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【追及!セブン‐イレブン商法 第5弾】
セブン-イレブン“タブー”の現実…週刊誌の社員自殺報道も潰された!
『鈴木敏文 経営を語る』(江口克彦/PHP研究所)
国内約1万7000店を超え、営業利益は2127億円(2014年2月期)をたたき出すコンビニエンスストア業界最大手のセブン-イレブンジャパン(以下、セブン)。マスコミにとっては、セブンだけで524億円という広告宣伝費(2014年2月期)を投入してくれる大スポンサーなうえに、新聞・雑誌の重要な販売網を握られている存在だ。
だからなのか、垂れ流しされるのは、セブンの親会社であるセブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長・最高経営責任者(CEO)を務める鈴木敏文氏のカリスマ経営ぶりばかり。鈴木氏はセブンを国内小売店業界最大手にまで育て上げた人物で、“流通の神様”“カリスマ経営者”などとマスメディアは持てはやしている。
一方で、都合の悪いことは報道されにくい。本部に有利なフランチャイズ契約、自殺者続出の加盟店オーナー、24時間営業の過酷な就労状態……これだけでも本来ならば、ブラック企業の筆頭に挙げられるべき企業だろう。
さらに、本来ならばマスコミがこぞって報道するような不祥事なども報道されにくいというのが現実なのだ。
たとえば、13年2月、セブン&アイのグループ会社・セブンネットショッピングが入る千代田区・麹町(東京)のビルで飛び降り自殺があった。飛び降りたのは12年4月に入ったばかりのセブンネットショッピングの新入社員Sさん。
「彼は真面目な性格のエンジニアタイプで、体育会系の社風についていけなかった。彼のSNSに『生きている意味がない』『そろそろ人生の終わりも近いか』などという書き込みが目立つようになり、家族にも『この会社はやばい』と漏らし、ふさぎこみがちになっていたようです。自殺する前日は夜10時30分に帰宅し、朝7時には会社に出社。そのまま自分のフロアではエレベータを降りずに、社長室のある10階まで行き、11階との非常階段の踊り場で飛び降りたのです。社内は徹夜組が働いていましたが、パトカーが何台もきて、やっと自殺に気がついた状態だったようです」(Sさんをよく知る人物)
そもそも、この会社は体育会系でブラック企業の体質だった。
「『業革、業革(業務改革)』『コスト削減のための内製化』が最優先。社員がシステム開発もするために徹夜作業も多い。それでも翌日は定時出社が原則。しかも、トップダウン経営、いわゆる社長のワンマンで思いつきの朝令暮改の部署移動、席変えも多い。出社時間も9時30分だったものが8時30分に前倒しされました。労働基準監督署からの指導もあったようですが、朝8時30分から終電まで働き詰めの日々では、精神的に耐え切れない。自殺したSさんの同期は約20人いましたが、その時点ですでに半数は退職しています。2月はセブンネットショッピングの決算期でかなりピリピリしていました」(前出)
しかも、このセブンネットショッピングの代表取締役である鈴木康弘氏は鈴木敏文会長の次男なのだ。鈴木康弘氏は1987年、武蔵工業大学(現・東京都市大学)工学部電気工学科卒業後、富士通に入社、ソフトバンクを経て、99年、34歳のときにソフトバンクとセブンが中心となって設立した、ネット上で書籍を販売するイー・ショッピング・ブックの社長に就任(同社は09年にセブン&アイのグループ会社になり、社名をセブンネットショッピングに変更)。
“流通の神様”鈴木会長の「ネットを制するものがリアルを制する」という掛け声の下、業界内では、「ネットビジネスで次男に結果を出させて、いずれ持ち株会社の取締役に引き上げる。次男は今年82歳になる鈴木会長の後継ナンバー1候補」(業界関係者)と見られているのだ。
しかし、セブンネットショッピングのネット通販業界内での立ち位置はかなり厳しい。それまでの5年連続赤字から、2011年度に黒字に転じたものの、ネット通販の強者・楽天、アマゾンを前に大苦戦中。12年夏には、これまで別々のサイトで展開していた西武・そごうのe.デパート、イトーヨーカドーのネットスーパー、セブンの宅配サービス・セブンミール、赤ちゃん本舗のネット通販などというグループ各社のネットショッピングサイトをセブンネットショッピングに集約・一本化。12年度でも黒字を出すべく決算期にあたる2月に向けて社内は相当ハッパをかけられていた。その矢先にSさんの飛び降り自殺が起きたのだ。
「鈴木ジュニアは会議を開きたがるが、そこでは富士通時代や孫正義ソフトバンク社長の自慢話ばかり。社員には新規事業を考えよといいながら自分は『勉強会』と称して秋元康と会って大風呂敷を広げているだけです。鈴木会長は『ネットを制するものがリアルを制する』という持論があるならば、ネット事業は別にいる適任者をあてたほうがうまくいくと思うのですが……」(元社員)
後継者と目される鈴木会長の次男の会社がブラック企業で、新入社員が飛び降り自殺ともなれば、週刊誌の格好のネタだ。「週刊現代」(講談社)「週刊新潮」(新潮社)はこの情報を入手し、取材を進めたという。ところが、記事掲載はストップ、いつのまにか立ち消えになってしまったのだ。
いまや、書店に代わって、コンビニは週刊誌の有力な販売チャネル。紙メディアにとってはセブンに置いてもらえるかどうかは死活問題になってくる。ヘソをまげられてはたまらないということか。さらに、鈴木会長は大手取次会社「トーハン」出身であり、現在、トーハンの取締役を務めている。
00年に発売された『鈴木敏文 経営を語る』(江口克彦/PHP研究所)では「いまではチェーン全体の書籍と雑誌と年間売上げは約一四〇〇億円。基本的にセブン‐イレブンで売っている出版物はすべてトーハン経由ですから、トーハンの売上高の約一割はセブン‐イレブンのもの」と語っているほどだ。00年当時2兆円だった全売上高は現在3.7兆円になっており、よりセブンの存在感が増していることは容易に想像できる。
かつて、鈴木会長の独裁体制による社内の閉塞状況をあばいた『セブン-イレブンの正体』(古川琢也、金曜日取材班/金曜日)が取次より配本拒否にあった過去もある。出版社としてはコトを荒立てたくないのだ。結局、セブンネットショッピングの自殺記事もコンビニ売りが少ない月刊誌「サイゾー」(サイゾー)で簡単に掲載されただけだった。出版関係者もこう話す。
「出版社では雑誌の中でも『セブン』という名前をできるだけ使わないという自主規制が働いています。広告が大量出稿されるラジオ番組でも『東京電力の批判はOKだが、セブン批判はNG』になっています」
いまや、メディアは報道できないどころか、事実上、セブンのブランドイメージはセブンだけがコントロールできる状態になっているのだ。
(小石川シンイチ)
【追及!セブン‐イレブン商法シリーズはこちらから→(リンク)】
最終更新:2014.12.04 07:46
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