大津事故で「#保育士さんありがとう」も…安倍政権は子供の危険高める保育士配置基準緩和! 昭恵夫人のお友だちが関与

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配置基準緩和の方針を打ち出した安倍政権(首相官邸HPより)


 保育園児2人が亡くなった滋賀県大津市の自動車事故。この痛ましい事故をきっかけに、SNS上では「#保育士さんありがとう」というハッシュタグが広がっている。

 たとえば、コラムニストの犬山紙子は〈保育士さんいつもありがとう 保育士さんたちのおかげで子どもがすくすく育って笑顔いっぱい お散歩に連れてってくれてありがとう いつも子どもの安全を第一に考えてくれてありがとう 私も笑顔で仕事できます 心無いことを言う人がいませんように〉と投稿。引率していた保育士には何の落ち度もなく、この事故をきっかけに萎縮しないでほしい──そんな保育士への感謝と励ましの声が次々に投稿されているのだ。

 このように、今回の事故をとおして多くの人が、保育士が小さな命を預かるいかに大変な仕事であるかをあらためて痛感したと思うが、この機会にいま一度、目を向けたいのは、そんな保育士の処遇改善が一向に進んでいないという現実だろう。

 実際、今回の事故を受けて注目されているのが、認可保育園における保育士の配置基準についてだ。

 事故の被害に遭った際、2〜3歳の園児13人(2歳が11人、3歳が2人)に対して引率していた保育士は3人。これに対し、「引率する保育士の人数が少ないのではないか」という意見もネット上ではあがっているが、実際には、厚労省は保育士の配置基準を設けており、保育士1人あたり0歳児は3人、1・2歳児は6人、3歳児は20人、4歳以上児は30人と定められている。事故被害に遭った園児らが通っていた認可保育園では、この散歩時の保育士の引率者数は国が定める配置基準内だったことになる。

 そもそも今回の事故はどれだけ大人がいたところで園児を守ることなど不可能だったと思われるが、図らずも保育士の配置基準が注目されたのは重要なことだろう。というのも、保育士1人で6人もの1・2歳児を、さらに行動も広がる3歳児を20人も見るなんてことは、どう考えても大変で、少なすぎると言わざるを得ないからだ。しかも、これは保育の質にも直結する問題である。

 実際、この配置基準は戦後間もない時期につくられたもので、多くの自治体や施設では、細やかな保育や安全性は確保できないとして、基準を上回る保育士を配置しているのが現状だ。国会などでも配置基準の引き上げが議論になり、厚労省も「3歳児の職員配置を改善」する方針を予算案に盛り込んできた。

 しかし、安倍政権は、保育士の配置基準引き上げを実現するどころか、2016年、それに逆行するような方針を打ち出している。同年、発表された「待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策」に、こんな項目が盛り込まれたのだ。

〈人員配置基準、面積基準において、国の最低基準を上回る基準を設定している市区町村に対して、一人でも多くの児童の受入れを要請〉

 つまり、安倍政権は保育士の配置基準を国の基準より手厚くしている自治体に対して国並みに緩めるよう圧力をかけ、細やかな保育や安全性を確保するためのギリギリの取り組みを邪魔もの扱いしたのである。

 その上、安倍政権は同年、保育士の有資格者ではない幼稚園教諭や小学校教諭、養護教諭に代えることを可能とする配置基準の緩和や、朝夕の保育士配置要件を2人から1人に減らす規制緩和を推進。さらに待機児童解消の目玉として認可外施設である「企業主導型保育」を導入した。

 この「企業主導型保育」は企業が国の助成を受けて運営するもので、これによって安倍首相は2年間で5万人分の受け皿をつくるとしたが、その開設・運営基準は認可保育園より緩く、配置基準も保育士の人員が50%でも可能とした。その上、認可保育所並みに助成金が受けられるというメリットにより、希望事業者は殺到した。

 当時から保育の質が確保できないなどという批判が起こっていたが、その指摘は的中する。企業主導型保育所で、閉鎖や保育士の一斉退職、経営悪化や助成金の不正受給などのトラブルが続出したのだ。多額の助成金を当て込んだずさんな経営や保育士への過重労働押し付けが原因で、今年4月には会計検査院も定員割れが多発しているとして内閣府に改善を求めている。

保育士基準緩和の提案者は昭恵夫人の「お友達」の保育事業経営者!

 これでは、待機児童解消を口実にした金儲け目的の企業を横行させるための規制緩和だったとしか思えないだろう。しかも、保育をめぐる規制緩和策には森友・加計学園問題と同じ“昭恵案件”“安倍首相のお友だち優遇”ではないかという疑惑まである。

 昨年6月、「週刊文春」(文藝春秋)は「『安倍昭恵さんを慰める会』を主催する女性経営者の打算」というタイトルを掲げた記事を掲載。それによると、安倍昭恵氏が保育事業を手掛ける大手企業・ポピンズの中村紀子会長の招待で山口県の割烹旅館に宿泊し、中村会長とふぐちりなどの高級料理やワインを楽しんだというが、じつはこの中村会長は認可保育園での保育士配置基準の緩和を提案した人物だったのだ。

 記事によると、中村会長は下村博文文科相や萩生田光一官房副長官(いずれも当時)ら安倍首相の側近政治家と関係を築き、国家戦略特区ワーキンググループのヒアリングにも「提案者」として参加。そして見事に規制が緩和。安倍政権発足時に約70億円だったポピンズの売り上げは、2017年度には約140億円に倍増。保育事業収入の半分は国や自治体などからの補助金で、「週刊文春」は〈昨年度の保育事業収入一二〇億円のうち六〇億円が公的な補助金による〉と概算している。

 安倍首相の側近のみならず昭恵氏との昵懇な関係が、ポピンズの急成長に大きな影響を及ぼしたのではないかと見られても不思議ではない。これはまさに“アベ友”関係をつかって獣医学部新設にこぎつけた加計学園の問題と同じ構図ではないのか。

 しかも、安倍首相は、待機児童問題の大きな要因になっている保育士の抜本的な処遇改善策を実行することもなく、幼児教育の無償化を打ち出した。SNS 上で「無償化より全入」という声が溢れるように、無償化よりも先に保育士の処遇改善に手を打つのが順序というものだが、結局、この幼児教育無償化も消費増税の口実でしかない。その上、財務省は昨年10月、財政制度等審議会の分科会に示した提言において、子ども1人当たりに必要な保育費用を定めた「公定価格」を引き下げることを提起(しんぶん赤旗2018年10月15日付)。公定価格の多くは人件費に充てられるもので、その引き下げはいま求められている処遇改善に逆行するものだ。

 安全性と保育の質の確保を置き去りにしたまま、それとは逆行した規制緩和を押し進める安倍政権。保育士という仕事の重要さ、大変さに思いをめぐらすと同時に、いま必要な政策が何であるかをじっくり議論すべきだろう。

最終更新:2019.05.11 01:04

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