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昭恵枠、「明細書ない」の嘘、即位晩餐会発注…安倍首相「桜を見る会」疑惑が止まらない! 元検事の若狭勝は贈収賄の可能性指摘
2019年の「桜を見る会」(首相官邸HPより)
口を開けば出てくるのは嘘、嘘、嘘──。本日、参院本会議に出席した安倍首相だが、そこでまたも嘘を塗り重ねた。
まず、きょうは衆院内閣委員会で驚きの数字が判明した。菅義偉官房長官が、招待者の「総理枠」が約1000人だったほか、麻生太郎副総理や菅官房長官、副長官の推薦枠が約1000人、自民党関係者の推薦枠が約6000人だったと答弁したのだ。しかも、大西証史内閣官房内閣審議官は安倍事務所がとりまとめた招待者のなかには昭恵氏の推薦もあったことを認めた。
「桜を見る会」には昭恵氏が名誉会長を務めたスキーイベントの実行委員や、昭恵氏の農業仲間、昭恵氏と日本酒をつくる女性のグループなどが招待されており、以前から「昭恵枠」が存在するのではないかということが囁かれてきたが、やはり噂どおりだったのだ。だいたい、安倍首相は森友問題の国会追及では「妻は私人」だと言い張り、ついには「首相夫人は公人ではなく私人」という答弁書を閣議決定までしたのに、公的イベントの招待者推薦までおこなっていたとは、「どこが私人?」と言うほかない。
しかも、「総理枠」「昭恵枠」を含め自民党枠がトータル8000人って……。招待者数の目安は1万人とされながら今年の同会では招待者が1万5400人、参加者数は約1万8000人にも膨れ上がったが、その大幅増分はやはり安倍首相や自民党のオトモダチ、支援者枠だったのだ。その上、安倍自民党は今年の同会で7月の参院選で改選した議員に後援会関係者などを4人まで招待できる枠まで設けていたことが判明しており、党をあげて「桜を見る会」を有権者接待の選挙活動の場にしていたことは明々白々。これは公職選挙法違反にあたる事前運動であり、財政法違反の税金の目的外支出だ。
こんな実態があったにもかかわらず、安倍首相は8日の参院予算委員会では、招待客の選定を「適正だった」と答弁。国会でまったくのデタラメを主張していたのである。
しかも、安倍首相はこの参院予算委で「私は招待者のとりまとめ等には関与していない」と語っていたが、実際は前述したように1000人の「総理枠」があった。これは完全に8日の答弁が虚偽答弁だったということではないか。
安倍首相はきょうの本会議では「私自身も事務所から相談を受ければ、推薦者について意見を言うこともあった」などと軌道修正していたが、1000人も枠を取らせておいて、何が「意見を言うこともあった」だ。
だが、きょうの安倍首相の主張でもっとも唖然としたのは、「桜を見る会」の前日夜におこなわれてきた「前夜祭」についての答弁だ。
きょうの答弁で安倍首相は「前夜祭」の主催者が「安倍晋三後援会」であったことを認めた上で、こう述べた。
夕食会の各種段取りについては、私の事務所の職員が、会場であるホテル側と相談をおこなっております。事務所に確認をおこなった結果、その過程において、ホテル側から見積書等の発行はなかったとのことであります」
主催者は安倍後援会なのに、ホテル側から明細書は発行されていない……!? 安倍首相が「前夜祭」を開催したのは、2013、2014、2016年がANAインターコンチネンタルホテル東京、2015年と2017〜2019年がホテルニューオータニという日本を代表する一流ホテルだ。なのに、そんな一流ホテルが、主催者に対して明細書を発行していないと、安倍首相はそう主張したのだ。
しかし、この答弁も大嘘だ。実際、NHKが昨日配信した記事では、NHKが「前夜祭」が開かれたニューオータニやANAインターコンチネンタルをはじめ、帝国ホテルやホテルオークラといった都内の5大ホテルを取材。すべての5大ホテルから、こんな回答を得ているのだ。
〈5つのホテルはいずれも「パーティーについては原則として主催者側に明細書を発行します」と答えました。そして主催者側が明細書を紛失した場合もいずれも「再発行は可能です」と回答しました。〉
あまりにも当然すぎる回答だが、その上、ANNインターコンチネンタルはこうも回答している。
「明細書の保存期限は社内規定で7年程度となっていて履歴も残っているので、ご要望があれば過去にさかのぼって発行することが可能です」
安倍は「明細なし」、でもニューオータニもANAインターコンチも「明細書は発行する」
つまり、ニューオータニにしてもANAインターコンチネンタルにしても、主催者に明細書は発行しており、かつ、ANAインターコンチネンタルにいたってはいまからでも再発行できるのである。安倍首相は「発行してもらっていない」とすっとぼける時間があるなら、いますぐに安倍後援会をとおして明細書をホテルに発行してもらい、国民に対し即急に開示すべきだ。
だが、安倍首相がついた嘘はこれだけではない。ニューオータニが「1人あたり最低1万1000円以上」と述べている立食パーティの費用について、安倍首相は先週15日のぶら下がり取材で「参加者1人5000円という可否については、まさに大多数が当該ホテルの宿泊者である、という事情等を踏まえホテル側が設定した価格」と説明したが、これも嘘だったことが判明している。
というのも、2015年の「前夜祭」はニューオータニの「鳳凰の間」で開催されたが、その年の「桜を見る会」ツアー参加者に配られた文書では、〈宿泊先ホテル(全日空ホテルもしくはホテルオークラ東京)〉と書かれており、この事実を報じた共同通信の記事では、ツアー参加者のひとりが「桜を見る会のツアーバスは計十台ほどで、オークラ発が二、三台、残りはANAだった」と証言しているのだ。
つまり、安倍首相は「(参加者の)ほとんどの方が宿泊をされているというのが事実」「かなり多くの人数」だと強調し、「前夜祭」の費用5000円はそうした事情を「ホテルが勘案して決めた」と主張していたが、2015年の場合は、ツアー参加者の宿泊先は全日空ホテルかホテルオークラで、「前夜祭」が開かれたニューオータニではなかったのである。ちなみに、安倍首相は「大多数が当該ホテルの宿泊者だったから」という理由だけではなく、「例えば毎年使っているとか」と述べていたが、ニューオータニで「前夜祭」が開催されたのは、この2015年が最初だ。
だが、自分がついた嘘が暴かれてしまった安倍首相は、きょうの本会議では、しれっとこんな言い訳をはじめたのだ。
「2015年は、当初、夕食(前夜祭)会場であり、かつ多くの参加者が宿泊することが予定されていたホテルにおいて、事務的な手違いにより、夕食会場が確保できないことが判明し、急遽別のホテルに夕食会場を変更したとの事情があったと聞いています。このため、2015年にかぎっては結果として大多数の宿泊先が夕食会場と同一ではなくなりましたが、ホテル側と相談をおこなった結果、提供するサービスの内容や参加者の規模等を勘案し、1人あたり5000円という価格設定になったと承知しております」
ものの5日前には会費5000円の理由をドヤ顔で「大多数が宿泊したから」と言っていたのに、嘘がバレると「サービスの内容・参加者の規模等を勘案した結果」だと主張する──。呆れるほどの後出しジャンケンだが、今後はこれで通すつもりなのだろう。
産経新聞がホテルの匿名コメント「会費5千円あり得る」で必死の援護も、無理がありすぎ
実際、御用メディアである産経新聞は昨晩、「首相夕食会「会費5千円、個別領収書あり得る」ホテル関係者」という記事を配信。そこでは、〈会場となったホテルの関係者〉が「安くても受けることがあり得る」「例えば『総額でこれくらいで収めてほしい』という相談があれば、応じざるを得ない」などと証言し、こう語っている。
「注文を断れば収入はゼロになり、別の日への変更も不可能だ。スケールメリットなどを総合的に考える」
「参加人数で割れば、いろいろな金額になることはある」
この記事をもってネット上ではネトウヨが「これが実態」などと吹き上がっているが、まったく何を言っているんだか。予約が入りにくい閑散期や空きがあるときの直前予約などでは値引きすることもあるだろうが、たとえば安倍事務所が設定した今年の「桜を見る会」参加申し込みの締切が2月20日だったように、直前予約はありえない。また、「前夜祭」は毎年、平日のなかでも予約の入りやすい金曜日の夜におこなわれており、それでなくても4月は歓迎会も多い。つまり、「前夜祭」は閑散期でもなければ直前予約でもなく、「注文を断れば収入はゼロ」になるような割引案件ではないのだ。
さらに、17日放送の『サンデーステーション』(テレビ朝日)では、ニューオータニに22年間勤務し、営業や宣伝を担当した経歴をもつプリンシプル・ホテルコンサルティング所長の中山晴史氏が“ホテルのパーティは第一義的に食事で売り上げを立てようと考えるもので、5000円でメニュー構成しようとすれば、調理部門に突き返される”と証言。“どういう内容なら5000円であり得るか”という問いに対し、「若干の乾き物とおつまみ程度で、飲み物もビールひとり1本くらいで構わないというようなお話であれば」と答えている。
ようするに、5000円でそれなりの食事と飲み放題を用意することはホテル側にとっては常識はずれの大出血サービスであり、いくら宿泊者が多いからといって引き受けられるようなものではないのだ。
だいたい、「会費5000円あり得る」と主張するこの産経は、証言者も〈会場となったホテルの関係者〉となっており、ホテルの名前さえあかされていない。既報のとおり、安倍官邸はすでにニューオータニ幹部と“口裏合わせ”を済ませていると思われるが、この産経記事も、そうした流れのなかでつくられたのではないかと疑わずにはいられない。
安倍首相の「安倍晋三後援会としての収入・支出は一切ない」があり得ない理由
とにかくいくら詐術を弄しても、安倍首相や応援団の主張は無理がありすぎて、何の説得力もない。それどころか、逆に疑念を膨らませるだけなのだ。
それは、きょうの本会議における安倍首相の「安倍晋三後援会としての収入・支出は一切ない」という答弁も同じだ。
安倍首相は、15日のぶら下がりでも「夕食会費用は会場の入り口の受付で安倍事務所職員が1人5000円を集金をし、ホテル名義の領収書をその場で手交、受付終了後に集金したすべての現金をその場でホテル側に渡した」と述べ、「参加者からホテル側への支払いがなされた」と主張。つまり、安倍事務所の職員が受付係として集金しただけで、主催者である「安倍晋三後援会」は精算もせず、その金はそっくりそのままホテルに渡した、と言い張っている。
しかし、これもまずありえない。本サイトでは繰り返し指摘してきたが、いくら前もって参加者を募っていても、これほど大規模なパーティなら事情があってドタキャンする人は必ず出てくるものだ。その当日キャンセル分の補填は誰がおこなったというのだろうか。あるいは万が一多すぎた場合の余剰分は誰の懐に入るのか。
そして、さらに言うと、食事代や会場設営・音響費用などは当日変更さえなければ事前に金額を確定できるが、飲み物代はそうではない。実際、立憲民主党の石川大我議員がニューオータニで取った見積もりでは、飲み物代として「ビール・ソフトドリンク」が1人につき1800円で計算されているが、注記として〈当日ご来館人数様分を保証として計上させていただきます〉とある。当日の参加人数の変動によって金額が変わってくるのだ。
また、本サイトがニューオータニに問い合わせをした際には、飲み物代はおおよそ1人4000円程度としながらも、基本的には「実数計上」になると説明を受けている。
つまり、事前に飲み物代は確定することはできず、通常でいえば宴会終了後に精算作業がおこなわれるはずなのだ。そして、その精算主体は「安倍晋三後援会」であり、何らかの収支が発生していると考えるのが当然だ。
それでも収支がない、明細はないと安倍首相が言い張っているのは、やはり、「安倍晋三後援会」が本来は参加者1人につき1万1000円以上の費用がかかっているのに、参加者からは5000円だけ徴収し、差額の補填(=有権者への寄附)をおこなっていたからではないのか。この場合、公選法199条の2(公職の候補者の寄附の禁止)、同法199条の5の2(後援団体に関する寄附等の禁止)違反にあたるため、明細を出したくても出せない、そう考えたほうが自然だろう。
ニューオータニが便宜図っていたら「巨額の違法献金」、「贈収賄の可能性」も
もちろん、一方では、先日の記事で指摘した、安倍夫妻とホテルニューオータニ代表取締役・総支配人と安倍夫妻の関係から、こうした政治資金収支報告書に記載しなければならない手続きを全部すっ飛ばして、それなりの料理にビール・ソフトドリンク飲み放題で5000円という、一流ホテルではあり得ない大出血サービスをしてもらった可能性もなくはない。
しかし、だとしたら、そのサービス分は「物品やサービスの無償提供」にあたり、政治資金規正法違反だ。
総務省の資料では、こうした無償提供の収支報告書での取り扱いについて、〈金額に換算して「寄附」として収入に計上。備考欄に「無償提供」と記載〉することとしている。つまり、本来は参加者1人につき1万1000円以上の費用にもかかわらず、ホテル側が値引きをおこなっていた場合は、それが「安倍晋三後援会」への寄附に当たる。寄附がありながら収支報告書に記載していないことは政治資金規正法12条(報告書の記載義務)違反だ。いや、そもそも「安倍晋三後援会」は政治団体で、企業が政治団体に寄附(企業献金)することは一切禁じられており、政治資金規正法21条(会社等の寄附の制限)違反になる。しかも、これは半額以上という高額の値引きであり、上脇博之・神戸学院大学教授も「社会通念上認められる程度の値引きではない。夕食会は数年続いており、かなり額の大きい違法献金となる」(東京新聞20日付)と指摘している。
まさに違法疑惑だらけなのだが、安倍首相にはもっと重大な指摘もおこなわれている。前出の東京新聞記事では、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士がこう語っているのだ。
「割引を受けたのが、仮に政治団体でも首相の職務権限は強く幅広いので、首相に利益がもたらされるなら贈収賄が成立するだろう。首相の個人事務所であれば当然だ」
「ホテル側も首相を相手に『損して得する』と、宴会代を値引きしたのかもしれない。ホテルが政治家以外にも財界関係者のパーティーなどで値引きをする話はよく聞く。だが、民間企業を相手にするのと公職者の政治家を相手にするのでは次元が違う」
予算1億7200万円の即位式典「総理大臣夫妻主催晩餐会」が入札なしでニューオータニに
贈収賄の可能性──。たしかに若狭弁護士が言うように、安倍首相の職務権限は「強く幅広い」。実際、今年10月22日におこなわれた「即位礼正殿の儀」の翌日23日には、4月の「前夜祭」と同じホテルニューオータニの「鶴の間」で「内閣総理大臣夫妻主催晩餐会」を開催。海外要人など602人が参加し、その予算総額は予算1億7200万円にものぼっている。
ちなみに、同じ即位にまつわる祝宴で、皇居で行われた「饗宴の儀」の料理は、8月に一般競争入札方式で最低価格だったグランドプリンスホテル新高輪が落札したが(落札価格約8400万円)、「内閣総理大臣夫妻主催晩餐会」の会場選定のほうはなぜか、そうした入札なしでニューオータニに決められていた。
内閣府に設置された「皇位継承式典事務局」によれば、「舞台スペース(平成度の実績:220席分)を除いて約900名の正餐が行える宴会場を有する」「元首など各国要人をもてなすため、非常に高いレベルの接客及び充実した設備・ノウハウを兼ね備えている」「前日も使用可能」「23日に大きなイベントがないこと」の4点が選定理由だという。これくらいの条件ならば、帝国ホテルの「孔雀の間」やホテルオ−クラの「平安の間」は「鶴の間」と同規模の宴会場であるし、いろいろ候補にあがりそうなものだが、しかし〈事務局において調査した結果、選定のポイント1〜4までの全ての項目をクリアしたホテルは、「ホテルニューオータニ」のみ〉と結論づけたのだ。
このように不可解な決定をみると、ニューオータニと安倍首相の“裏取引”を訝しむ向きが出てくるのも当然だろう。実際、刑法が専門の園田寿・甲南大学教授は晩餐会の問題を取り上げて、「不当な値引きの背景には、こうした国発注の行事もあるのではないか」(共同通信19日付)と言及している。
どんどんと疑惑が濃く、さらに大きくなってゆく「前夜祭」問題。前述した若狭弁護士は「後援会による補てんでも、ホテル側による割引でも、違法の疑いがある。宴会費だけでなく会場代などでも新たな利益供与が分かってくれば金額は増える。数年分をまとめれば立件できるかもしれない」とも語っているが、ともかく安倍首相は、ここまで国民に疑念を抱かせていることを反省し、嘘をつくのもいい加減にすべきだ。そして、その嘘は必ずバレるということを、肝に銘じてほしい。
(編集部)
最終更新:2020.10.28 03:03
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