伊調馨パワハラで揺れる日本レスリング協会のもっと深い闇! 会長が神社本庁の不透明な“中抜きビジネス”に関与

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日本レスリング協会公式HPより


 女子レスリング・伊調馨選手へのパワハラ問題が大きな波紋を呼んでいる。日本女子レスリングの育ての親ともいうべき日本レスリング協会の栄和人・強化本部長が、自分の元から離れた伊調選手への執拗なパワハラを行っていたというのだからそれも当然だろう。

 この問題は、すでに内閣府に告発状が提出され、スポーツ関係者たちからもパワハラの存在を認める声が上がっているが、日本レスリング協会にはさらなる“闇”がある。それが全国約8万社の神社を統括する宗教法人「神社本庁」との不透明な関係、そして神社本庁による不可解な不動産取引に絡むものだ。

 キーマンは今回のパワハラ問題でも名前が上がった日本レスリング協会トップの福田富昭会長。福田会長は栄氏の後ろ盾であり、そのパワハラを容認していたとされる。内閣府に提出された告発状にはこんなくだりがあるからだ。

〈(伊調のコーチは)2010年世界選手権のため、強化委員としてモスクワに遠征した際、栄和人理事(中略)にホテルのロビーに呼び出され、以後伊調馨のコーチをしないようにときつく命じられた。福田富昭会長と高田裕司専務理事もこれを了解しているとのことであった〉(「週刊文春」3月8日号/文藝春秋より)

 そんな福田会長だが、実はもうひとつの顔がある。それが“日本で唯一の皇室関連ビジュアル誌”「皇室 Our Imperial Family」の販売元である「日本メディアミックス」という会社の創業者だということだ。

 この雑誌は一般の人にはあまり馴染みがないかもしれないが、年4回発行の季刊誌で、皇室関係者や神社関係の間ではよく知られる、宮内庁お墨付きの“皇室ファン雑誌”である。事実上の発行と制作は、神社本庁の外郭団体である日本文化興隆財団がおこない、一般書店での販売は扶桑社が、直販はこの日本メディアミックスが担当している。

 福田氏は日本レスリング協会会長だけでなく、日本オリンピック委員会(JOC)副会長や五輪の選手団長、総監督を歴任しているが、一方で、1996年に神社本庁制作の皇室ファン雑誌販売会社を設立していたのだ。現在でも同社の取締役として名を連ね、民間信用調査機関のレポートによれば、20%の株をもっているとされる。

 しかも、この日本メデイア・ミックスは、たんに神社本庁の外郭団体から雑誌の販売を委託されているだけではなかった。神社本庁に激震をもたらした疑惑の巨額不動産取引に大きな役割を果たし、“神社本庁のトンネル会社”ともささやかれている存在なのだ。

神社本庁の不動産を1億円“中抜き”した会社とレスリング協会会長の関係

 疑惑の不動産取引とは、2017年6月21日付でダイヤモンド社のウェブサイト「ダイヤモンドオンライン」が「神社本庁で不可解な不動産取引、刑事告訴も飛び出す大騒動勃発」と題してスクープしたものだ。

 2015年、神奈川県川崎市にある神社本庁所有の職員用宿舎が、東京都新宿区の不動産会社「ディンプル・インターナショナル」(以下、ディンプル社)へ1億8400万円で売却された。ところが、ディンプル社は売買契約日当日に、この不動産を、別の不動産会社A社に「2億円を大きく超える金額」で転売。そして、このA社も翌年、大手ハウスメーカーB社に3億円超で転売していたという。つまり、神社本庁から見れば、本来3億円超の価格がつくはずだった不動産を、たったの1億8400万円で手放したことになるわけだが、これは単に「神社本庁が悪質な業者に騙された」という話ではなかった。

「ダイヤモンド」によれば、もともとこの職員用宿舎の売却案が神社本庁内で出た当初は、大手信託銀行から3億円前後の評価を受け、実際に同様の額の買い取り額を提示する買い手がいたという。にもかかわらず、なぜか内規で原則禁止されている随意契約によって異常な安さで売却。不動産評価鑑定書は購入者であるディンプル社自身が持ち込んだという。こうしてディンプル社は、この不動産を即日転売することで、数千万にのぼる差額の“中抜き”に成功したというわけである。

 神社本庁内部の人間による不正のにおいがぷんぷんする不自然な土地取引だが、問題はこの数千万円の“中抜き”をした不動産会社・ディンプル社の正体だった。ディンプル社の代表取締役は高橋恒雄氏なる人物なのだが、高橋氏は前述の「皇室」の販売会社・日本メディアミックスの代表取締役でもあった。また、ディンプル社をたずねてみると、そのオフィスに日本メディアミックスが同居していた。

 神社本庁の不可解な不動産取引で、数千万円の利益を得た不動産会社・ディンプル社と、「皇室」の販売会社・日本メディアミックスは一体だったのだ。しかも、日本メディアミックスによる「皇室」の販売も、神社本庁の外郭団体である日本文化興隆財団から委託されて、主に神社関係者に売るというもの。

ようするに、一体化しているふたつの会社はいずれも、神社本庁が得るべき利益を“中抜き”する役割を演じていたわけだが、この両社の経営に深くかかわっていたのが、日本レスリング協会会長の福田氏だった。日本レスリング協会・福田会長が日本メディアミックスの設立者でいまも20%の株を持っているとみられることは前述したが、実は神社本庁の不透明な不動産取引で大儲けしたディンプル社の元取締役であり、株も持っているとされる。

 また、両社の現在の代表取締役である高橋氏は福田会長の日本大学レスリング部の後輩で、以前はレスリング協会傘下の全日本女子レスリング連盟理事をつとめたことがあり、福田会長の盟友だ。神社本庁の利益を“中抜き”していた二つの会社ともに、福田会長は事実上の“共同経営者”と言ってもいいだろう。

レスリング協会・福田会長の雑誌「皇室」販売をめぐる利益相反疑惑

 しかも、両社と神社本庁をつなぐ接点も、福田会長にあった。実は、福田会長は、「皇室 」の事実上の発行元である神社本庁の外郭団体、日本文化興隆財団の理事も長年務めているのだ。

 福田会長は自分が理事を務める神社本庁系財団が出している雑誌を、自分が立ち上げて現在も深く関わる会社で販売させ、利益をあげてきた。普通に考えれば、財団理事が持つ会社に財団の事業を取引させるというのは、利益相反行為に当たる可能性もあり、“私物化”の誹りを受けてもしかたがない。

 だが、これは逆に言うと、そうした行為を神社本庁幹部らが黙認するほど、福田会長が神社本庁に深く食い込んでいるということの証でもある。

 実は、「ダイヤモンド」も指摘していたが、福田会長は、神道界の大物と非常に親しい関係にあるといわれている。

 その大物とは、神社本庁の政治団体である神道政治連盟の打田文博会長だ。打田会長は、現在は本庁の役職についていないが、田中恆清・神社本庁総長と“一心同体”といわれる本庁主流派の重鎮。神政連で長らく活動し、事務局長や幹事長などを歴任、会長にまで上り詰めた“豪腕”として知られる。先の戦争については「アジアの解放、自存自衛の戦いの面があったことも事実」(産経新聞1996年12月24日付)と主張するなど、ゴリゴリの右派思想の持ち主で、閣僚や官邸幹部、自民党幹部などとも直接面会を重ねており、神社界と政界をつなげる“キーマン”の一人と目されている。

「打田神政連会長とレスリング協会会長の福田氏の親密な関係は有名な話。30年以上のつきあいといわれています」(地元政界関係者)

 実際、打田会長は福田会長と同様、「皇室」の事実上の運営主体である日本文化興隆財団の理事も長年いっしょに務めてきた。また、日本会議のフロント組織で神社本庁も携わる改憲団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」では、打田氏が事務総長を務め、福田氏はその代表発起人の一人に名前を連ねている。

 ようするに、福田会長はこうした人脈を使って、神社本庁の利益を“中抜き”するビジネスに食い込んできたと考えられるのだ。

福田会長の盟友、神社本庁幹部のイベントに吉田沙保里、伊調馨らが

 しかも、福田会長はこの不透明な“神社本庁ビジネス”に多くのレスリング関係者をかかわらせていた。ディンプル社、日本メディアミックス両方の現在の代表取締役・高橋氏が福田会長の日大レスリング部の後輩で、元全日本女子レスリング連盟理事であることは先述したが、その高橋氏が日本メディアミックス代表取締役に就任する数年前には、現レスリング協会副会長(「協会の副会長選任の特例に関する内規による副会長」)の今泉雄策氏が代表取締役だった。また、現在、同社の取締役に名前をつらねている木名瀬重夫氏も同じく福田会長の日大の後輩で、日本レスリング協会所属のコーチ兼特定理事をつとめている。監査役の安達哲夫氏もやはり福田会長とともに会社を立ち上げた仲で、日本レスリング協会の顧問を務めていた時期があった。

 さらに、福田会長は現役の選手を自分の神社本庁ビジネスに関わらせていた可能性もある。福田会長の神社本庁との接点と言われる神政連・打田会長は故郷・静岡県小國神社の宮司を務めているが、その小國神社では、節分の豆まきのときに、よくレスリングの選手が来ているというのだ。

「浜口京子さんとか吉田沙保里さん、伊調千春、馨さん姉妹もそうだし、福田氏自身も顔を出していたはず。今年も、リオ五輪金メダリストの川井梨紗子選手が参加していましたね。地方神社の行事にメダリストが参加しているのは福田氏のコネクションでしょう」(前出・地元政界関係者)

 本サイトでは何度も指摘しているが、神社本庁は、全国約8万社の神社を包括する宗教法人であり、日本会議らと連携し、改憲運動をはじめとする右派運動を展開している団体だ。また神社本庁の政治団体である神道政治連盟は選挙でも極右政治家を推薦し当選させてきた。

 そうした団体との不透明なビジネスに、選手やレスリング協会幹部をかかわらせるというのは、アマチュアスポーツの公益社団法人として許されるのか。

 マスコミは連日、伊調選手に対するパワハラだけを報道しているが、レスリング協会の闇はもっと深い。徹底追及すべきだろう。

最終更新:2018.03.06 02:07

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