高市早苗が安倍官邸の意向で民主主義破壊のトンデモ国会改革案! スキャンダルは野放し強行採決もやり放題

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高市早苗公式HPより

 外国人労働者の拡大を目指す出入国管理法改正について「移民政策ではない」と言いつつ具体的な説明を避ける一方、改憲を語ることには「議論を呼びかけることは禁じられているものではない」などと開き直るなど、相変わらず安倍首相が自分勝手な答弁を繰り広げている代表質問。そんななか、昨日の衆院本会議での代表質問がおこなわれる直前、看過できない騒動が起こった。

 今月、女性初の議院運営委員長に選任されたばかりの高市早苗議員が、25日に“国会改革案”を公表。これに6野党・会派から批判が集まり、昨日の国対委員長会談で撤回・謝罪を求めたのだが、対する高市議運委員長は拒否。最終的には撤回に応じたが、それによって代表質問の開始が45分も遅れる事態となったのだ。

 議運委員長とは不偏不党・公正中立の立場を保つことが求められる、議会運営の要だ。そうした重責を担う高市議員が、協議の場をもつことなく一方的に国会改革案を打ち出すなど言語道断の行為だが、さらに反発を招いたのが、その内容だ。

 問題となっている高市議運委員長が示した「議院運営委員長として実現を目指す事柄」という文書によると、高市議運委員長はここで「ペーパレス化の一層の推進」「法案審議の方法を改善」「衆議院本会議場への「押しボタン方式」の導入」という3つの改革案を提示。そして、批判が集中したのが、「法案審議の方法を改善」という項目に記された、この一文だった。

〈一般質疑⇒法案審議⇒一般質疑⇒法案審議のサンドウィッチ方式を改める。
 国会冒頭の大臣所信に対する質疑日数を増やし、法案審議は続けて行う。
 会期末前に残った時間は、議員立法の審議や一般質疑に充てる。〉

 唖然とするような内容だが、ようするに高市議運委員長は、内閣提出法案の審議を最優先させ、議員立法の審議は〈会期末前に残った時間〉に後回しにする、と主張しているのである。国の唯一の立法機関であり国権の最高機関たる国会を、政府の出してくる法案を追認するだけの下請けにすると言っているようなもので、議運委員長という立場でありながら三権分立を完全に無視した暴論だ。安倍首相も自らを「立法府の長」と宣うなど三権分立をわかっていないフシがあったが、まったく親分が親分なら子分も子分だ。

 しかも、同時に一般質疑の時間も〈残った時間〉に回すということは、閣僚のスキャンダルや政府の不祥事などへの追及も封じ込められてしまうことになる。「中立」の立場であるはずの高市議運委員長が、委員長職権を振りかざして政府お手盛りの内閣提出法案を優先させるといい、挙げ句、政権の打撃になる一般質疑の時間さえ削ろうというのである。

 これでは、「議員立法の審議をしたいなら内閣提出法案をさっさと呑め」と脅しているようなものであり、内閣提出法案の審議が長引けば、森友や加計などのような問題も野党が追及することもできない。安倍内閣が事実上、国会を牛耳ることを許す横暴そのものではないか。

 しかも、今回の高市案は、議員立法の審議や一般質疑の扱いだけでも辞任ものの大問題だが、じつはほかの部分にも、重大な問題が隠されている。

「押しボタン方式」で野党の抵抗封じ強行採決もスムーズに

 前述したように、高市議運委員長は改革案のひとつとして「押しボタン方式」の導入を挙げ、その理由を〈バリアフリー化〉〈障害をお持ちの議員・怪我治療中の議員も含めて投票を容易化〉などともっともらしく書いている。だが、じつのところ、目的は違うところにある。押しボタン方式の導入には、野党の抵抗戦術のひとつである「牛歩」を阻止しようという目的があるのだ。

 実際、牛歩を封じ込める目的で押しボタン方式を導入すべきだと与党・自民党は昭和30年代から主張し、参院では1998年に押しボタン方式が導入された。だが、2010年には自民党の若林正俊・元農相が席を外していた隣の青木幹雄・元自民党参院議員会長の投票ボタンを10回押しつづけるという不正行為が発覚して議員辞職するなど、押しボタン方式導入による倫理観の低下も問題化している。自民党はそんな問題を起こしたというのに、高市議運委員長は牛歩阻止のための押しボタン方式導入をもち出したのである。

 その上、高市案を読むと、ペーパレス化のためのタブレット購入や押しボタン方式の導入も、〈費用については、既に財務省事務次官・主計局長と交渉し、財務省は了承済み〉と書いている。つまり、“もう話はついている”というのである。

 にもかかわらず、高市議運委員長は、ペーパレス化による印刷費の節減費を「1300万円」と見積もっている一方、ダブレットや押しボタン方式の導入にかかる費用については一切書いていない。国会関係者によると「ざっと見積ってみたところ、導入費は合わせて数億円にのぼる」と言うが、そんなものを勝手に財務省と交渉すること自体、議運委員長の職務逸脱と言わざるを得ないだろう。

 こんな無茶苦茶な提案の公表を一方的におこなったのだから、高市議運委員長は撤回・謝罪どころか、解任だっておかしくはない大問題だ。しかし、高市議運委員長は、野党から撤回と謝罪を求められた際も「私的なメモだ」と述べて突っぱね、文書を撤回したあとも「改革の気持ちは変わらない。各会派で議論いただきたい」などと言い放った。まったく反省していないのである。

 ようするに、こういうことだ。内容から考えても、この国会改革案は高市議運委員長のスタンドプレーなどではなく、安倍官邸の意向が反映されていることは明白だろう。今回は一応、撤回したが、この国会を蹂躙する案が今後いつ息を吹き返しても、まったく不思議はないのだ。

高市と同レベル! 小泉進次郎の「国会改革案」にも要注意

 しかも、要注意すべきなのは、高市議運委員長がこの案を公表したのが、小泉進次郎議員らとの面談の場であった、ということだ。

 小泉議員といえば、「よりオープンに、より政策本位で、政治不信を乗り越えるための国会改革」を打ち出し、高市議運委員長との面談でも、タブレット導入や党首討論の定例化・夜間開催などの提言を提出。さらに小泉議員は、今月23日に経団連の中西宏明会長にまで協力要請をおこなって賛同を引き出し、「経済界のプラスの外圧はありがたい」などと述べていた。

 しかし、小泉議員の「国会改革」とやらも、結局は高市案と似たり寄ったりのものでしかない。実際、今年6月におこなった国会改革提言にかんする会見で小泉議員は「国民と国会は森友・加計問題に振り回されてきた」と語り、肝心の内容も国会における不正追及の機会を少なくしようとするようなシロモノだった。

 だが、高市議運委員長とは大きく違い、小泉議員の国民的人気はかなり高い。実態は空疎な「改革」を叫んで「真のリーダー」像を演出しようという安倍首相や橋下徹と何ら変わらない騙しの手口でしかないのだが、小泉議員が国会改革について喋れば喋るほど、メディアはこぞって報道し、国民の注目も高まることは必至。つまり、あの異常な高市案も、小泉人気にあやかって実現してしまう可能性もあるのだ。

 そもそも高市議員には、総務相時代、「国は放送局に対して電波停止できる」などと発言し、テレビ局に圧力をかけた前科がある。池上彰氏はこれを「欧米の民主主義国なら、政権がひっくり返ってしまいかねない発言です」(朝日新聞2016年2月26日付)と指摘したが、政権がひっくり返るどころか、高市氏は大臣を辞任することさえなかった。もし、高市案を通るようなことがあれば、こうした暴言に対する責任追及も国会では見られなくなり、メディアはますます安倍政権の不祥事を報じなくなるだろう。「国会改革」という言葉に、騙されてはいけない。

最終更新:2018.10.30 10:44

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