水道民営化で自然災害が起きても復旧が困難に! 災害時の責任をうやむやにする安倍政権に被災自治体から批判の声

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”命のインフラ”を破壊した安倍首相(官邸HPより)

 抜け穴だらけの入管法改正案と並んで悪名高い水道法改正案が6日、衆院本会議で自民・公明与党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。

 改正水道法は施設運営権を民間企業に委託する「コンセッション方式」の導入を認めており、立憲民主党、国民民主党、共産党などの野党は「水道事業の民営化につながる。生命に直結するインフラを金儲けに使ってはならない」と反対したものの、阻止するには至らなかった。数にものを言わせる安倍政権の強権政治がまたしても繰り返された格好だ。

 本サイトはこれまでも改正案がはらむ問題点をあまた指摘してきた。内閣府の民間資金等活用事業推進室(PPP/PFI推進室)に、“水メジャー”と呼ばれるヴェオリア社(フランス)日本法人から職員が出向して水道法改正に動いた事実。菅義偉官房長官の補佐官に起用された福田隆之氏がもうひとつの水メジャーであるスエズ社(フランス)の運営施設ばかりを海外視察し、お抱え視察だったとされる疑惑……。日本国内の水道インフラを狙う外資と安倍政権との癒着発覚は後を絶たなかった。

 さらには、海外各地で民営化後に利用料金の高騰や水質の悪化が続出し、2000年から2015年に世界37カ国 235水道事業で再び公営化されている事実が国会や報道で暴露されると、政府は「海外のような失敗を防ぐため、公の関与を強めた」などと空々しい言い訳に終始してきた。

 しかも、この水道法改正によって起きるのは、水道料金高騰というようなレベルの話だけではない。地震や風水害などのあった地方自治体から「民営化したら災害に対応できるはずがない、それこそ住民の命を危険にさらす」という声が上がり始めているのだ。

「市民にとって何がベストかを考えるべき。民営化の是非は地域事情で異なるが、熊本市にはなじまない」

 熊本市の大西一史市長は国会審議の渦中だった今月4日の記者会見で、民営化をこう否定してみせた。2年前の熊本地震では熊本市の全戸が断水。市は給水車を絶え間なく往来させて給水に当たり、2週間をかけて全面復旧させた実績がある。短期間で復旧できたのは、技術の継承があったからだという。

 地元紙の当時の報道などによると、市内の水道はすべて地下水(井戸水)をくみ上げてまかない、各所に配置した水質管理施設を稼働させて水質を維持。水道の配管経路は複雑で、水道マンたちには高い技術力が求められている。「手間暇かかる災害時の復旧作業を、利益第一の民間企業が赤字覚悟で担えるはずがない」と熊本市の当局者は話しているという。

 こうした災害後の水道復旧問題は、この夏の台風や豪雨などで被災した広島や岡山、大阪でも取りざたされていた。在阪ジャーナリストが言う。

「実は、被災した簡易水道の復旧がままならず、断水が各地で続いたんです。簡易水道は独立採算制で、自治体の直営水道に準じた扱いになっているんですが、それでも速やかな手当ができなかった。そこへもってきて、民営化なんか進めたら、災害で壊れた水道施設は二度と戻らないと言われているんです」

災害時の復旧責任を曖昧にし続ける安倍政権

 これは単なる思い込みではない。国会審議でとんでもない政府答弁が出ているのだ。今年7月4日、衆院厚生労働委員会での水道法改正集中審議でのやりとりだ。

 質問に立った尾辻かな子議員(立憲民主)は「災害時にどうするのか。もしコンセッションの事業実施の自治体が地震などで被災をして断水とか漏水した場合、民間企業で対応できるのか」と質した。

 答弁に当たった大沼みずほ・厚労大臣政務官(自民)は「コンセッション導入時の災害時の対応につきましては、どこまでを民間企業に委ねるかを、あらかじめPFI法に基づく実施方針及び実施契約で決めることとなります。このため、契約で義務づけることによって断水、漏水した場合の対応や給水車による応急給水、補修、点検などの応援を民間事業者に行わせることも可能でございます」と答弁した。

 災害が起きた場合、行政が復旧の責任を負うか、民間事業者に復旧の責任を負うかは、契約次第だというのだ。

 しかも、尾辻議員から「一番大事な災害の応援が、コンセッションはできるかできないか、いまの時点ではわからない、可能性があるとかいう答えだったというのは、非常に問題があると思いますよ」と批判を受けても、加藤勝信厚労相らは曖昧な答弁に終始。最後までどちらかに「責任を負わせる」「義務付ける」とは断言せず「事業継続のための措置をあらかじめ定める」「厚労大臣が協力体制を確認する」などという曖昧なセリフを繰り返した。

「厳しい契約を義務づけたら、肝心の民間企業の参入は難しくなる。この曖昧さは、そんな壁を無くしたい安倍政権の姿勢の表れでしょう。しかし、災害復旧の責任主体を曖昧にしたら、それこそ、誰も復旧の責任をとらないという事態が起きかねない」(全国紙社会部記者)

 つまるところ、今度の改正水道法は災害対応の担保など無きに等しいのだ。しかし、この国の「命のインフラ」を破壊する水道法改正案はもう成立してしまった。いまわたしたちがやれることといえば、自分の自治体で民営化に抵抗し続けることだけだ。

最終更新:2018.12.07 07:14

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