八つ当り!? 絶不調のフジテレビ・亀山社長が視聴率調査を批判

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
hujikameyama_01_140726.jpg
『メディアの苦悩 28人の証言』(光文社)

 フジテレビの恒例番組『27時間テレビ』が、本日18時30分から始まった。今年は総合司会にSMAPをたてて「武器はテレビ。」なんていう大仰なタイトルがついている。

 だが、近年のフジテレビはその「武器」が“絶不調”の状態だ。新番組はことごとく惨敗、今期はかろうじて木村拓哉主演の『HERO』が高い数字を獲得しているがこれも続編でしかなく、瀕死の月9枠の盛り返しを狙ったフジが背水の陣で木村に頼み込んで実現したという話もある。

 こうした危機的状況を裏付けするように、先日はフジの全社員約1500人のうち、3分の2にあたる1000人の人事異動を発表。コンテンツ事業局に異動していた『めちゃ×2イケてるッ!』の育ての親である片岡飛鳥プロデューサーをバラエティ担当に戻すなどテコ入れを図っているが、テレビ業界ではすでに「手を付けるのが遅すぎた」という声もあがっている。その“戦犯”は、もちろん現社長・亀山千広氏だ。

 亀山氏が社長に就任したのは、2013年6月。90年代には『ロングバケーション』『踊る大捜査線』などの人気ドラマをプロデュースし、03年に映画事業局へ。05年には邦画の興行収入約30%がフジの映画事業が占めるなど、大きな成果を出した。しかし、社長に就任してからは『笑っていいとも!』の打ち切りを断行するも、後番組『バイキング』はまったく数字がふるわずじまい。月9も『極悪がんぼ』で大きく路線変更してみたものの、月9史上最低視聴率を記録している。

 そんな状況に耐えかねたのか、亀山社長は最近、とあるインタビューでついにタブーを口にしてしまった。それは、ずっとテレビというメディアの指標となってきた視聴率調査への批判だ。

 発言があったのは、5月に発売された『メディアの苦悩 28人の証言』(光文社)という本におさめられたインタビューでのこと。同書の著者は元電通の社員で現インターネット広告推進協議会事務局長の長澤秀行氏だが、亀山社長は冒頭、長澤氏に「これからのテレビはどうあるべきですか?」と問われると、なんと「全くわからないですね。お聞きしたいくらいです」と回答を拒否。そして、テーマとはまったくちがう視聴率調査のことをしゃべり始めたのだ。

「かつては視聴率というものは国民の総意だと僕らは信じていた。ただ、いわゆる『コンテンツ』という言葉が前面に出始めた頃から、実はちょっと『……?』ってなってきているところもある。(中略)こんなこと僕が言っちゃいけませんけど、果たして今の世帯視聴率は何を表しているものなんだろう……?と。少なくともコンテンツそのものの本当の価値、総合力を表しているとは素直に思えないのが正直なところです。」

 まるで、我々はいいコンテンツをつくっているのに、今の視聴率では数字に反映されない、とでもいいたげなのだ。そのうえで、亀山社長はこんな泣き言を語り始める。

「ネットの何百万ダウンロードとか、何千万ページビューという数字に比べて、テレビは15とか20とか二桁の数字で、分母の100を超えることは絶対ないんです。それって悲しくなりますよ(笑)」

 え、そんな問題?と唖然としていると、今度は“オワコン”といわれているテレビがいかに今も影響力をもってるかを強弁するこんな発言も。 

「たとえばHUT(総世帯視聴率)が65%だとすると、5000万人、6000万人が見ていたと単純に言えませんが、少なくとも数時間で同時に数千万人を間違いなく集めているわけです。そんなメディアは他にありますか?」

 なんだか新橋の居酒屋で愚痴と過去の栄光話を交互に語っている窓際サラリーマンみたいで悲しくなるが、そんな読者をおいてきぼりにして、ひとりで勢いづいた亀山社長はこんな提案をするのだ。

「だから、今の視聴率では測れないですが、いったいどれくらいの数字を見たのかを出してみませんか?」
 
 さらに、亀山社長はこうたたみかける。

「でも、その数字を言えない仕組みに今はなっているんですよ。だから、電通さんだったら、こういう本をお書きになるんだったら、テレビの未来を僕なんかにお聞きにいらっしゃるんじゃなくて、むしろそういうところに一緒に危機感を持ってほしいんですよ(笑)」
 
 こ、これって、もしかして電通批判? たしかに視聴率調査は、電通の“子会社”のビデオリサーチが独占しており、その調査方法が実態を表していないという批判はしばしば聞かれてきた。だが、まさか民放キー局の社長からそんな批判が飛び出すとは……。そこまでフジテレビは追い詰められているということなのだろうか。

 もっとも、亀山社長の指摘は的を得ている部分もある。視聴率至上主義がテレビというメディアをつまらなくしてきた部分は絶対にあるし、マーケティングという観点から見ても、現在、50代以上の中高年に支えられている世帯視聴率でCM価格を決めるというのは明らかにナンセンスだ。

 だが、フジテレビが絶好調だった1980年から2000年代、その視聴率をもっとも重視していたのが当のフジテレビではなかったか。数字をとるためには手段を選ばず、売れっ子タレントを囲い込み、似たような番組ばかりを量産。しかも、自分たちの視聴率を誇示し、番組の中でまで「視聴率三冠王達成!」などと喧伝したのもフジテレビだった。それが自分たちが低迷したとたん、“視聴率のやり方がおかしい”といいだしても、あまり説得力はないだろう。

 だいたい、亀山社長は今も数千万人がテレビを見ているなんて本気で思っているのだろうか。亀山社長のいうとおり、ほんとうに全数調査をやったら、逆に「え、テレビってそんな数の人間しか見てなかったの?」と業界が凍りつくような数字がはじき出される気がしてならないのだが……。
(酒井まど)

最終更新:2018.10.18 03:24

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

メディアの苦悩――28人の証言 (光文社新書)

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

八つ当り!? 絶不調のフジテレビ・亀山社長が視聴率調査を批判のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。フジテレビ視聴率の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 ジャニーさん“緊急入院”でマスコミは病院に詰めかけたが…
2 安倍首相が党首討論で「年金」問題から逃げまくり
3 自民党が議員に配布“野党攻撃本”の元ネタは怪しい右派サイト
4 上田晋也『サタデージャーナル』後番組MCに自民党議員の娘
5 上田晋也『サタデージャーナル』終了の不可解
6 香取慎吾が飯島マネへの強い思いを告白
7 マンガ『スシローと不愉快な仲間たち』第1話
8 秋篠宮家の料理番がブラック告発
9 退職代行サービスだけでは対応できないブラック企業の恫喝手口
10 交番襲撃“父親が関テレ常務”より「元自衛官」
11 『いだてん』が関東大震災「朝鮮人虐殺」を示唆!
12 安倍が統計不正答弁中の根本厚労相に「戻れ」指示
13 葵つかさが「松潤とは終わった」と
14 安倍「平昌五輪あるから北朝鮮大丈夫」
15 タッキー引退の裏にジャニーVSジュリーの派閥抗争
16 くりぃむ上田晋也が“政権批判NG”に敢然と反論
17 ジャニーさんが田口脱退でウソを
18 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
19 DT浜ちゃんの息子がシティボーイ!?
20 拍手・起立を井筒監督と松尾貴史が批判
1 安倍首相と省庁幹部の面談記録が一切作成されなくなった!
2 くりぃむ上田晋也が“政権批判NG”に敢然と反論
3 金融庁報告書で厚労省年金局課長の驚愕無責任発言
4 産経新聞コラムが「引きこもりは自衛隊に入隊させて鍛え直せ」
5 安倍首相が「老後2000万円」追及に逆ギレ!
6 菅官房長官が望月衣塑子記者への“質問妨害”を復活
7 金融庁「年金下がるから資産運用」報告書で麻生太郎が開き直り!
8 F35捜索打ち切りと大量購入続行でNHKが「背景に政治性」と報道
9 金融庁炎上の裏で安倍政権が「年金」の“不都合な事実”を隠蔽!
10 防衛省イージス・アショア失態 、玉川徹が原因を喝破!
11 長谷川豊が部落差別発言「謝罪文は馬場幹事長が作った」
12 講談社「ViVi」の自民党広告は公選法違反か!
13 映画『主戦場』上映中止要求の右派論客に監督が徹底反論!
14 渡辺謙が語った『ゴジラ』出演と震災、原発、戦争
15 マンガ『スシローと不愉快な仲間たち』第1話
16 田崎史郎「65歳から年金もらってます」
17 川崎殺傷事件「不良品」発言こそ松本人志の本質だ!
18 香港市民はデモの力示したが、日本は…
19 松本人志が「不良品」発言問題で謝罪も説明もなし!
20 農水元次官子ども殺害正当化は、橋下徹、竹田恒泰、坂上忍も

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄