつ日本国民でない場合は支給しない」という条項をつければ「あのような事態は未然に防ぐことができたんです」などとヘイトスピーチまがいのデマを言いふらしていた。

「平和の祭典」を標榜する五輪の開催国代表が、ヘイトスピーチまがいのデマを堂々と吹聴していた──。あらゆる意味で国際的に「即アウト」の人選ではないか。

マツコ・デラックスが驚いたテレ朝アナから自民党入りした後の豹変

 このように、丸川氏が選択的夫婦別姓に反対したり、明白な性差別さえ認めず「家族の絆」を振りかざして女性に責任を押し付けたり、さらにはヘイトデマまで口にしてきたのは、前述したように丸川氏が安倍前首相によって引き立てられてきたという背景が影響していることは疑いようもない。

 というのも、政治家になる以前の丸川氏は、どちらかといえばリベラルな姿勢を見せていた。たとえば、テレ朝時代の2003年に刊行した金子勝氏との共著『ダマされるな! 目からウロコの政治経済学』(ダイヤモンド社)では、当時の小泉政権によって進められていたネオリベ的な改革や米国ブッシュ政権によるイラク戦争の強行などを鋭く批判していた。それがなぜこんな180度真逆の姿勢を持つようになったのか。

 この丸川氏の豹変について、あのマツコ・デラックスが興味深い分析をしている。丸川氏が環境相として初入閣した2015年、マツコは「EX大衆」(双葉社)の連載のなかでこんなことを綴っていた。

〈テレ朝時代の丸川さんのこと、アタシけっこう好きだったのよ。女子アナ・ブームにも踊らされていなかったし、女性蔑視的な発言をする人に対してはっきりと反論するという話も聞いていたの。〉

 そして、マツコはこう続けている。

〈だから、自民党から参院選に出馬するって聞いたときも、「あっ、自民党にもこういったタイプの人が入って、新しい面を見せてくれるような時代になったんだ」と思っていたの。
でも、結果は──。これまでの自民党の歴史の中でも最高峰のホステスぐらいの仕上がりになっていたからね。〉

 女性蔑視的発言にもはっきり反論し、ネオリベ政策に異を唱えていたのに、政治家になった途端、ヘイトスピーチまがいのデマまで口にし、女性に自己責任論を押し付けるようになった。これは自民党という絶対的な男性優位社会のなかで丸川氏が身につけた処世術であり、このような“変貌”をマツコは「ホステス」と評したのだろう。

 たしかに、いまこの国では、「わきまえた女」にならなければ社会でのし上がれないという差別構造がまかり通っている。だが、本来は、その女性に「わきまえろ」と強要する男性社会の是正を進めるのが五輪担当相および男女共同参画担当相、女性活躍担当相の責務のはずだ。

 しかし、現実には男社会の価値観を疑わないまま完全にそれを内面化してしまっている丸川氏のような女性が、その職に就いてしまう。その事実こそがこの国の差別的本質と後進性をもっともよく表していると言っていいだろう。

最終更新:2021.02.20 09:01

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