欅坂46平手友梨奈はレコード大賞、紅白を乗り切れるか?「不協和音」を歌うと体調悪化、「僕は自分に正直に生きたい」と

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「不協和音」(SMR)

 今夜、『第59回 輝く!日本レコード大賞』(TBS)が放送されている。

 昨年のレコード大賞は、「週刊文春」(文藝春秋)報道により、前年大賞を受賞した三代目J Soul Brothersの所属事務所であるLDHが、芸能界のドン・周防郁雄社長率いるバーニングプロダクションに1億円を支払っていた過去が明らかになった直後の開催であった。それにも関わらず、結局、バーニングの押している西野カナが「あなたの好きなところ」で大賞を受賞。レコード大賞に自浄作用など望むべくもないということが明らかになった。

 今年もそういったバーニング支配が続いていくのか、というのも見所ではあるのだが、もうひとつ気になるポイントがある。欅坂46、特に、センターを務める平手友梨奈のパフォーマンスをめぐる問題である。

 欅坂46は優秀作品賞に「風に吹かれても」が選ばれており、大賞候補に名を連ねているのだが、これに関して一悶着あったということが「週刊文春」(文藝春秋)2017年12月7日号で明らかになっているからだ。

 記事によると、元々は「風に吹かれても」ではなく、「サイレントマジョリティー」とならぶグループの代表曲であり各所で好意的な評価を受けている4月発売のシングル「不協和音」が優秀作品賞に選出される予定で審査も進んでいた。しかし、受賞曲を決定する審査会の数日前になって、欅坂46の所属レコード会社であるソニーミュージックから、「不協和音」ではなく「風に吹かれても」に変更するよう要望が出たという。

 審査委員のなかには、「楽曲に与える賞でありアーティストに与える賞ではない」と、前代未聞となる急な受賞曲変更に反対する者もいたが、結果的にソニー側の要望は通り、「風に吹かれても」が優秀作品賞に選ばれることになった。

 ソニーミュージックがそういった要望を出してきた原因は、平手の体調にあると事務所関係者が「週刊文春」の取材に答えている。曲の世界観にのめり込むタイプの彼女は、〈ここで主張を曲げたら生きてる価値ない/欺きたいなら/僕を抹殺してから行け!〉などというシビアな歌詞の「不協和音」を歌うとコンディションが急激に悪化するため、30日の生放送で歌わせられないと運営側が判断したからであるという。欅坂46は明日の『第68回NHK紅白歌合戦』にも出演予定のため、紅白にも影響が出かねないことを懸念したのだろう。
 

「不協和音」を歌いきれないと体調が悪くなると平手友梨奈は証言

 まるで、憑依型の役者のような話だが、実際、平手のインタビューを読めば、「週刊文春」の記事がデタラメなどではないことがわかる。

「ROCKIN’ON JAPAN」(ロッキング・オン)2017年12月号に掲載されたインタビューで彼女は「不協和音」について、命を削る曲であるとし、このように語っている。

「“不協和音”は気持ちが入ったり、その世界に行かないとできないです。だから、できる時とできない時がだいたいわかるので、(ライブで)『今日はできないな』と思ったらできないし、やれるとしても自信はないです」

 また『サイレントマジョリティー』についても、「STREET JACK」(KKベストセラーズ)2017年12月号に掲載された平手のインタビューのなかで取材に同席していたマネージャーは、かつて彼女が言っていた「私は、エネルギーの充電に時間がかかると思うんです。『サイマジョ』を歌ってエネルギーを出したら、次の曲を歌うのに、また充電させて放出する。このエネルギーが溜まりきらないと放出できなくなる」という発言を紹介している。

 この夏、欅坂46は8月2日の神戸ワールド記念ホールを皮切りに1カ月で全国6カ所(11公演)をまわるアリーナツアー『真っ白なものは汚したくなる』を開催したが、平手はそのツアーで体調不良から途中退場を繰り返した。

 特に、同月16日に日本ガイシホールで行われた名古屋公演では、途中退場ではおさまらず完全休演になってしまっているが、その原因は、茨城県ひたちなか市で行われた『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』(欅坂46は12日に出演)だったと、前掲「ROCKIN’ON JAPAN」で語っている。

 平手は「不協和音」をセットリストに組み込むことについて「できなかったら心が折れるから、そうなった時にどうなるか自分でもわからない」として不安を感じていたが、しかし、「ギリギリまでスタッフさんと相談」した末、「不協和音」を歌うことになったという。

 だが、結局、「ROCK IN JAPAN」での「不協和音」は満足のいくものではなかった。その影響を平手は「ロック・イン・ジャパンでダメになっちゃって、次の名古屋公演かな、出られなかったです」と語っている。

 それは周囲の大人たちの発言も同様だ。「QJ」vol.135(太田出版)でインタビューに応えている欅坂46運営委員会委員長の今野義雄氏は「彼女は表現者としてだけではなく、クリエイターとしてもいいものを作りたいという気持ちが強く、常に100点以上を目指していると思うんです。だからこそ「100点が取れない」とわかった瞬間、自分の中で失格の烙印を押してしまう部分がある。それが全国ツアーで現れてしまった。世間的には平手の体調不良を心配する声もありましたが、あれは「表現への苦しみ」との戦いに見えました」と語り、平手の体調不良は過労や病気などに端を発する体調不良ではなく、クリエイティブに関わる彼女の精神状態に起因するものであると証言している。

平手友梨奈のブログに書かれた悲痛な叫び「僕は自分に正直に生きたい」

 では、平手が抱える「表現の苦しみ」とはいったいなんなのか。これは、「提供された楽曲をただ単に歌うだけ」といった、操り人形としてのアイドル像から脱し、ひとりの表現者としての自覚が彼女のなかで芽生えつつあることと関係しているのではないか。そして、この自覚と彼女の現状が大きな矛盾をはらんでいることが、彼女を苦しめているのではないか。

 言うまでもなく、欅坂46のすべての楽曲の歌詞は秋元康氏のペンによるものであり、そのほかのクリエイティブの面においても、恋愛禁止などプライベートな面でも、周囲の大人たちのコントロール下に置かれている。

 そのシステムの範疇にいる限りにおいては、彼女の表現者としての自立にも限界がある。その相克といかに対峙していくのか。

 平手自身がインタビューのなかで挙げる『サイレントマジョリティー』や『不協和音』といった欅坂46の代表的な楽曲は、大人がつくったシステムや同調圧力へのプロテストを歌ったもの。それを深く表現しようとすればするほど、自らの抱える矛盾や相克にも自覚的にもならざるを得ないだろう。

 その矛盾と相克こそが、平手の抱える苦しみではないのか。そして、その「表現への苦しみ」は現在でも続いていると思われる。

 年末の大型音楽特番のほぼすべてに欅坂46は出演しているが、そこでもやはり「不協和音」ではなく「風に吹かれても」を歌唱している。

 しかし、それでも平手の状況は端から見ても芳しいものとは思えず、特に、今月4日に放送された『第50回日本有線大賞』(TBS)では、歌唱中にいっさい笑顔を見せずこわばった表情だったのはもちろんのこと、司会者とのトークでも終始虚脱していてお辞儀すらまともにできないといった状況が放送され、ファンから心配の声が多く漏れた。

 その後、今月15日には7月21日以来久しぶりにブログを更新。しかし、その内容は〈毎日違った感情で… その日、その瞬間にみた景色、色、物、他人のしぐさ、表情 その日、その瞬間体に触れた風、物 自分に聞こえた他人の声、音〉といった文章から始まり、最後は〈生きるとは… 僕は自分に正直に生きたい〉というフレーズで締められる、日記というよりは詩のようなもので、彼女の状態を心配する声はさらに大きくなった。

 前述の通り、今夜のレコード大賞では「風に吹かれても」が歌われるが、実は、明日の『第68回NHK紅白歌合戦』では、「不協和音」が歌われる予定だ。

 この二日間、彼女は無事にパフォーマンスをやり遂げることができるのだろうか。

最終更新:2017.12.30 07:00

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