PC遠隔操作事件で話題のサイコパスは政治家や経営者、医者にも

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『サイコパス 秘められた能力』(NHK出版)

 ウイルスを感染させたパソコンを遠隔操作し、飛行機の爆破や商店街での無差別殺人などの犯罪予告をインターネット上で行った、いわゆるパソコン遠隔操作事件。この一連の事件においてハイジャック防止法違反などの罪に問われている片山祐輔被告は2014年2月の初公判から無罪を主張してきたが、5月20日に一転、全ての罪を認めた。「真犯人」を名乗るメールを報道機関やジャーナリストらに送付していた人物が保釈中の片山被告であると捜査機関に断定された事がきっかけだった。

 無実だと信じ弁護を続けてきた佐藤博史弁護士は会見で、片山被告が“嘘を平気でつける。意図的でなく、自然に嘘が出てくる”と自身を分析していることを明かした。また、「(以前は)『真犯人はサイコパス』と言っていたが、今日(身柄拘束された日)は『自分がそうなんだ』と言っていた」とも。「たしかにだまされた。私より彼のほうが少し上回っていた」と佐藤弁護士もその嘘つきぶりについては認めている。

 片山被告は真犯人、つまり自分をサイコパスだと思っていたということだが、そもそもサイコパスとは何なのか。日本においては反社会性パーソナリティ障害とも呼ばれているサイコパス、『サイコパス 秘められた能力』(ケヴィン・ダットン著、小林由香利翻訳/NHK出版)には、心理学者のロバート・ヘアが発表したサイコパシー・チェックリストが引用されている。

 これは1問2点、20項目の設問から成る。ほとんどの人は2点前後だが、サイコパスの入門レベルは27.6点だという。このチェック項目の一部を挙げると「口がうまい」「良心の呵責や罪悪感がない」「病的な嘘」「他人をだます/操る」「情動が希薄」「暴走しやすい」「過大な自己評価」などだ。このチェックリストをもとに専門家が面接を行って診断する。

 サイコパスといえば悪人というイメージも根強いが、そうではない職業に就いているものも多くいるようだ。サイコパスの連続殺人犯によく見られる特徴「うぬぼれの強さ」「説得力」「外面の良さ」「冷淡さ」「やましさを感じないこと」「他人を操る事」これらは政治家や世界の指導者にも共通しているという。実際にサイコパス度の高い職業として著者は、企業の最高経営責任者や弁護士、外科医などを挙げている。サイコパス度が高くとも犯罪に手を染めず社会に順応しているものも多くいるというのである。

 さらに本書では興味深い実験結果が記されている。ルールがわかると簡単に解ける簡単な学習課題をサイコパスとそうでない人に行わせ、成績を比較するのだが、まず、間違えた場合にだけ罰として電気ショックを与えると、サイコパスのほうがルールに慣れるのに時間がかる。ところが、正解した場合には電気ショックがなく、さらに金銭的な見返りを与えると、結果が逆転。サイコパスのほうが、ルールの飲み込みが早くなったという。この実験結果から「サイコパスはなにか“得る”もの、見返りがあるとしたら、リスクはおかまいなしにイチかバチかやってみる」という特徴があると結論づけている。

 果たして片山被告はサイコパスなのか? 精神科医でもないのに推理するのはまだ早いが、彼は複数の罪のない人を陥れ犯人に仕立て上げていながら、自身もまたその被害者であると、罪を認める前の公判では演説をぶっていた。弁護人や支援者をうまく騙し、最終的には保釈にまでこぎ着けた。

 弁護側は今回、片山被告が否認を覆した事によって精神鑑定を検討しているという。責任能力を問題にするつもりはないといい、これがどういう結果になろうとも裁判所の判断に影響は与えない。精神鑑定が行われる事になれば片山被告が真のサイコパスかはっきりするだろう。結果に注目だ。
(寺西京子)

最終更新:2018.10.18 04:56

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