差別に関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
N国・立花孝志のジェノサイド扇動発言を放置するな! 麻生太郎、杉田水脈らも同根 差別をエスカレートさせてきた安倍政権
YouTubeでジェノサイドを扇動する立花氏
即刻、議員辞職してもらいたい。NHKから国民を守る党の党首・立花孝志参院議員が、YouTubeでジェノサイドを扇動する発言をした件だ。
立花氏は今月19日にアップされた動画で、自民党から衆院選に立候補したこともある元吹田市議・神谷宗幣氏と対談。増加する世界人口について「食べ物は決まっている量しか出ないわけだから、当然、いずれ戦争が起こるのは自然の摂理でしかたがない」などと持論を述べたうえで、このように主張した。動画から書き起こす。
「いや、教育はだって回らないもん。だってバカな国ほど子ども産むから。バカな民族っていうかね。だから、そういう人たちって甘やかすとどんどん子ども産むから。僕、自然の摂理は、人間は食物連鎖のピラミッドで、人間の天敵っていないから、結局、人間が人間を殺さざるをえないっていうのが戦争だと思ってるんですよ。とにかく子どもを産まないように、殺し合いをしなくていいようなコントロールをとにかくかけるしかないのかな。そんな、ある意味、もうすごい大雑把に言うと、そういうアホみたいに子どもを産む民族はとりあえず虐殺しよう、みたいな」
言葉を失う。対談相手の神谷氏は声を出して笑っていたが、「アホみたいに子ども産む民族はとりあえず虐殺しよう」というのは、読んで字のごとくの虐殺の扇動である。
27日にはこの問題発言を共同通信が報じた。共同の記事には〈直後に「やる気はないけど」とも付け加えた〉と書かれているが、実際には「とりあえず虐殺しよう、みたいな」に続くのは以下のくだりだ。再び動画からそのまま起こす。
「いやそりゃ、やる気はないけど、それを目指したら結局そういうことになるのかな。いわゆる、ある程度賢い人だけを生かしといて、あとはもう虐殺して、ここでよし、もうあとはこっからは、子どもをコントロールするぞー!っていう賢い人がやらざるを得なくて。今生きている人にそこを理解してもらうっていうのは、至難の業かな」
明らかに立花氏は「ある程度賢い人」を選別して「あとはもう虐殺」と述べている。ナチスの優勢思想を彷彿とさせる、あり得ない発言だ。
この発言が報じられると、立花氏は自身のYouTubeチャンネルに「共同通信の記事に対する反論」なる動画をアップ。「とにかく人は増えてるんですよ、人は増えてるから。人の天敵って人しかいないんですよ。人が増えるともちろん食べ物が不足して、資源も石油とかも資源がなくなるから、最後は争いになっていくから、本当にこのまま人が増えていくってことを指をくわえて待っていていいのかって疑問は、ずっと僕は持ってます」と繰り返したうえで、「でも、だからと言って、そのどっかの国の人たちをね、殺してしまおうとか、そんなつもりはさらさらないですよ、僕には」などと釈明した。
だが、立花氏は、同じ神谷氏との対談を収録した別の投稿(上述「虐殺」発言の動画の続き)でも、明らかに人種や民族、国籍などの属性による差別の扇動と、それに基づく排斥を肯定していた。
N国・立花孝志「とにかく下等な人類に関しては、もう吊るしてしまう」
神谷氏が日本から他国への教育や物資を提供すべきだとした上で、「貧しい国にいくとね、カオスなんで、これはちょっとどうもならんなと」と発展途上国を念頭に話すと、立花氏はこうまくし立てた。
「だって人間と思えないでしょ。申し訳ないけど。あの、批判しているとかじゃなくて。だって学校に行ってもいないわけだし。もう目の前のご飯を食べること(だけを考えている)、だってうちの飼っているネコとあまり変わらない人、いっぱいいますよ。でもそういう人は、ご飯をあげたら繁殖するんですよ、言い方悪いけど。いっぱい子ども産むんですよ、やることないから。避妊に対する知識もないし。だから今、世界の人口増えてるとは言ってますけど、増えてるのは、いわゆる先進国の人は減ってるんですよ、日本とか。でも増えてるっていうのはそういう発展途上の国の人たちが無計画に子ども産むから増えてるわけでしょ。そうすると、その人たちが増えることによって、自分たちはがんばって働いているのに、その人に食べ物や資源を持っていかれる。じゃあこの人たちを減らそうという考えを持つのが、たぶん戦争だと思うんですよね」
発展途上国の人々を「人間と思えない」「うちの飼っているネコとあまり変わらない」という立花氏。2017年の相模原障害者施設殺傷事件で逮捕された植松聖被告は、「障害者なんていなくなればいい」などと主張した。接見した新聞記者には「殺したことは認めるが、彼らは人ではないので殺人ではないと訴えたい。みんな分かってくれるはずだ」と述べたという(産経新聞2018年7月22日付)。
立花氏は、神谷氏との対談のなかで以下の発言もしている。
「僕がだから唯一言ってるのはね、とにかく下等な人類に関しては、もう吊るしてしまうという。無茶苦茶なことよ。だからこれ、やれって言ってるわけじゃないし。それしか無理。ある程度の知識がある人しかこの地球にまず残さない。で、ガンッと人を減らしたうえで、人口をコントロールして。ちゃんとね、いわゆる避妊できる人とやるしかないんじゃないの。これ、やれと思わへんし、やるべきでもないと思うし、それこそ人間こそ神から与えられた命なんだから、自然にまかせたらいいんじゃない」
また、立花氏は「人種差別をやめようと思ったことがない」と宣言している。念のためしつこく断っておくが、以下は対談動画のセリフを忠実に書き起こしたものである。
「あーそうか、俺、人種差別は、こんなん政治家が言ったらあかんけど、やめようと思ったことないから。だって、差別とかいじめっていうのは、これも神様がつくった摂理だから、本能に対して逆らうことになるでしょ。だって、誰かを差別したり、だれかをいじめることによって自分が安心できるっていう人間持ってる本来の摂理なので、それ〔引用者注釈:人種差別をやめること〕が本当に正しいのかっていうのは、すごく疑問がある。政治家という立場としてはそんなこと言っちゃいけないんだけど。だから政治家辞めたいんだけどね、正直」
N国・立花孝志を猛プッシュしてきたAbemaTV、対談し持ち上げた玉木・国民民主代表
一刻も早く政治家を辞めるべきである。立花氏の主張は、人間を「賢い人」と「うちの飼っているネコとあまり変わらない人」などに分けて、「人口をコントロール」するために後者を「虐殺しよう」というものだ。
ジェノサイドは、対象の人々を属性でくくり、見下すところから始まる。加害者は自分たちを「優等」と定め、被害者を「劣等」に位置付ける。そうすることで大量殺戮を正当化する。ナチスのユダヤ人迫害、あるいはルワンダ虐殺を振り返ってもわかるように、ジェノサイドと差別扇動はセットで行われてきた。
立花氏は「そんなことするつもりはない」などと言い訳するが、彼の主張は従来の“虐殺の論理”を踏襲している。そして、立花孝志はまがりなりにも公党の党首である。社会的影響力や発信力のある立場であると同時に、政治的権力も持っている。そんな人物が「アホみたいに子どもを産む民族はとりあえず虐殺しよう」などと発言すれば、どうなるか。虐殺と差別を肯定し、煽っていると受け取られて当然だ。
もう一度言うが、即刻、政治家を辞めるべきである。もちろん、立花氏が議員辞職するだけで終わりではない。本サイトでは繰り返し、立花氏のN国と差別主義の親和性を繰り返し伝え、批判してきたが、一方でAbemaTVや一部の週刊誌などは、面白がるかのように、立花氏を出演させたりインタビューを掲載してきた。メディアにもその責任を考えてほしい。
また、国民民主党の玉木雄一郎代表にいたっては、PV目当てで自身のyoutube番組で立花氏と和気あいあいと対談しあまつさえ評価すらしていた。N国をめぐってすでに数々の問題が表面化していた9月中旬のことで、国会議員として公党の代表として、あまりに不見識かつ軽率すぎる。玉木代表はいまのところ、立花氏のジェノサイド扇動発言についてだんまりを決め込んでいるが、即刻なんらかの対応をするべきだろう。
有権者も、あらためて考えてもらいたい。N国に投票した人たちだけの話ではない。あまりにも立花孝志に無防備すぎたのではないか。「変なおじさん」として“ネタ消費”してきたのではないか。彼を国会議員にし、それまでの「ユーチューバー」だった頃の何倍もの影響力と権力を持たせ、いまや民族虐殺の扇動までさせてしまっている。もはや無関係を装うことはできない。彼のやっていることは「売名」でもあるが、だからこそ無視を決め込めば、一層、過激化していくのは目に見えている。その前に、この政治家を止めなければならない。
もうひとつ言っておきたいことがある。それは、「政治家のこの種の発言に慣れてしまってはいないか」ということだ。とりわけ第二次安倍政権の発足以降の風潮だ。
麻生太郎、長谷川豊、杉田水脈…繰り返される政治家たちの差別発言を放置するな
たとえば麻生太郎財務相はどうか。麻生財務相は2017年9月の講演で、朝鮮半島から難民が押し寄せる可能性にふれて「武装難民かもしれない。警察で対応するのか。自衛隊、防衛出動か。射殺ですか。真剣に考えなければならない」と発言した。批判はあった。だが、ネット上では〈武装難民ってただの侵略者だろ? 射殺で問題なくね?〉〈武装難民なら射殺でOK。〉などと賛同する声が少なくなかった。同年11月、政府は麻生財務相のこの発言について〈有事の際に想定され得る様々な事態について、聴衆の問題意識を喚起する趣旨からなされた〉と閣議決定した。麻生氏はいまだに財務相兼副総理であり続け、いまでは発言を振り返り問題視されることもなくなっている。
2016年には、長谷川豊氏の「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」というブログが大きな問題になった。だが、日本維新の会は2017年衆院選でその長谷川氏を公認候補として出馬させ、今年の参院選でも長谷川氏に公認を与え、出馬させようとした(長谷川氏はこのとき講演で部落差別を助長する発言をし公認辞退)。昨年2018年には、自民党の杉田水脈衆院議員が雑誌で、性的マイノリティについて〈彼ら彼女たちは子供を作らない、つまり「生産性」がないのです〉と記した。明らかな差別扇動だ。しかし、自民党は除名することもなく、杉田氏は撤回と謝罪を拒否したまま国会議員を続けている。
他にも、先日、N国に入党した丸山穂高衆院議員は〈竹島も本当に交渉で返ってくるんですかね?戦争で取り返すしかないんじゃないですか?〉とツイートした。その数カ月前、「北方領土を戦争で奪い返す」という趣旨の発言をした際には、菅義偉官房長官が「誰が見たって不適切な発言」と非難し、維新の会から除名された。にもかかわらず、竹島をめぐる「戦争で取り返すしかない」発言について菅官房長官は「コメントは差し控えたい」。相手がロシアだと政権も慌てるが韓国であれば問題がない、ということなのだろうか。10年ほど前ならば確実に議員辞職させられていた発言だが、いまだに丸山氏は国会議員のバッジをつけている。
単なる暴言を超え、差別を扇動する発言や戦争を是認する発言が、政治の場で繰り返されている。ところが、一時批判の声が強まっても、引責辞任などに追い込まれる政治家は皆無だ。結果、批判は下火になり、人々の感覚も麻痺していく。だから、もっとグロテスクな発言が飛び出してくる。このサイクルは、明らかに第二次安倍政権になってからだ。
いま、政治家が差別や戦争・虐殺を肯定するハードルは確実に下がっている。今回の立花氏による民族虐殺扇動発言も、そうした安倍政権下の社会風潮の延長線上に出てきたものだ。
いずれにせよ、今すぐ立花氏を辞職させなくてはならない。差別や戦争を肯定する発言が「批判されなくなる社会」の次には、それを「批判できなくなる社会」がやってくる。80年前の日本がそうだった。安倍政権下の異常な状況を直視するべきだ。今から変えていくしかない。
(編集部)
最終更新:2019.09.29 07:59
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