『報ステ』逃げ出した古舘伊知郎がバラエティ復帰で大はしゃぎ…「嬉しすぎて『報ステ』ファンに申し訳ない」

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古舘プロジェクトHPより


「死んでまた再生します」

 そう言い残して『報道ステーション』(テレビ朝日)のキャスターを3月いっぱいで降板した古舘伊知郎が、昨日放送された『ぴったんこカン・カンスペシャル』(TBS)でテレビ復帰を果たした。

 しかも、番組に登場した古舘は、『報ステ』時代とは打って変わった活き活きとした様子でマシンガントークを披露。生まれ育った東京都北区や母校の立教大学などを訪問したが、水を得た魚のように饒舌をふるいつづけるため、同行したTBSアナウンサーの安住紳一郎が「私をマウンティングするのはやめてください!」「あなたすごいのわかったから!」と音を上げるほどだった。

 まさに「死んで再生」を果たした格好の古舘だが、同時にそれは、『報ステ』のキャスターをつとめた12年間という月日を取り戻したいと言わんばかりでもあった。

 たとえば、道行く人に「(『報ステ』を)どうして辞めちゃったんですか?」と声をかけられると、「え? どうして辞めたって、辞めたくて辞めちゃったんですよ。こういう番組に出たくて辞めちゃったんです」と即答。また、親友だというTHE ALFEEの高見沢俊彦と思い出話に花を咲かせ、冗談を飛ばすと、「12年報道やっててさ、こんなことひとつも『報道ステーション』で言えないんだよ」「だからやっぱ嬉しくてしょうがない」と顔をほころばせた。

 さらには、ゲストとして登場した先輩・徳光和夫に送った手紙を披露するなかでも、「(今後は)報道以外の仕事をやらせていただけたらなと考えている今日この頃です」と読み上げるなど、“報道からの決別宣言”までもが飛び出したのだった。

 たしかに、古舘は『報ステ』を辞める前にも、「AERA」(朝日新聞出版)のインタビューで「自分の感ずるところ、思うところをなかなか言えない。表の報道をしてて、裏の背景をあんまり言えない」「ホントのところは新聞も雑誌もテレビも伝えない」「プロレスですよ、世の中。完全にプロレスです」などとキャスターとしてのストレスを語っていた。

 言いたいことが言えない。そのことが古舘のなかで鬱憤として蓄積されていったことはたしかなのだろう。だがそれは、“裏の背景を言いたい”“テレビが伝えない事実を伝えたい”という、報道キャスターとしての矜持から生まれる鬱憤だったはずだ。

 しかし、先月5月31日に掲載された朝日新聞のインタビューでは、記者から政権からの圧力について問われると、これまで繰り返してきたように否定。そして、「画面上、圧力があったかのようなニュアンスを醸し出す間合いを、僕がつくった感はある」「だれかから文句を言われる前に、よく言えば自制、悪く言えば勝手に斟酌したところがあったと思う」と述べた。

 本サイトでは何度も詳細にわたって言及してきたように、古舘は完全に政権から包囲網を張られ、降板へ追いやられたのはたしかな事実だ。現に、同時期に『NEWS23』(TBS)のアンカーを降板させられた岸井成格は、政権からの圧力の存在をこう認めている。

「直接的なものはなかったけれど、あったか、なかったかでいえば、圧力はあったと思います。ただ、やり方が非常に巧妙で、『テレビ局の都合で決めました』となる」(「女性セブン」2016年6月23日号/小学館)

 それなのに、古舘は“自分が勝手に斟酌した”と政権からの圧力とテレビ局の自主規制をごまかそうとする。だが、古舘がほんとうにそんな姿勢だったのだとしたら、先日、ギャラクシー賞テレビ部門大賞に輝いた「独ワイマール憲法の“教訓”」のような、政権が激怒することが必至のあんな特集はつくれなかったのは間違いない。

 きっと古舘としては、岸井と同じように圧力を肌身に感じながら自由に言いたいことも言えない状態に嫌気がさし、キャスター人生の最後に思い切った特集を世に放った。そうやって報道と“決別”したからこそ、バラエティ番組で清々しい面持ちで“脱報道”宣言を行えるのだろう。もちろん、今後、バラエティに戻ることを考えれば、圧力があったなどとは口が裂けても言わないはずだ。

 しかし、である。古舘がそうした選択を行ったことで、この国の言論状況は確実に後退している。実際、古舘を失った『報ステ』は、スタッフが粘りを見せつつも、コメンテーターの後藤謙次が政権に尻尾を振るようなコメントを連発することで“両論併記”を担保する、歪な番組になってしまった。そのことについて、古舘はどう思っているのだろうか。

 古舘は『ぴったんこカン・カン』のなかで、最後にこんな気持ちを洩らしていた。

「あまりにも今日、嬉しすぎて、苛まれたんですよ。バラエティ復帰と言われて嬉しいし、これから復帰していきたいっていう気は満々なんですよ。だけど、12年間、さんざん僕は打たれて批判もされてきた。だけど、やっぱりね反面で、12年間で『お前の放送はいいよ』と、『お前のニュース聞きたいよ』って言ってくれた方もたくさんいらっしゃって、そういう人が、僕がきょうあまりにも『楽しい、楽しい』ってやってるのをチラッとでも見たら、どんな気持ちだろうなって。申し訳ない気がしてきた」

 こうした後ろめたさを感じているということは、古舘も、この国が報道の危機にさらされているなかでそれを捨てたことの意味を理解しているのだろう。

 古舘は前述の朝日新聞のインタビューで、「テレビという情動のメディアで、反権力、反暴力、反戦争という姿勢は持ち続けようとやってきた。その自負は、あります」と語っている。そうした気概をもった人物がいまこそ必要なのに、またそのこともよくわかっているのに、人畜無害なバラエティの世界に舞い戻ってしまった。いちばんの問題はキャスターを追い込む政権にあることは明白だが、それでも、古舘が「国民の知る権利」に背を向けてしまったことには大きな失望を感じずにはいられないのだ。
(水井多賀子)

最終更新:2017.12.05 10:02

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