不祥事・トラブルに関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
「桜を見る会」で田崎史郎と産経が失笑のスリカエ詐術で安倍擁護…でも安倍後援会850人招待には田崎も「多いな」とポロリ
『モーニングショー』に出演する田崎氏
深まりを見せる安倍首相主催の「桜を見る会」疑惑。国民の血税を使って自民党議員の後援会関係者や御用文化人たちを“接待”しているわけだが、昨日、本サイトで報じたように、会のケータリング業者も安倍夫妻の“お友だち”の企業が毎年落札いることが判明した(https://lite-ra.com/2019/11/post-5086.html)。
まさに、公私混同や利益誘導の加計学園問題を彷彿とさせる疑惑の伏魔殿だが、その一方で、ネトウヨや安倍応援団は苦し紛れに矮小化を図っている。曰く、「民主党政権も『桜を見る会』をやっていたじゃないか!」というのだ。たとえば産経新聞は〈会は旧民主党政権でも行われ同党議員の後援会幹部も招待されたとの証言がある〉〈旧民主の流れをくむ現在の野党も「返り血」を浴びかねない〉(産経ニュース12日)などと煽り立てている。
まったく、だからなんだというのだ。たしかに民主党政権下も総理主催の「桜を見る会」は開催されたが、開かれたのは鳩山由紀夫政権時、2010年の一回だけ。2011年は東日本大震災を受けて取りやめ、2012年の野田内閣では北朝鮮が4月12〜16日の間に弾道ミサイルを発射すると予告していたことを受け「対応に万全を期す」として中止にした。
一方、安倍政権は2013年以降7年連続で開催しており、とりわけ2017年は北朝鮮情勢の緊張が高まっていたなか、安倍首相は「北朝鮮はサリンを弾頭につけて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」(同年4月13日参院外交防衛委)など答弁するなど、散々“今日明日にも北朝鮮のミサイルが撃ち込まれてもおかしくない”と煽りまくっていたにもかかわらず、そのわずか2日後の4月15日に「桜を見る会」(約17000人参加)を開催。支持者や芸能人たちと写真撮影までしてご満悦だったのである。
いずれにしても、安倍政権になってから“招待客”の数もかけられた税金も爆増していることは、揺るがない事実だ。実際に、鳩山政権の2010年に約1万人だった参加者は、安倍政権の2018年には約1万8000人とほぼ倍増。何度でも繰り返すが、予算額は2014年度以降約1767万円で固定されていたのに、支出は年々増え今年2019年度は5519万円と約3倍に膨らんだ。しかも、このことが問題になると、2020年度予算の概算要求で内閣府は「桜を見る会」の関連経費として本年度の3倍を超える5729万円を計上。無駄遣いを見直すのではなく、逆に予算額を増やしているのである。
この問題の本質は、明らかな国民の血税の私物化と、公職選挙法違反すら疑われる安倍首相による支持者・後援者への接待、そして“お友だち優遇”の疑惑だ。民主党政権を持ち出してくるのは、まさに安倍応援団による問題の矮小化としか言いようがないだろう。
すでに「桜を見る会」疑惑は、普段は腰が引けて政権批判につながるネタを忌避するテレビのワイドショーですら取り上げざるを得ないほど、大きな問題になっている。ところが、そんななかでまたぞろ怪気炎をあげているのが、ご存知、“官邸御用ジャーナリスト”の田崎史郎氏だ。
田崎氏は昨日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)と『ひるおび!』(TBS)にはしご出演。予防線を張りつつ、必死に安倍政権をフォローしまくったのである。
玉川徹は「田崎さんが呼ばれて青木さんが呼ばれてない、それに全てが現れてる」
たとえば13日放送の『羽鳥慎一モーニグショー』(テレビ朝日)では、MCの羽鳥慎一から「田崎さんは招待されてない?」と訊ねられ「ぼくは招待状をいただいてますね。まだ行ったことはないんですけれども。数年前から、最初はね、僕は自民党担当のキャップの時に、何か手渡された記憶があるんです」と“告白”。政治取材をしている記者にも招待状が送られてくるという話をし始めるのだが、そこで羽鳥がコメンテーターの玉川徹氏に「玉川さん、呼ばれていないですよね」と振る。すると、玉川氏はいったん爆笑して、すぐに真顔になり、火曜レギュラーのジャーナリスト・青木理氏にこう聞くのだ。
玉川「そこですよ、ポイントは、まさに。聞きたいんですけど、青木さんは呼ばれたことあるの?」
青木「呼ばれるわけないじゃないですか」
玉川「そこ、本質なんですよ。(青木さんは)呼ばれたことないんでしょ。で、田崎さんは呼ばれているわけですよ。(机を叩きながら)ここに全てがあらわれているじゃないです」
周知の通り、安倍首相主催の「桜を見る会」には、政治記者だけでなく、ネトウヨ番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)のご一行など、安倍応援団文化人たちが多数招待されている。玉川氏が指摘するのは、まさにしく青木理氏のような安倍政権に批判的なジャーナリストは排除して、田崎氏のような“御用”だけを選んでいるということだが、田崎氏はシレっとこう言い出すのだ。
田崎「(最近も自分には)招待状はきてます。だから僕らの仲間にけっこうきてますよ。そこで、あの、政権に批判的な方も、批判しない人もそれほど区別なく来てますね、僕が見るところでは」
本当かよ、と思わずテレビ画面に突っ込みたくなる話だが、案の定、玉川氏から「フリーは別でしょ」と追及をうけると、田崎氏は「それはちょっと。あの、全員調べてるわけじゃないですね。わからないけど、自分の知ってる範囲だと、割合来てますね」としどろもどろ。
そして、安倍首相が「桜を見る会」を私物化していることや、安倍政権でかけられる費用が膨れ上がっているという批判に対して、こう話を逸らしにかかった。
「これはですね、『桜を見る会』ってのは先ほどご紹介であったように、ずっと続いてるんですよね。自民党ではない政権、細川非自民連立政権とか民主党政権の時代も開かれる。だからいろんな見方もあるかもわかりませんが、政治の許容、与野党の枠を超えた、共産党は政権に参加したことないから別ですけれども、多くの政党が許容してきた行事だと思います」
「繰り返しになりますが、安倍政権になってやってるのではなくて、ずっとやってきて。歴代の総理大臣はおそらくね、地元の後援者の人を呼ばれているのだろうと思いますよ。鳩山さんの時も一回調べたほうがいいと思うけども、鳩山内閣でやってますから、民主党政権下で。その時にどういう形で招待者を選んだのかっていうのをね。まず自分たちはこうしましたっていうことを言われるとわかりやすいと思いますね」
“民主党政権も「桜を見る会」をやっている”というのは、まさにネトウヨや産経新聞と同じ矮小化のロジックだ。だが、さすがに安倍首相の地元後援活動になっているのではとの疑惑について聞かれると、田崎氏も苦しくなって「これはちょっと多いな」とこぼしていた。
「おそらくはね、法律違反にはならないようにしてるんだと思うんです。で、なってないんだと思うんです。でも何か安倍総理の後援会の人たちだけ、うまい汁吸ってるねっていうイメージを与えていることが問題なんですね。少なくとも850人の方が来てるっていうことで。これはちょっと多いなっていい印象は、正直持ちますね」
田崎は「酒を振舞ってるというのは間違い」と主張も、会場には山口の酒「獺祭」がずらり
それでも、あくまで安倍政権をフォローしようとする田崎氏。安倍政権が「桜を見る会」の招待者リストを明かさず、記録も破棄されたと強弁するのに対し、天皇皇后主催の園遊会の招待記録が30年間保管され、すべてオープンになっているという違いについて聞かれると、やっぱり「民主党時代もやっていた」を繰り返すのだった。
「まあ、あの、天皇皇后両陛下が行われることと、政党が行われることでは、やっぱりそこは厳しさが全然違いますから。だから民主党政権時代はこうでしたよ、と。で、今はどうなってるんですか、と。そこで比較するとわかりやすいと思いますね」
いちおう突っ込んでおくと、「桜を見る会」は“政党が”おこなっているのではなく、“政府が”おこなっているもので、その公的性格はほとんど変わらないはずだが……。
この調子で、田崎氏の必死な安倍政権擁護のためのスリカエ論法は、続いて出演した『ひるおび!』(TBS)でも同様だった。安倍後援会幹部ら850人が招待されていることについて「度が過ぎてますね、やりすぎだっていうことじゃないかと思いますよ、私ですら」と発言するなど、“安倍御用ジャーナリスト”であることを逆手に取った自虐ネタでスタジオがどよめく場面もあったが、すぐに「法律法律違反では、どうもなさそうですよ。調べてみると」などとフォロー。
さらには、国会で共産党の田村智子参院議員が「『桜を見る会』は参加費無料なんですよ。会場内でも無料で樽酒、その他のアルコール、オードブルやお菓子、お土産をふるまうんですよ。これを政治家が自分のお金でやったら明らかに公職選挙法違反」と追及したことが紹介されると、田崎氏はこんなトンデモな反論をし始めたのだ。
「ただ新宿御苑内は禁酒、酒飲んじゃいけないんで、樽酒をちょっと舐める程度なアレで。アルコールをふるまっているっていうイメージを与えるのは間違いですよ」
そもそも「桜を見る会」の問題は酒をどの程度飲んでいるかの問題ではないが、税金で酒をふるまっているのは事実だ。たとえば、2017年の安倍首相主催「桜を見る会」に出席した人物のブログには、樽酒や山口県の高級日本酒「獺祭」の写真がアップされており、〈高級日本酒の獺祭がズラリと並んでいます!こちらもフリードリンク状態~〉〈さてさて、安倍総理が到着!本会場に向かう通路で握手をしてもらいましたーーー!〉〈昭恵夫人にも握手してもらいました♪〉などと記されている。「樽酒をちょっと舐める」程度どころか、獺祭がフリードリンク状態だったという。
おまけに、和菓子と酒升の写真をアップして〈和菓子のお土産もいただいて夢のような一日でした♪〉と締めくくられていた。血税を使って、政権が選んだ一部の人たちだけにタダで飲食させ、お土産までもたせているわけで、普通に考えておかしいとしか言いようがないだろう。
繰り返すが、「桜を見る会」の問題は、公選法違反や“お友だち優遇”が濃厚な、政権を揺るがす重大疑惑だ。だからこそ、田崎氏のような“御用ジャーナリスト”も、かばいきれないところは一線を引きつつ、世論を「たいした問題ではない」という方向へ誘導しようと必死なのだろう。
三原じゅん子は玉川徹、青木理に逆ギレし、「厳重に抗議します」と報道圧力の醜態
いや、必死ヅラをしているのは田崎氏だけではない。当の政権の政治家たちも、わけのわからない失笑モノの開き直りや逆ギレを見せている。その筆頭が、自民党の三原じゅん子参院議員だ。
前述の『モーニングショー』では、萩生田光一文科相や松本純・元国家公安委員会委員長らが自身の後援会関係者を「桜を見る会」に招待したことをブログで報告していた件も取り上げたのだが、そのなかで、三原じゅん子議員も2014年4月18日のブログで〈「桜を見る会」に出席してまいりました。今年は母や叔母たちも参加し喜んでおりました〉と記していたことを紹介。玉川氏と青木氏は、政府が「各界において様々な功績・功労のあった方々などを幅広く招待している」などと説明していることを念頭に、「三原じゅん子さんのお母さん、どういう功労なんだろう」とツッコむ一幕があった。番組は三原じゅん子議員の事務所に、母親や叔母を招待した理由を質問したが、一昨日までに回答はなかったという。
ところが、である。番組放送後、三原じゅん子議員はTwitterでこう逆ギレしたのだ。
〈この件は内閣府のルールに則って、招待された人が出席したまでです。
しかしながら番組での二人の母への発言は許しがたい侮辱発言だと思います。
厳重に抗議します!〉
愕然とせざるをえない。どういう神経をしたらこんなことが言えるのか。玉川氏と青木氏は招待基準の曖昧性を指摘したに過ぎず、三原議員の母親を「侮辱」などしていない。しかも番組は招待した理由をちゃんと聞いているのに、それには説明せずに「内閣府のルールに則って招待された」などと言うのは誤魔化しもいいところ。ガバガバな「ルール」が問題になっていることを、この安倍ヨイショ政治家はまったくわかっていないらしい。
まして、三原議員は与党の政治家であり、国民の税金で飯を食っている存在だ。納税者の疑問を率直に代弁した『モーニングショー』に対して「侮辱」などと難癖をつけ、「厳重に抗議します!」とは勘違いも甚だしい。正当性のかけらもないイチャモンであり、報道圧力だ。いま、「侮辱」されているのは納税者である。この逆ギレツイートだけでも、三原議員は議員辞職に値する。
いずれにせよ、安倍首相主催「桜を見る会」は、安倍政権によるお友だち優遇・利益誘導政治の腐敗の象徴だ。野党はもちろん、全メディアが徹底的に追及せねばならない。いまこそ、このつけあがった政権に突きつけてやるべきだ。国民をなめるのもいい加減にしろ、と。
(編集部)
最終更新:2019.11.13 01:29
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