セクハラやじよりひどい! 週刊誌が塩村議員を”セカンドレイプ”

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「塩村あやかオフィシャルWEBサイト」より


 海外メディアにも取りあげられるなど、想像以上の広がりを見せた都議会のセクハラやじ騒動。騒動は国会にも波及し、安倍政権の幹部や新聞、テレビなどの大手メディアも、鈴木章浩都議をはじめ、差別的な野次を平気で叫ぶ政治家を激しい調子で非難している。だが、その一方、雑誌ジャーナリズムの世界では奇妙な現象が起きている。鈴木議員らから「早く結婚したほうがいいんじゃないか!」「子供を産めないのか!」とのひどい野次を受けた被害者であるはずの塩村文夏議員の経歴がクローズアップされ、彼女がバッシングの対象になっているのだ。

「実は女の敵だった「美人都議」白いスネの傷」(「週刊新潮」7月3日号)
「「塩村議員」純情可憐の仮面の下」(「週刊新潮」7月10日号)
「涙のヒロイン塩村文夏「華麗なる履歴」」(「週刊文春」7 月3日号)
「塩村文夏議員 奔放すぎる水着Dカップ」(「FLASH」7月15日号)

 7月はじめに発売された主要週刊誌には鈴木議員そっちのけでこんなタイトルが躍った。タイトルから容易に想像できるように、その内容は、塩村議員の過去の経歴を暴露し、貶めるもの。塩村議員は過去にグラビアアイドルや編集者、放送作家をしており、バラエティにも出演したことがあるのだが、それが格好の材料となってしまったのだ。

 例えば「週刊新潮」では、塩村議員が08年、ジャニーズのタレントが司会するバラエティに出演していたときのエピソードを引っぱり出す。

 その際、塩村議員は「同時に何人も愛せますか?」という質問に「全然平気だと思います」と答え、また「男は信用しないの。男の言ってること、半分はウソだから」「彼氏2番手、3番手がいても演じてれば(中略)3日の旅行くらいだったら全然わからないから。バレなかったら、なかったと同じですもん」と発言したらしいのだが、「新潮」はその発言を取り上げて、こう批判するのだ。

「“男性の尊厳”を傷つける発言」「都議会で野次を飛ばしながら名乗り出ない議員連中には“バレなかったら、なかったことと同じ”と言わないのだろうか」

 そして「強い印象を与える“発信力”には感心させられるが、どうやら塩村議員にとって、それはお手の物であるらしい」と皮肉たっぷりにコメント。タレント時代のバラエティ番組でのサービストークと、議会でのセクハラ発言はまったく次元がちがう話なのに、それをわざと同一視することで問題の本質をずらし、今回の騒動を塩村議員の売名行為のごとく、ほのめかすのだ。

 それだけではない。同誌では女性精神科医を登場させ「(塩村議員は)自己顕示欲が強く、誇張された感情表現や演技性があり、典型的な演技性人格障害ではないかと思います」と診断させている。もちろんこの精神科医は塩村議員を診察したこともないし、面識もない。これは明らかに人格攻撃だろう。

 一方、「週刊文春」は自動車雑誌のライターをしていた塩村議員が、男性スタッフから「チヤホヤされていた」こと、ビートたけしの番組においてビキニ姿で熱湯風呂に入ったことなどを“暴露”し、先輩議員との不倫疑惑を報じている。
 
 さらに「FLASH」に至っては、98年に「ミスヤングマガジン」に選ばれた際の水着写真をデカデカと掲載。ご丁寧にも「女性差別に憤る現在の姿と、“オンナ”を売りにした過去の姿とのギャップが批判を受けているのだ」とまったく見当違いな批判まで掲載しているのだ。

 男性週刊誌だけでなく女性週刊誌もまた、塩村議員の責任を示唆する。「女性セブン」(7月10日号)では「塩村都議激白120分!「実は私も軽率な女です」」というタイトルのインタビュー記事を掲載したのだが、文中にはこんな記述が登場する。

「塩村氏側にも騒動を招く要因はあった」(本文)
「彼女のことを“アイドル議員“と認識している人が多くいることも事実です。今回の野次も、塩村議員が相手だったから、より厳しいものになったとも考えられます」(政治評論家・板垣英憲)

 まるでグラビアアイドルの過去があったり、バラエティで男性観についてサービス発言をした女性は、女性差別やセクハラを受けて当然という論理だ。言っておくが今回の「結婚したほうがいい」「子供を産めない」野次は、“すべての”女性に対する差別発言なのだ。グラビアアイドルだろうが、風俗嬢だろうが、パート従業員だろうが、どんな女性に対してもこうした女性差別が許されるはずがない。そもそも、こうした週刊誌の論調を見ていると、被害者の過去や経歴をあげつらい、男のセクハラやじを正当化しようとしているようにしか見えないものだ。

 実際、週刊誌業界は(女性週刊誌も含めて)世間一般よりもはるかに男社会である。権限の強い社員編集者は7割以上が男性だ。編集長どころか、女性デスクさえ数少ない。

 当然、セクハラも多い。2013年10月には「週刊朝日」元編集長がセクハラで解雇されたことがあったが、他にも表沙汰にはなっていないが、同様のトラブルは頻発しているし、言葉のセクハラなどはそれこそ日常的に横行している。つまり、一連の記事は、そうした環境をおびやかされそうになったオヤジたちの自己保身のあらわれではないのか。自分たちにとって居心地のいい世界を守るために、“男女平等”という世界基準の価値観を攻撃し、告発の動きを封じ込め、女性を萎縮させておきたい。そんな深層心理が働いている気がしてならないのだ。

「レイプされた側にも責任がある」

 こうした卑劣な男のいい分が長らく世間の常識とされてきた。今回のセクハラやじ問題やメディアの報道は、この構造とまったく同じだ。そして一連の塩村報道はメディアによるセカンドレイプ、セカンドセクハラだといってもいい。
 マスコミのオヤジたちも、心根は鈴木議員と同じ。そう断罪するのは言い過ぎなのだろうか──。
(神林広恵)

最終更新:2017.12.07 07:29

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