菅首相が「日本学術会議」問題で理由を説明せず! しかも記者会見でなく3社だけの「グループインタビュー」形式で追及封じ込め

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首相官邸HPより


 憲法に保障された「学問の自由」を踏みにじり、違法が指摘されている「日本学術会議」任命拒否問題で、本日はじめて菅義偉首相が内閣記者会の「グループインタビュー」に応じ、「それぞれの時代の制度のなかで法律に基づいて任命をおこなっている」「学問の自由とはまったく関係ない」と主張。一方、6人を任命拒否した理由については「個別の人事に関することについてはコメントを控えたい」などと言い、説明を拒絶した。

 たしかに、こんな無茶苦茶な人事介入、理由を説明することなどできないだろう。

 しかし、すでに指摘されているように、国会での過去の答弁などからしても、法解釈としては総理大臣が任命を拒否することはできず、菅首相がやってのけたことは違法行為だ。にもかかわらず「法律に基づいている」と言い張ったのである。

 まあ、ここまでは、官房長官時代に「問題はない」「指摘は当たらない」と突っぱねてきたのとまったく同じだが、今回、菅首相はこんなことまで口にした。

「事実上、現在の会員が自分の後任を指名することも可能な仕組みとなっている。こうしたことを考えて、推薦された方をそのまま任命してきた前例を踏襲してよいのか、考えてきた」

 つまり、自ら掲げる「悪しき前例主義の打破」の一貫だと主張したわけだが、首相の独断で憲法と法律を犯すことが許されるなどあるわけがない。ようするに、菅首相は「法治国家」という大前提さえ崩すことを自己正当化してみせたのである。

 総理大臣になってその強権独裁がパワーアップしているかのような発言の数々だが、菅首相のこうした発言のみならず、きょうはもうひとつ、大きな問題が浮上した。菅首相がおこなった、この「グループインタビュー」なるものの存在だ。

グループインタビューなのにテレビは菅首相のコメントだけを放送、記者会見に偽装

 まず、これだけ大きな問題となっているのだから、本来なら会見を開いて国民に向けて説明をおこなうのは当然の話。百歩譲ったとしても、官邸でのぶら下がり取材でしっかり質問時間を確保し、そこで説明するべきであることは言うまでもない。

 しかし、きょう菅首相が発言をおこなったのは「記者会見」ではなく、内閣記者会常勤幹事社である読売、日本経済、北海道新聞の3社との「グループインタビュー」でのこと。「会見」ではないため、NHKで生中継されることも、YouTubeなどで生配信されることもなし。その「グループインタビュー」の時間は30分にも満たない短いものだった。

 そして、「グループインタビュー」終了後に、ようやく収録された映像が“解禁”されたのだが、その模様は異常そのものだった。まず、会場の前方中央に設けられたテーブル前に菅首相が着座し、菅首相を囲むようにコの字型に配置されたテーブルに3人の記者が。そして、後方に並べられた椅子に座り、黙って「インタビュー」を見つめる多くの記者たち……。

 しかも、あらためて菅首相の姑息さを思い知らされた点がある。夕方のニュース番組などは菅首相のコメント部分だけを放送していたのだが、その様子は、一見するだけではまるで「記者会見」を開いたかのようにしか見えなかったのだ。

 実際には「記者会見」とはとても言えないシロモノでしかないのに、あたかもしっかり説明をおこなったかのように見せかける──。これを暴挙と言わずして何と言おうか。

 いや、恥を知るべきは、この暴挙に加担した大手メディアの記者たちだ。

 繰り返すが、菅首相は3社3記者からの質問に答えるだけで、他の記者たちはその様子を淡々と眺めるだけ。手を挙げて質問することもできず、ただ「同席」しているだけだった。国民の「知る権利」に奉仕するべき場面で、自由に質問も封じ込められた場に黙って座っていることを、記者として恥ずかしいことだとは感じなかったのか。

 その上、フリージャーナリストの畠山理仁氏のツイートによると、この「グループインタビュー」への「同席」が許されたのは、先日3日に原宿のパンケーキ店でおこなわれた「完全オフレコ懇談会」の参加対象とされた内閣記者会常勤幹事社。それ以外のフリーの記者らは別室で「音声」を聞くことが許可されたというが、それも抽選だったというのである。

日本学術会議問題を質問したのは北海道新聞だけ 日経、読売は一切触れず

 菅首相は就任以降、「GoToトラベル」の東京除外解除もあったというのに記者会見を一度も開かず、国会での所信表明演説さえもまだおこなっていない。そんななか、日本学術会議の問題が発覚したのだ。メディアとして記者としていま要求すべきは、広く開かれた記者会見の開催であることは論を俟たない。

 にもかかわらず、記者会見開催の要求にも応えない菅首相サイドからの「パンケーキ懇談会のお誘い」には唯唯諾諾と従った(いまのところ、この“パンケーキ懇”を蹴ったことがわかっているのは朝日、東京、京都新聞のみ)。そして、今度は質問することさえ許されない「グループインタビュー」などという「会見」に擬態した国民を騙すような詐欺的な催しに乗ってみせたのである。

ちなみに、「グループインタビュー」で日本学術会議問題を質問したのは北海道新聞の記者のみ。読売新聞の記者の質問は「政権発足から3週間経っての手応え」「外交」「東京五輪」「憲法改正」「敵基地攻撃能力の保有」、日本経済新聞の記者が質問したのは「国際金融センター構想」「東証のシステム停止」「成長戦略」「携帯電話料金値下げ」「経済対策の編成と規模」についてだった。

 この結果だけでも、菅首相のこの作戦は効果があったと言っていいだろう。そして、菅首相はこれからも、内閣記者会常勤幹事社に対して順番で「グループインタビュー」を許可してゆく、というこのやり口を続けていくのではないか。

 そうすれは、ごく一部のメディアからの質問しか受け付けていないのに、会見をやったように見せられるうえ、内閣記者会を分断することで「会見を開け」という要求を封じることができるというわけだ。

 それにしても、日本学術会議問題にかんする説明も滅茶苦茶だった菅首相に対して、説明責任を追及すべきメディアがこの体たらく……。「毒まんじゅう」ならぬ「毒パンケーキ」を頬張って、すっかり骨抜きになったということなのだろうか。

最終更新:2020.10.05 09:21

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