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AKBシングルがついにミリオン割れ! もう「AKBはオワコン」なのか?
新曲はミリオン突破ならず!アイドル・音楽業界の未来はどうなる?(「唇にBe My Baby」Type A)
2015年12月21日付けのオリコン週間CDシングルランキングで、今月9日に発売されたAKB48の新曲「唇にBe My Baby」が90万5490枚の売り上げを記録。11年5月発売の「Everyday、カチューシャ」以来21作連続で更新し続けてきた初週ミリオン突破の記録が遂に途切れることになった。
「『唇にBe My Baby』の売り上げ成績が出たときに、『AKBのシングル総売上枚数がB’zを超えて歴代1位になった』とか、『秋元康が作詞したシングルの総売上が1億枚を超えた』といった景気の良いニュースが流れましたよね。こういった報道がいっせいに流れたのは、AKBの初週ミリオン突破記録が途切れたのを目立たせないよう、運営がメディアに働きかけたからだと言われています」(音楽関係者)
AKBのシングル売り上げが下落し始めているのは、若手メンバーへの世代交代を押し進めているものの、それがうまく機能していないからだと言われている。来年3月に発売予定のAKB10周年記念のシングルには、前田敦子、大島優子、板野友美、篠田麻里子のOG4名の参加が決定。最盛期のメンバー投入で、途切れてしまった初週ミリオン突破の記録を再び取り戻そうと躍起だが、このことがますます世代交代を難しいものにするのではとファンからは疑問の声が漏れている。
年の瀬に届けられたこのニュースが象徴しているように、今年は、AKBの人気が「停滞」から「衰退」にはっきりとフェイズが移った年と言える。そのことを何よりも端的に表しているのが「ライブ」である。
「会いに行けるアイドル」を標榜するAKBにとって、「ライブ」は最も大事な活動のひとつ。その「ライブ」の観客動員が今年ははっきりと下落した。国立競技場(キャパ6万人)や味の素スタジアム(キャパ5万人)、東京ドーム(キャパ5万人)などで大規模コンサートを行っていた昨年に対し、今年の大規模コンサートは最も大きな会場で、キャパ4万人のさいたまスーパーアリーナ。昨年に比べ1ランク下がった会場でしか行えなくなっている。
しかも、そのさいたまスーパーアリーナ公演ですらチケット販売は難航した。AKBは3月と8月の2回さいたまスーパーアリーナでコンサートを開いているが、8月の公演は選抜常連の川栄李奈や、ベテランメンバーである倉持明日香の卒業公演にも関わらず直前までチケットが余っていた。また、3月に行われた若手メンバー中心のコンサート『AKB48ヤングメンバー全国ツアー~未来は今から作られる~』は、上層のブロックがまるまる閉鎖されるなど、これまでのAKBであれば考えられなかったような現象まで起こっている。
本来であれば、1年前に発表され今年のうちに行われるはずだった高橋みなみ卒業の大規模コンサートも、グダグダのうちに来年3月まで順延。12月20日現在、いまだにどこの会場でコンサートが行われるかも発表されていない。今年で10周年を迎えるAKB48。本来であれば12月に行われるはずだったコンサートで、高橋みなみの卒業とともに、AKB10周年を大々的に言祝ぐ演出の公演が行われる予定だったのだろうが、それができなかったのは、現在のAKBでは東京ドームなどの大規模会場を埋める集客力が望めないことも一因となっているのではないか。
以上あげてきたような危機的状況は、AKB本店のみならず、名古屋・大阪・博多にある姉妹グループにおいても同じである。そのなかでも特に厳しいのが名古屋のSKE48だ。
総選挙になると数多くのメンバーがランクインするSKEだが、12年の紅白歌合戦に出場した後あたりの時期から卒業するメンバーが続出。13年、14年と2年連続で20人近くグループから抜けてしまった。それに伴い人気は低下。昨年1月には松井玲奈がブログに〈前々から感じてはいましたが、イベントへ参加してくださる方が減っている気がしています〉と投稿するような事態にまで発展した。
そんな状況下、15年はさらに厳しい事態に追いやられる。山田みずほ、古川愛李、小林亜実、岩永亞美といった中核メンバーが相次いで卒業、さらに、グループ1、2を争う人気メンバーだった松井玲奈や、次世代ホープと目されていた神門沙樹もSKEを去ってしまったのだ。結果、最新シングルであり、松井玲奈の卒業シングルとなった「前のめり」は40万枚を少し超えたほどのセールスに終わる。この数字は、avexに移籍して以降、最低クラスの売り上げである。
結果として、SKEは今年の紅白には落選。連続出場は3年で途切れてしまった。ちなみに、同じく3年で連続出場を途切らせてしまったのが、ももいろクローバーZ。落選が決まってから「紅白卒業宣言」を行いメディアで話題になったももクロだが、厳しい状況にいるのはAKBグループだけでなくこちらも同じである。AKBのみならずアイドルシーン全体が曲がり角にある。
話をAKBグループに戻すと、こういった状況を受けてか、最近卒業の発表が相次いだ。そのなかには宮澤佐江、高城亜樹、永尾まりやといった中核メンバーの名前も含まれている。
ただ、彼女たち卒業メンバーの行く末が明るいものかと言えば、そう断言できないのが現状だ。前田敦子、大島優子、板野友美、篠田麻里子といった、数年前に一時代を築いたメンバーでさえ、卒業後は期待されていたほどの仕事はできずにいる。中心メンバーでさえそうなのだから、もっと下位にいたメンバーの卒業後は茨の道が待ち受ける。現在、AKBグループから、中西里菜、高松恵理、米沢瑠美、成瀬理沙、鬼頭桃菜が卒業後にAV女優へ転向しているが、このリストにさらなる名前が追加される日もそう遠くはないのかもしれない。
AKB終焉の影響は単にアイドルシーンだけの話にとどまらない。AKB帝国の没落により一番大きな影響を受けるのが、音楽業界、とくに小売り店である。「Apple Music」や「AWA」などのサービスにより「ストリーミング元年」とも呼ばれた今年。ただでさえ「CD販売」をめぐる状況は悪化の一途をたどっている。それにも関わらず、2010年から2015年まで年間シングル売り上げランキングの圧倒的1位をマークしていたAKBがダメになってしまったら、街からいよいよCD店が消えてしまうかもしれない。
2016年、AKBグループが巻き返すのか、それともより一層衰退していってしまうのか。アイドルシーン、音楽業界はどう変わるのか。今回のAKBミリオン割れが、ひとつの時代の変化を象徴していることは間違いない。
(新田 樹)
最終更新:2015.12.21 12:11
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