安倍、菅の高額ガソリン代はなぜ追及されない? 山尾追及の「新潮」は「安倍さん、菅さんは地元を回っている」と露骨擁護

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
abesuga_160403.jpg
左・安倍晋三公式サイト/右・菅義偉ホームページより


「保育園落ちた」ブログを国会で取り上げ安倍政権の待機児童問題を追及した民進党・山尾志桜里議員の“ガソリン代不正計上疑惑”が「週刊新潮」(新潮社)に報じられてから1週間。渦中の山尾議員が昨日4月6日、記者会見を行った。

 山尾議員は、代表を務める選挙区支部が2012年に計上したガソリン代が230万円にものぼり「これは地球5周分に相当する」などと取りざたされた。そして、「週刊新潮」を後追いした産経新聞や夕刊フジなどが大々的に山尾議員への追及キャンペーンを開始。こうした“安倍応援団メディア”からは、ガソリン用のプリペイドカードの購入は金券ショップへの“転売”が目的だったとする記事も飛び出していた。

 一方、昨日の会見で山尾議員は、「ガソリンのプリペイドカードを大量に購入したというような事実は存在しない。したがって、このような大量のプリペイドカードが換金をされたとか、カードが関係者や有権者に配布をされたとか、こういった事実はない」と、プリカ転売疑惑について否定。

 さらに、山尾氏側が月別に調べたところ、ガソリン代が月に30万円を超えたのは疑惑の期間とかぶる11年8月から12年5月の期間だけであり、これは、山尾氏の事務所に在籍した会計担当の元公設秘書の在職期間とほぼ合致しているとして、「多額のガソリン代金の支出にこの秘書が関与している蓋然性が相当に高いと判断をしている」「今後、必要な法的処置をとる」と述べた。本サイトが報じていた“辞めた秘書による使い込み”が的中していた、というわけだ。

 とはいえ、すでに安倍政権の“応援団メディア”以外にも、一部テレビ局が山尾議員の疑惑を積極的に報じている。会見によってガソリン代疑惑には一段落ついた感もあるが、二の矢三の矢で今後、大規模な追及キャンペーンが行われる可能性はあるだろう。

 だがその一方で、本サイトが報じた、山尾議員よりもはるかに巨額の「ガソリン代」を計上していた政治家たちの存在には、テレビ局は昨日までに一切触れることはなかった。そう、安倍晋三首相と、菅官房長官の“巨額ガソリン代”についてだ。

 既報の通り、安倍首相が、代表をつとめる「自民党山口県第4選挙区支部」が12年に計上したガソリン代は実に573万円。これは地球12周分を越す。さらに安倍首相は、13年にも554万6613円、14年にも499万6215円と、いったい地球を何周すれば気がすむのかと突っ込みたくなるような巨額のガソリン代を計上していたのだ。また、菅官房長官も12年には山尾氏とほぼ同額の222万円、13年は山尾氏の2倍以上にあたる194万5748円を計上していたことが明らかになっている。

 だが、安倍政権のこの怪しいガソリン代を追及したのは、本サイトとあとは日刊ゲンダイぐらい。マスコミは完全に口をつぐんだままだ。やはり安倍首相や菅官房長官は連中にとって“特別”ということなのか……と呆れかえっていたのだが、しかし、ここにきて、意外にもあの週刊誌がこれを大きく扱ったのだ。

 他ならぬ、山尾議員のガソリン疑惑に火をつけた「週刊新潮」である。

 本日発売の「週刊新潮」には、追及第二弾として「山尾議員」は地球5周分でも「菅官房長官」も地球5周分!」なる大きな見出しが躍っていたのだ。官邸のリークに山尾議員を追及していた「週刊新潮」だが、返す刀で政権に切り込んだのか。そう思い、期待して記事を読んでみたのだが──。

 どっこい、これがまったく逆。安倍政権幹部の疑惑を打ち消すための露骨な“擁護記事”だった。しかも、その論理というのが、もはや笑うしかない無理やりなもの。

「週刊新潮」は、山尾議員への追及はそこそこにして、〈ではここからは目を転じ、現閣僚のガソリン代をざっくり挙げてみよう〉と切り出す。それは、本サイトが報じた12年から14年までの安倍首相と菅官房長官の他、遠藤利明五輪担当相が14年に200万円、丸川珠代環境相にも13年に194万円など、安倍内閣の閣僚が巨額のガソリン代を計上していることを示すものだった。まさに“ガソリンドボドボ政権”と呼ぶべき事実であり、厳しく追及すべきことだ。

 ところが、「週刊新潮」はこの数字を示した後、すぐに安倍政権を“フォロー”しはじめる。たとえば、安倍首相のガソリン代については、「政治部デスク」なる人物が唐突に登場してこう説明するのだ。

「下関市と長門市からなる山口4区は単純計算で1000平方キロを超えていて、300平方に満たない山尾のところとは次元が違いますよ」

 ちなみに、「週刊新潮」の取材によれば、安倍首相の地元事務所には10名ほどのスタッフがおり、それぞれ1台の車があてがわれているという。

 だが、仮に10台の車があったとしても、1台で年間5万キロ以上の距離を走行せねばならない。スタッフが一週間に5日勤務したとして、一日200キロ近く走行する計算。とすれば、一般道ならば全員が一日5時間ほど運転しているとみられる。はたして、そんなことがありうるのだろうか?

 どう考えても無理があるが、菅官房長官の疑惑に関する「週刊新潮」の“フォロー”の仕方はもっとヒドい。菅官房長官の選挙区は40平方キロ弱で山尾議員とほぼ同じだが、ここで、またぞろ登場した「政治部デスク」がこんなことを言い出すのだ。

「額面通りには受け取れませんよ。神奈川県全体が菅さんの選挙区みたいなものですから。それに12年の12月まで自民党は野党で、もちろん菅さんは官房長官でさえない。だから本人も地元を隅なく回っており、ガソリン代が嵩んだのでしょう」

 神奈川全体が選挙区とか、与党時代より野党時代のほうがガソリン代がかかる、とか、説明がむちゃくちゃだが、一番すごいのは、この「政治部デスク」の言葉をつなぐ「永田町関係者」の弁だ。

「菅さんは(山尾議員の疑惑が報道された後)、“そんな額のガソリン代なんてあり得ないよなぁ”と周囲に言っていました。(略)要するに、“自分は地元をしっかり回っている。その結果が地球5周分なんだ”という意味合いで、強気なんですよ」

 普通、菅官房長官が「そんな額のガソリン代なんてあり得ないよなぁ」と言っていたという証言がとれたら、「あなたも“そんな額”を計上してましたね」と“巨大なブーメラン”を突きつけるのがジャーナリズムの定石だ。ところが「新潮」は、逆に「地元をしっかり回っている」証拠として、これを言い始めるのだ。

 まるで、本サイトが安倍首相と菅官房長官のガソリン疑惑を報じた際、血眼で擁護していたネトサポ、ネトウヨのみなさんとほとんど同じレベルではないか。

 というか、この支離滅裂で露骨な擁護記事によって、「新潮」の山尾議員追及記事が本サイトの指摘どおり、官邸=内閣情報調査室の仕掛けだったことが証明されたといっていいだろう。

 前回の記事でも指摘したように、新潮と内閣情報調査室は以前から、定期的に会合をもっているズブズブの関係。しかも、内調はこの山尾氏の政調会長抜擢が浮上した2月頃から複数のメディアに同氏の政治資金疑惑を持ち込んでいた。

「新潮、産経がこのリークに飛びついて記事にしてくれたところまでは、官邸の計算通りだったんでしょうが、ネットで、安倍首相や菅官房長官が山尾政調会長よりもガソリン代を使っていることを指摘されたしまった。そのため、官邸は返り血を浴びかねないと大慌てになって、今度は、無理やり、「新潮」を使って擁護記事を書かせたたんでしょう。あの記事を読むと、そうとしか思えませんね」(政界関係者)

 官邸と安倍応援団メディアの謀略体質には改めて愕然とさせられるが、しかし、こうなるとテレビ局が安倍首相や菅官房長官のガソリン代疑惑を追及していく可能性はかぎりなくゼロに近づくだろう。あとは、山尾政調会長だけを追及するのか、あるいはバランスをとるためにどちらの疑惑も追及をしなくなるのか。

 いずれにしても、今回のガソリン代疑惑はこの国のマスコミの御用体質とヘタレっぷりを証明するだけの結果に終わってしまいそうだ。
(田部祥太)

最終更新:2017.11.24 09:44

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

安倍、菅の高額ガソリン代はなぜ追及されない? 山尾追及の「新潮」は「安倍さん、菅さんは地元を回っている」と露骨擁護のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。安倍晋三山尾志桜里田部祥太菅義偉の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 「拝謁記」昭和天皇は「反省」していたか 改憲再軍備、沖縄切り捨ても
2 『モーニングショー』で「暑さに耐えるのが教育」元高校野球監督は右派論客
3 安倍政権・厚労政務官が外国人在留申請で口利き「100人で200万円」
4 橋下徹に恫喝された女子高生が告白!
5 玉川徹がGSOMIA破棄で加熱するテレビの嫌韓煽動を批判
6 葵つかさが「松潤とは終わった」と
7 山本太郎が安倍の対韓国強硬姿勢を「小学生並み」と批判した理由
8 産経新聞コラムが「引きこもりは自衛隊に入隊させて鍛え直せ」
9 嫌韓批判で炎上も…石田純一はブレない
10 くりぃむ上田晋也が“政権批判NG”に敢然と反論
11 『なつぞら』が宮崎駿・高畑勲も闘った「東映動画・労使紛争」を矮小化
12 池上彰が朝日叩きとネトウヨを大批判
13 自衛隊スパイ事件、官邸が解禁の理由
14 古市憲寿の芥川賞候補作「参考文献問題」に選考委員が猛批判
15 久米宏が「テレビが反韓国キャンペーンをやってる」と真っ向批判
16 GSOMIA破棄!八代・有本ら安倍応援団は「嫌なら来るな」
17 「あおり運転」警察の過剰捜査とワイドショーの異常報道
18 ウーマン村本がよしもと社長からの圧力を激白!
19 小木「松本さんが裏で牛耳ってる」文春も松本の吉本支配を批判
20 秋元康の東京五輪に椎名林檎が危機感
1 安倍首相と省庁幹部の面談記録が一切作成されなくなった!
2 くりぃむ上田晋也が“政権批判NG”に敢然と反論
3 金融庁報告書で厚労省年金局課長の驚愕無責任発言
4 産経新聞コラムが「引きこもりは自衛隊に入隊させて鍛え直せ」
5 安倍首相が「老後2000万円」追及に逆ギレ!
6 菅官房長官が望月衣塑子記者への“質問妨害”を復活
7 金融庁「年金下がるから資産運用」報告書で麻生太郎が開き直り!
8 F35捜索打ち切りと大量購入続行でNHKが「背景に政治性」と報道
9 金融庁炎上の裏で安倍政権が「年金」の“不都合な事実”を隠蔽!
10 防衛省イージス・アショア失態 、玉川徹が原因を喝破!
11 長谷川豊が部落差別発言「謝罪文は馬場幹事長が作った」
12 講談社「ViVi」の自民党広告は公選法違反か!
13 映画『主戦場』上映中止要求の右派論客に監督が徹底反論!
14 渡辺謙が語った『ゴジラ』出演と震災、原発、戦争
15 マンガ『スシローと不愉快な仲間たち』第1話
16 田崎史郎「65歳から年金もらってます」
17 川崎殺傷事件「不良品」発言こそ松本人志の本質だ!
18 香港市民はデモの力示したが、日本は…
19 松本人志が「不良品」発言問題で謝罪も説明もなし!
20 農水元次官子ども殺害正当化は、橋下徹、竹田恒泰、坂上忍も

カテゴリ別ランキング


人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄