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キモヲタ男子が超人気「読モ」の“キラキラポエム”を読んでみた
『雨のち晴れでまた明日 立ち止まったとき、ボクらの心をささえる言葉77』(読モボーイズ&ガールズ編集部/KADOKAWA メディアファクトリー)
なんか最近、みんながやたらポエムというものに心をふるわせているらしい。たしかに、我が家の液晶モニターの向こうに、スマホの液晶に、本屋の平台に、ラーメン屋の厨房に、居酒屋のトイレに、ポエマーたちによるポエムがあふれかえっている。
さて、そんな世界に、究極の一冊が登場した。先日発売された書籍『雨のち晴れでまた明日 立ち止まったとき、ボクらの心をささえる言葉77』(読モボーイズ&ガールズ編集部/KADOKAWA メディアファクトリー)である。
Twitterフォロワー総数100万人超の読者モデルによる「同年代の心をささえるフォト&メッセージBOOK」であるという本書。Åsaやこんどうようぢといった、若者やリア充にものごっつい人気を博している原宿系モデルたちが、「夢」「人間関係」「恋愛」について言葉を綴り、読者を感動の渦に巻き込んでいるらしいのだ。
まあ、基本的には外に出ない、出たくもない、アニメ・マンガ・ゲームが大好きで、知らない人の前に立つと脂汗を出しながら視線を泳がせ、震える身体と震える声で、相手が図ろうとしているコミュニケーションを全力で押し返し、すぐに部屋にひきこもる筆者にとっては、人生で交わることがないと断言できる人々である。
まあ、どうせあれだろう。読者モデルって、多額の金を服やメイクに注ぎ込み、クラブでらんちき騒ぎをおこして乱交パーティなんかしつつ、怪しげな会員制クラブに入り浸り、そこで成金ベンチャー社長に口説かれてほいほいついていったあげく、ドラッグとかにはまるような連中に決まっている。『闇金ウシジマくん』で見たんだから、間違いないはずだ。
そんな連中が、心をささえてくれるっていったいぜんたいどのような言葉なのか。怖さ半分でパラパラッとめくってみたところ、なんだろう、このざわつくような、世界にひとりで放り出されたような気持ち。
たとえば、「夢」について、雑誌「Popteen」(角川春樹事務所)で行われた「イケメン王者決定戦SNAP」で「イケメンNo.1」に輝いた実績を誇る大倉士門の言葉を引用してみよう。
「迷って迷って立ち止まったっていいやん。そんなにすぐ答えだしてさ、あとあと後悔するよりも、悩んで悩んで悩むほどほんまにいい答え出るし自分が納得いくようになってんねんて、自然と。遅すぎるってことなんてないんやで。生まれてから何年も何年も一緒にいる自分やろ? 自分がよぉわかってるはず。いっぱい悩もな。」
どうだろう。こんな言葉が悩んでいる若者の心には、グサッと突き刺さるのだろうか。もし筆者が初対面でこんなことを言われた日には、「悩んだ末に無職になってしまったのですが、まだ悩んでいてもよろしいのでしょうか?」という本音を打ち明けることもできず、拳を握りしめて俯き気味に「はあ……」と言って、財布を置いてそそくさと立ち去ってしまうだろう。
前述したÅsaの言葉も引用してみよう。ちなみに、雑誌「CHOKi CHOKi girls」(内外出版社)などで読者モデルを務め、ファッションブランド「WE GO」のモデルとしても活躍している方である。名前は「オーサ」と読む。人生でまったく役に立たない知識かもしれないが、一応覚えておこう。
「今の私は泣き虫でさみしがり屋で弱いけど、大人になったら泣けなくなるの? 弱音も吐けなくなるの? だったら今は、がむしゃらに正直にわがままに生きたい!!」
おっちゃんはな、キミくらいの歳のときは、そりゃあもう奥歯とクチビル噛みしめてたもんや……。『アオハライド』みたいな甘酸っぱい青春おくるやつを怨嗟の混じった目で見つめてたんや。そや、おっちゃんはキミとは違う、いわば“モブキャラ”やったんや。「がむしゃらに正直にわがままに生きたい!!」ができるのも、家の中だけやったんやで……と、なぜか関西弁になり、自分語りしたくなってしまう。ちなみに大人になってからもモブキャラである。週に8回は泣いている。こんな大人もいるということを、ぜひÅsaちゃんは認識してほしいものである。
「CUTiE」「CHOKi CHOKi girls」などで活躍し、一部では、かわいすぎる読者モデルとして有名な古関れん。「人間関係」について綴った彼女の言葉を見てみよう。
「全部のものを大事にしたいと思うけど、この考え方こそ人を傷つけ、ひとつも大事にできてないのかもしれないと思った。」
筆者も、ギャルゲーですべてのキャラを攻略したいと思っているが、この考え方は、彼女たちを傷つけているのだろうか……。八方美人は嫌われる、ということを言いたいのか、まあ正直よくわからないのだが、あえてひとつ言わせていただくとすれば、「思った」で締めるなんて、日記か!ということである。あ、ポエムだからそれで構わないのか。
同じく「人間関係」についての言葉をご紹介しよう。「CUTiE」やらなんやらの雑誌で活躍しているイケメン読者モデル、とまんによるものである。ちなみに彼と宮崎県産の黒毛和牛「都萬(とまん)牛」は関係がないので注意しておこう。
「トラブルに巻き込まれて落ち込んだときは『これはいずれプラスに変わるマイナス』って、何においても意味のないことなんてないから、このマイナスが自分には必要で いつかプラスに変わるって思ってる!」
筆者もそれは常々思っている! 炎上しても、陰口たたかれても、若い女子にばい菌を見るような目で見られても、いずれプラスになるって信じている。おそらく来世あたりだとは思うが。
最後に、テレビや携帯ドラマにも出演経験がある知名度の高い(らしい)読者モデル、こんどうようぢのお言葉を紹介しておこう。
「恋ってなんだろう。好きってなんだろう。まだ俺にはわからないけど、たぶん俺が好きになるときは この人と笑って泣いて ずっと一緒にいたいなんて そんな当たり前のことを考える前に、この世界が2人きりで ずっとぐるぐる回ればいいのになんて ありえないことを考えるんだろうな。だってまだ恋の方法なんて 俺には全然わからないんだもん。2人でぐるぐる回っている間に 恋を見つけられればいいかな、なんて。」
これは共感できる! だって、筆者もようぢくんと同じで、「まだ恋の方法なんて全然わからないんだもん」。ようぢくんと同じように、この世界がまだ見ぬ恋人と「2人きりでずっとぐるぐる回ればいいい」って思ってるもん。まさか、大人気読者モデルと同じ立ち位置に肩を並べられるとは……。もしかして、童貞をこじらせすぎて魔法使いとなった今、本当に魔法が使えるようになったんじゃないのか。
いや、やめよう。実はわかっているんだ。暗いモニターに写っているのは、妖怪ウォッチではなく、水木しげる先生寄りの、ハゲが進行している妖怪だってことは……。どうやったって、読者モデルのようなイケメンにはなれないってことも。仮に同じ立ち位置だったとしても、“みんなにモテモテだけど、恋という感情がわからないので恋に踏み込めない、恋知らず”と“彼女がほしくてたまらないのに誰にも相手にされない、恋知らず”では天と地レベルの開きがあるってことも。
ああ。なんか言葉尻をつかまえて自分を励まそうとした反動で、半端じゃない虚無感だ。10時間ほど動けそうにない。
とまあ、このように、将来的に彼・彼女らの黒歴史として残ること確実なポエムの数々が載せられた本書。タイプしているだけでも指が震えてしまうほどに破壊力は抜群だ。筆者のような、世の中を恨みたっぷりに見上げている非リア充にとっては胸をかきむしりたくなるような内容が満載である。だが、同時に弱い立場である非リア充が、リア充をあざ笑うことができる貴重な書でもあるので、ぜひ読んでいただきたい。
そうやって彼らをバカにしてる時だけはタイトルにあるように、「ボクらの心をささえ」てくれるかもしれないから。
(オンダヒロ)
最終更新:2014.08.21 08:08
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