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安倍首相、錯乱!「総理のご意向」文書を追及した野党議員に「あなたがつくったんじゃないの」と逆ギレフェイク野次
衆議院インターネット審議中継より
相次ぐ大臣の辞任に、大学入学共通テストの英語民間試験の導入延期と、問題が噴出しつづけている安倍政権。大臣辞任の問題を受けて、きょう衆院予算委員会で集中審議がおこなわれたが、衆院予算委員会の集中審議が開催されるのは、なんと約8カ月ぶりのこと。
しかも、安倍首相は大臣の辞任つづきで「責任を痛感している」などと述べながら、無責任な答弁に終始、さらには絶句するようなヤジを飛ばしたのだ。
まず、ともに公職選挙法違反疑惑で辞任した河井克行法相と菅原一秀経産相だが、ふたりをめぐっては大臣就任以前から有権者買収やパワハラなどの疑惑が指摘されてきた。にもかかわらず大臣に引き上げた安倍首相には極めて重大な「任命責任」があるが、安倍首相は事ここに至っても、河井・菅原両氏が副大臣などを歴任してきたことを強調して「もとよりそれぞれの任にふさわしい人物を任命した」と答弁。
その上、河井前法相も菅原前経産相も国民に国会での説明を約束しながら、辞任することでそのままトンズラ。野党は予算委に参考人として出席を求めたが、それも与党が拒否してしまったという。一体、ふたりの前大臣はいつになったら説明責任を果たすのか、それを約束するのは任命した安倍首相の責任だが、安倍首相の回答は「お二方ともですね、自ら説明責任を果たしていかれるものと、このように考えております」と、完全に丸投げ状態。立憲民主党の大串博志が「おふたりには事実確認を聴取していないのか」という問いには、ウダウダとこう答弁したのだ。
「おふたりの記者会見等を大串議員がご覧になったかどうかは私は承知しておりませんが、その際にですね、その際に、おふたりは説明をしておられると思いますが、もう一度、しっかりと調べてみたいと、こう述べているところでございます。しかし、先程申し上げたように、行政に遅滞があってはならない、ということについて、また、あるいは自らの問題についてですね、それぞれの委員会について時間が費やされるということになってはならない、これは当然そう思うのであろうと思うところでございますが、そのなかでふたりがそれぞれ判断されたわけでございまして、その辞意を示された、それを受け入れた、辞表を、えー、辞任したいという申し出を受け入れた、ということでございます」
質問は「事実確認をおこなったかどうか」だったのに、これだけ長々と答弁しながら、何ひとつ質問には答えない……。だいたい、「河井・菅原両氏は記者会見で説明した」などと言うが、ふたりが応じたのはお決まりの閣議後会見や官邸ロビーでの記者の囲み取材であって、ふたりとも正式な記者会見などおこなっていないのだ。
野党の質疑時間を潰すためにダラダラ答弁を繰り返す安倍首相の姿勢は、英語民間試験の導入延期問題の追及でも同様だった。だが、そんななかで安倍首相が気色ばんで反論する場面も。それは、民間試験導入問題と加計学園問題との共通点について指摘された際のことだ。
大串議員は、英語民間試験を検討していく方向性が固まった時期と、当時、官房副長官だった萩生田光一文科相が、加計学園問題で文科省に対して「官邸は絶対やると言っている」「総理は「平成30年4月開学」とおしりを切っていた」などと“総理案件”であることを伝えていたことが明らかになった内部文書「10/21萩生田副長官ご発言概要」の時期が重なることを指摘し、「今回のように民間事業者が利便を得る、加計学園問題のように学校をつくれるという利便を得る、こういったことが安倍内閣のなかで多々つづいてきた」と追及したのだが、すると、安倍首相はキレた様子でこう反論した。
「獣医学部の問題と、すべてをごっちゃにするという、そういう姿勢は間違っている」
「極めて党派的な姿勢ではないかと言わざるを得ない。獣医学部の問題については、私はまったくかかわっていなかったということはすでにあきらかになっている」
安倍首相が加計問題と英語民間試験の共通性に触れられ逆ギレして飛ばした野次
「ごっちゃにする」も何も、肝心の民間試験の活用を議論した文科省「検討・準備グループ」の議事録は第1回から9回までいまだ公開されていない状態にあり、選定プロセスがブラックボックスになっているという意味では加計学園問題とも共通する問題だ。
しかも、安倍首相は「私はまったくかかわっていなかったということはすでにあきらかになっている」と言うが、「萩生田副長官ご発言概要」をはじめ、内閣府が「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」と文科省に伝えたことが示されていた内部文書や、加計孝太郎理事長と安倍首相が面会したことが記されていた愛媛県文書など、むしろ「安倍首相がかかわっていたことがすでにあきらかになっている」状況だ。
ようするに、英語民間試験の問題に絡んで「終わったこと」にしたい加計学園問題の追及を受けたことで、安倍首相は余裕をなくして逆ギレしてしまったのだ。
だが、そのあと、安倍首相はさらにひどい醜態を晒す。それは、無所属の今井雅人議員が「萩生田副長官ご発言概要」について、萩生田文科相に「文科省でこのメモは見つかったわけですよね。であれば、これは文科省の人が書いたと思われますが」「文科省で見つかったと松野(博一・元文科)大臣がおっしゃっていますから、内容からして誰かがつくっているわけです」と質問をおこなった際のことだ。
ここで安倍首相は、自席に座りながら、今井議員に指をさし、こうヤジを飛ばしたというのだ。
「あなたがつくったんじゃないの」
文科省から見つかった内部文書をつくったのは今井議員じゃないのか──って、もはやSNS上でなんでもかんでも「野党がやった」と喚いているネトウヨかと見紛うようなイチャモン、陰謀論ではないか。とても正気の発言とは思えないが、それを総理大臣が国会で堂々と口にするとは、唖然呆然とはこのことだ。
安倍首相、錯乱! 加計問題の「総理のご意向」文書を「私がつくったかもしれない」
無論、今井議員も「なんで私がこんなものつくれるんですか? 失礼ですよ!」と抗議したのだが、しかし、安倍首相はこんな言い訳をまたも長々とはじめたのである。
「ただいま、今井委員がですね、文科省のなかにおいて見つかった、誰がつくったんですかと、こう訊いたわけですね。文科大臣に。で、文科大臣としては、自分はまったくこれは、こうこうこういう理由でまったく中身は正確ではないと明確に示された、というふうに思っています。そして、それは、当然、預かり知らないものでありますから答えようがないわけであります。しかし、今井委員はですね、それでも答えろということであったわけでありますが、それは答えられないんじゃないかということで、私はですね、それは誰かわからないんじゃないかと、こう申し上げたわけでありまして」
安倍首相は「あなたがつくったんじゃないの」と今井議員に濡れ衣を着せたというのに、「つくったのは誰かわからない」などと言い出す……。この安倍首相の発言には委員会室がざわついたのだが、安倍首相はさらにこうつづけた。
「で! そのなかにおいてですね、そのなかにおいて、そのなかにおいてですね、私は今井委員のほうを指差しまして、それは誰だって可能性があるし、今井委員だって私だって、それは、そういうことになってしまうんじゃないかということを申し上げたわけでありまして、ここであきらかにしなければいけないことについてはですね、つまり、誰が書いたということについて、今井委員が明確なですね、明確なものを、事実を示しながら、これは文科省でつくられたということを示さないかぎり、これは議論にならないわけでございまして、まさに水掛け議論、水掛け論になってしまうということを私は、という趣旨で申し上げたわけでありますが」
よりにもよって、ひねり出した言い訳が「今井議員がつくったかもしれないし私がつくったかもしれない」って、安倍首相は自分が何を口走っているのかわかっているのだろうか。しかも、「明確な事実を示さなければ水掛け論になる」などと安倍首相は言うが、今井議員に「あなたがつくったんじゃないの」と飛ばしたヤジに明確な事実はどこにあるんだよ、という話だろう。
英語民間試験導入は加計問題とそっくり! 決定プロセスに利害関係者が
荒唐無稽なネトウヨ陰謀論のヤジを飛ばし、挙げ句、「官邸は絶対やると言っている」「総理は「平成30年4月開学」とおしりを切っていた」と書かれた内部文書を「自分がつくったかもしれない」と言い出す錯乱総理……。ともかく、いかに安倍首相が加計学園問題を蒸し返されることを心底嫌がっているか、そのことが浮き彫りになったといえよう。
だが、そういうわけにはいかない。というのも、きょうの集中審議では、英語民間試験導入が、いかに加計問題とよく似た問題を抱えているか、次々に指摘されたからだ。
たとえば、きょうの審議では、前述した民間試験の活用を議論した文科省の「検討・準備グループ」では、当初、英語の専門家がメンバーにひとりもいなかったことが発覚したのだが、その後加えられた英語の専門家である有識者は、民間試験実施団体である英検が運営するTEAPの設計にかかわった吉田研作・上智大学言語教育研究センター長だった。
さらに、やはり民間試験に採用されていたベネッセが実施するGTECを共催し、ベネッセ東京本部を所在地とする進学基準研究機構(CEES)の理事長は、元文部事務次官の佐藤禎一氏だったことを野党が追及。しかも、CEESの理事には丹呉泰健・元財務事務次官が、評議員には元文科省中央審議会会長で高大システム改革会議座長である安西祐一郎氏が入っている。安西氏は民間試験の活用という方針を打ち出した中央教育審議会の会長だった人物である。
民間試験導入のプロセスに利益を得る民間業者が入り込んでいたという重大な疑惑。そして、問題はここに政治家の関与はなかったかということだ。本サイトでも既報で紹介したように、あの田崎史郎氏でさえ「(英検やベネッセなどの)団体ごとにおそらくね、政治家が付いているんですよ。裏で」と口にしていたが、教育行政を牛耳る族議員らの関与が十分に疑われる案件であり、否応なく加計学園問題を想起させる展開となっているのである。
今後の徹底した追及が待たれる問題だが、そのとき、また安倍首相は加計学園の追及に怯えて“ご乱心”するのか。ともかく、どこまで醜態を晒すのか、そちらも見ものかもしれない。
(編集部)
最終更新:2019.11.06 10:34
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