指原莉乃が東大美女同伴ツアー問題で性差別オヤジ的発言!「企画はセクハラじゃない、悪いのは乗っかった学生」

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指原莉乃オフィシャルブログ「指原クオリティー」より


 HISによる「東大美女図鑑の学生たちが 、あなたの隣に座って現地まで楽しくフライトしてくれる!」というキャンペーンがセクハラだと批判を受け、企画が中止された。女子大生を接待要員として扱っている点から批判が起こったのはごく自然な話で、このようなセクシズム思想が受け入れられると考えているHISは糾弾されて当然だろう。

 しかし、そんななかで、「(企画に応じた)女子大生が気持ち悪い」と言い出す者が現れた。HKT48の指原莉乃だ。

 指原がそう発言したのは、5月22日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ)でのこと。批判を受けた企画について指原は、「申し込みをしようと思う男性も不思議だなと思うし、そもそも企画をした人も不思議だなとは思うんですけど」と前置きした上で、このように語った。

「それよりも、それに乗っかった一般の学生さんが気持ち悪いなって」
「私はセクハラとは思わないし、女性差別? なんて言うんだろう、そういうのは思わないんですけど、ただただチヤホヤされたいんじゃないのかなと思って、その女子大生が気持ち悪いって思っただけです」
「(チヤホヤされたいという)感覚が気色悪い」

 企画そのものよりも、企画に参加しようとした女子大生が気持ち悪い──。発言通り、指原は企画について「セクハラとも女性差別とも思わない」と話しているように、このキャンペーンに問題を感じていない。むしろ、“見知らぬ男性からチヤホヤされたい女性の感覚”を問題視しているのだ。

 だが、これはあまりにも指原が性差別の構造について無自覚すぎる、と言わざるを得ないだろう。

 なぜ、こうした企画が大手企業内で通ったのか。それは無論、男性が一方的に女性を性的に消費するという価値観が社会に根付いているからだ。こういうことを言うと、「男だって女は性的消費してるだろ」と批判する者もいるが、だったらそのことに異議を唱えればいいし、もし「イケメン東大生が同行ツアー」が企画されたら怒ればいい。ただし、現在の社会では圧倒的に男性が女性を性的に搾取する構造、そしてそのためにJKビジネスなどのサービスが横行している点を踏まえるべきだ。

 そうした現状のなかでは、女性は男性視点の社会構造を知らぬうちに内面化し、“女は男に選ばれてこその存在”“見られているうちが花”などと考えてしまう。しかし、それは自明の理などではない。だからこそ、女性が男性視点から解き放つためにも、今回のような問題に対して「これは女性差別だ」と声をあげていくことが重要になってくるのだ。

 それは現在、指原が所属するHKT48をめぐって、新曲の「アインシュタインよりディアナ・アグロン」の歌詞が女性蔑視だと波紋を広げている問題も同じだ。

 この問題は本サイトがいち早く指摘し、いま、大手新聞も大きく取り上げているが、ネット上では「こんな歌を若い女の子たちが歌わされてかわいそう」という意見も数多く見られる。だが、指原が今回のセクハラツアー騒動を「セクハラとも女性差別とも思わない」と言い切ったことを考えると、彼女は秋元康が書いた《頭からっぽでいい》《世の中のジョーシキ 何も知らなくても メイク上手ならいい》《女の子は可愛くなきゃね 学生時代はおバカでいい》という歌詞を、自分のなかに擦り込んでしまっているようにも感じるのだ。

 しかも指原の場合、“大人のエライ男性たちの意見を疑問視せずに内面化する”ということが“処世術”だと信じているようにも見える。

 たとえば、以前、指原はアンチファンからネット上で“ゲロブス”と呼ばれるということがあった。あまりに酷い蔑称だが、驚いたことにプロデューサーの秋元はこれを大いに気に入り、「ゲロブスいいよ」「ゲロブスっていえば指原、っていうのを定着させたい」と言い出した。しかし当の指原は、怒るどころか、著書『逆転力〜ピンチを待て〜』(講談社)のなかで、秋元氏に同調するかのような文章を綴っている。

〈おとなしい美人には意味がないって言いましたけど、親しみやすさのないブスって最悪だと思う〉
〈私の周りのみんなに「ブスって言わないでください!」と言ったとしたら、「ううん。別にいいけど、他に言うことないよ」と腫れ物扱いされかねないじゃないですか。でも「ブスでOKです!」と言っておけば、イジッてもらえるかもしれない。(中略)そうやって世の中に出てきたのが、指原という女です〉

 この〈親しみやすさのないブスって最悪〉というのは、まさにセクシスト男性そのものの考え方だが、そうした思考のもとでプロデュースされ、アイドルグループの頂点に立った彼女は、すっかり“オヤジの言うとおりにすることが正解”と信じるにいたってしまったようにも思えるのだ。

 事実、指原の“処世術”は、当然ながら“最高権威”の安倍首相にも存分に発揮された。安倍首相が出演した『ワイドナショー』で松本人志から「子ども何人くらいつくろうとしてるの?」と問われた指原は、「産めれば産めるほど産みますよ。国に貢献したい」「身体の限界が来るまで産みます」「安倍さんの話を聞いて、私もちゃんと子どもを産んで、しっかりお母さんにならなきゃって思いました」と前のめりになって発言。

 その上、この指原の言葉に大満足な表情を浮かべていた安倍首相は、「かつ仕事もね」と念押し。女にあれこれ押し付ける前に産みやすくて働きやすい社会を先につくってよ!と多くの女性はツッコんだことだろうと思うが、指原は「はい、しっかり仕事もします」と即答した。

 また、松本への対応も同様だ。セクハラツアー騒動が取り上げられた『ワイドナショー』では、東京五輪の贈収賄疑惑について「ロビー活動ってそういうことなんじゃないのかって、ぼくはもう思ってましたけどね」と松本が言うと、指原は「私もまったくそう」と同調。「そういうものだと勝手にどっかで思っていて、このニュースをきいたときも『あ、明るみになっちゃいけない出来事なんだな』じゃないですけど、オープンなことじゃないんだなって思ったんですよね」と話し、松本と一緒になって贈収賄疑惑の問題を“世の中ってそんなものじゃない?”と掻き消した。

 そもそも、指原がアイドルとして革新的だったのは、自らのスキャンダルを逆手にとり、アイドルにだって当然性欲はあるのだと価値観を崩したことにあったはずだ。それなのに、権力をもったオヤジの太鼓持ちをして、性差別的な言説に無自覚に加担するというのは、あまりにもつまらない。そんな古いやり方にしがみつかないでも道を切り拓く、その強さを指原はもっている。そう思うからこそ、いまの指原の立ち振る舞いは残念でならないのだが……。
(田岡 尼)

最終更新:2016.05.25 05:50

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