ももクロもAKBもモー娘も! アイドル激太りはなぜ起こる?

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画像はシングルCD「時空を超え 宇宙を超え/Password is 0」(モーニング娘。'14)ジャケットより

 芸能人とは“人から見られる”仕事だが、なかでも夢を売るアイドルは、ファンたちから過酷な監視にさらされる商売である。昔からアイドルといえばメイクを変えただけで「整形ではないか」と噂になったものだが、とりわけ近年、ネット上で頻繁に取り沙汰されるのが「○○が激太り」というトピックだ。

 たとえば、モーニング娘。の“ズッキ”こと鈴木香音は、「アイドル史上まれにみる太り過ぎで本当にヤバいと話題に」とまとめられたり、同じくハロプロのBerryz工房・菅谷梨沙子も「激太り→激やせ→リバウンド」の変遷が話題に。さらに、ももいろクローバーZでも“あーりん”こと佐々木彩夏や、“ももか”こと有安杏果が、AKB48では宮崎美穂や横山由依、島田晴香が、最近では乃木坂46の松村さゆりの変貌が注目を集めている。もはや1グループに最低1人は“激太り”でニュースになっている状態だ。

 彼女たちの“変化”は、テレビ番組でいじられることも多い。とんねるず・石橋貴明は宮崎美穂に「君なんか写真と違わない? ちょっと支配人呼んでくれよ」と言い、あーりんにも同じく「写真と違くない?」、ももかには「丸いね、顔ね」と指摘。なかでも島田晴香は番組中に体重計にのせられ、体重を10キロもサバ読みしていたことがYahoo!ニュースのトップに。すっかりデブキャラが浸透してしまった。もちろん、ネット上では「アイドルのくせに自己管理がなっていない」「醜態をさらすな」と容赦ない声が投げかけられている。

 しかし、「ダイエットしろ」という世間の厳しい意見を、彼女たちも知らないわけがない。元EE JUMPのソニンは著書『元リバウンドの女王』(宝島社)で、事務所からのダイエット指令に振り回され、挙げ句の果てに過呼吸で倒れた過去を告白しているが、現在のアイドルたちも同じように、事務所からプレッシャーをかけられたり、ファンからの声を十分すぎるほど自覚して節制に取り組んでいるに違いない。にも関わらず、それでもなぜ、彼女たちは太ってしまうのだろうか。

 ダイエットに必要なのは食事と運動というのは当然だが、それ以上に大事なのは「気持ちのバランス」である──そう説くのは、エステ業界で約2万人もの女性の美容・ダイエットに関わってきた著者による『怒りが消えれば、やせられる コーピング・ダイエット』(城ノ石ゆかり/きずな出版)だ。

 そもそも体重が増える現象は、消費カロリーを摂取カロリーが上回っているという単純な問題。では、太ってしまうほどの過剰な食欲はどこから生まれるのかといえば、ストレスが元になっていることが多い。心にかかった負荷を「食べることで処理」してしまうからだ。

 たとえば、イライラしているときに甘いものが食べたくなるのは、糖分を摂ることで情緒を安定させるホルモン・セロトニンの濃度が上昇し、気分が落ち着くことを身体が覚えているから。また通常は、食事をしていると脳内ホルモンのドーパミンが分泌され食欲が増すが、その後にセロトニンが増えることで「ドーパミンによって増大した食欲を抑える働き」を行う。しかし、慢性的にストレスを抱えているとセロトニン不足に陥り、「セロトニンをうまく脳内に取り込めないと、食欲を抑える働きがうまく作動しません」という。すなわち、たくさん食べていても満腹感を感じにくくなってしまうというわけだ。

 さらに、食べ過ぎてしまうときには「不快な感情の抑圧」が関係していると著者はいう。不快で苦痛を伴う受け入れがたい感情によって自分が取り乱さないよう、無意識のうちになかったことにして心を防衛するのだ。

 人にとって不快と感じる感情はさまざまだ。心配ごと、恐怖、悲しみ、後悔、罪悪感──なかでも、もっとも抑圧されやすいのは“怒り”の感情である。怒りを抑えることを美徳とする日本では、怒りの表現方法や感情処理の仕方を学ぶ機会がない。そのため、怒りをため込み、発散することもできず、食べる行為に向かっていく。これはアイドルでなくても、多くの人が経験したことがある行動ではないだろうか。

 このように太る原因となる「激しい怒りを生み出してしまうタイプ」には、著者によると4つの強い欲求があるのだという。それは、まず人から好かれたいという「認められたい欲求」、人の上に立ちたいという「成功したい」欲求、娯楽などで「満足を得たい」欲求、そして魅力的でありたいという「きれいなからだでいたい」欲求だ。

 お気づきの通り、これらのほぼすべては、アイドルとして生きる上で必要とされる欲求である。アイドルたちは、ひとりでも多くの人に認められたいと願って歌やダンスに勤しみ、ステージ衣装やグラビアの水着を着こなし、少しでもかわいく見られる努力を重ね、危険と隣り合わせで握手する。新曲の売上げ枚数やコンサートの動員数というシビアな数字を叩きつけられながら、ライバルグループと競り合う。ときに総選挙という名の順位付けが行われ、仲間と呼ばれるメンバーとも戦わなくてはいけない。──強い意志と覚悟がなければ生き残れないのが、彼女たちの世界なのだ。

 しかも、女子の集団という状況では、比較され優越を付けられることも日常だ。なかには集団のなかで孤立している者もいるだろう。そういった特殊な環境にあって、一般社会以上のストレスを抱える彼女たちに追い打ちをかけるように浴びせかけられる「激太り」「アイドル失格」という声……。そもそも、「激太りした」と言われる彼女たちは、10〜20代前半という体重の増減が激しい年齢。ズッキにいたってはまだ15歳なのだ。 

 ももクロの場合、メジャーデビュー当時に行われたイベントでアイドル体重をクリアしているかをメンバーの条件としていたが、そのときに用いた計算方法は「(身長−100)×0.8」だった。しかし、日本の16歳女子は平均身長157.6センチで平均体重は52.5キロである。ももクロ式で計算すれば、約46キロでなければならないことになる。成長期にこんなハードルを設けること自体に疑問を感じるが、それ以上に、追い込まれたアイドルたちが過激なダイエットによって心身を崩さないかが非常に心配な状況だ。

 果たして、彼女たちの精神状態をきちんとフォローする大人が側にいるのかどうか。推しメンに対して自己管理を問う前に、ファンであるならばその点に言及してほしいと切に願いたい。
(田岡 尼)

最終更新:2014.07.04 07:08

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