安倍晋三の新型コロナ対応を見て「福島原発事故の菅直人の方がはるかにマシだった」の声が拡散…どっちが酷いか、徹底検証!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
安倍晋三の新型コロナ対応をみて「福島原発事故の菅直人の方がはるかにマシだった」の声が拡散…どっちが酷いか、徹底検証! の画像1
左・安倍首相/右・菅直人元首相(首相官邸HPより)


 東日本大震災とそれに続く福島第一原発事故から9年目の今年、当時の吉田昌郎所長ら原発所員の奮闘を描く映画『Fukushima50』が公開されているが、そこで強調されていたのが、当時の首相の菅直人の醜態だった。映画の内容は事実の歪曲も指摘されているが、菅が周囲の反対を押し切って福島第一原発に乗り込み、喚き散らし、現場を混乱させる描写は、観客に“悪夢の民主党政権”というワードを否応なく思い起こさせる仕掛けになっている。

 しかし、一方で今年の3.11は、新型コロナ感染拡大の渦中だったことで、まったく逆の声も聞こえてきている。「震災のときは菅直人のことを批判していたが、新型コロナの安倍首相の対応を見て考えが変わった」「今回の安倍首相と比べたら、菅や枝野のほうがずっと必死で真摯だった」「安倍があれだけ後手後手対応と失態を繰り返しているのを見たら、原発事故のとき、安倍が首相だったらと思うとゾッとする」……。

 なかにはかつての民主党支持者の身びいきも散見されるが、今回の新型コロナ感染における安倍首相を見て、原発事故での菅直人のほうがましだったと思い直す声が数多く上がっているのだ。

 それくらい安倍政権のコロナ対応が酷いということなのだろうが、しかし、両者の対応を冷静に比べても、菅首相のほうが危機対応としてはるかにまともだと感じる部分は多い。

 もちろん、9年前の菅の行動にも問題はあった。“イラ菅”と呼ばれる性格丸出しに側近や東京電力幹部、官僚らを怒鳴りあげ、自由な発言を封じ込める。細かい現場の問題にまで口を挟んで、混乱を助長する。こうした行動は、民間の事故調査報告書でも「関係者を萎縮させるなど心理的抑制効果という負の面があった」「無用な混乱やストレスにより状況を悪化させるリスクを高めた」という言葉で批判されている。

 しかし、少なくとも当時の菅直人には、安倍首相にまったくない必死さ、当事者意識があった。当時の記録や各種資料を読むと、菅や官房長官の枝野幸男が事故発生直後から官邸に泊まり込み、不眠不休で対応にあたり、なんとか原発事故を抑え込もうと、自ら矢面に立って動いていたことがよくわかる。

 そのスピードも、世間の印象とは逆にかなり素早いものだった。東日本大震災が発生した当日の段階で、菅は原子力安全委員会から班目春樹委員長を呼び、その後、班目委員長を官邸に常駐させ、いつでも助言を求められる体制をつくっている。質問に官僚がまともに答えられず、東電本店からも情報が上がってこないと見るや、補佐官や秘書官を動員して、経産省、原子力安全・保安院、東電本社から情報収集に当たらせた。

 さらに、こうした“正規ルート”からの意見以外に、外部の専門家からのいわゆるセカンドオピニオンまで求めている。菅自身の母校である東工大の同窓生を頼って、首相独自のブレーンチームをつくり上げ、こうした専門家を次々と内閣官房参与に任命した。この対応は「船頭が多過ぎる」との批判を招いたが、とにかく菅は、自ら必死で情報収集しようと動いていたのだ。

 事故翌日の早朝に、福島第一原発視察に踏み切ったのもその姿勢の表れだった。この視察は映画『Fukushima50』でもっとも批判的に描かれていた部分で、ベントが菅のせいで遅れたかのような描写は事実と異なるが、それでも実際、この視察が現場に負担をかけたのもまぎれもない事実だ。マスコミからも「政治的パフォーマンスで事故対応を妨害した」と総攻撃を受け、政権維持に大きなダメージとなった。

 しかし、当時の資料や証言を読むと、菅がたんに政治的パフォーマンスで乗り込んだわけではないことがよくわかる。というのも、この視察は、官房長官の枝野幸男や経産相の海江田万里ら側近からこぞって反対されていたからだ。とくに枝野は、最高指揮官が官邸を離れることによって生じるリスクというより、現場に行くことで直接的な責任が生じ、政治的に批判されることを恐れて強硬に反対していた。

 だが、菅は当時、東電本店にベントが遅れている理由を聞いても、まったく答えられないことに苛立ち、直接、現場視察を決意。枝野らの反対を「(責任ある判断をするため)短い時間でいいから自分の目と耳で現場を把握したい」と押し切って、福島原発に乗り込んだ。つまり、あれだけ批判を浴びた視察だが、菅にとっては情報不足のなかで決断するために不可欠な行為だったのである。

 しかも、この視察には一定程度の効果もあった。福島第一原発の吉田所長はわめき散らす菅に相当な不快感をもち、政府の事故調査・検証委員会の調書でも批判的なコメントをしていたが、菅はまったく逆だった。菅の著書『東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと』(幻冬舎新書)を読むと、この視察で何より現場責任者である吉田昌郎所長に会い、人物を見極めることができたことが最大の収穫だったと書いている。実際、菅はこの現場視察以降、吉田所長を信頼し、東電本店よりも現場の判断や報告を重視するようになった。そして、この菅の姿勢が、東電本店より現場がイニシャティブをとれる流れをつくりだしたともいえる。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

安倍晋三の新型コロナ対応を見て「福島原発事故の菅直人の方がはるかにマシだった」の声が拡散…どっちが酷いか、徹底検証! のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。安倍晋三新型コロナウイルス福島原発事故編集部菅直人の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 維新の野党共闘ディスが悪質!吉村知事も“暴言王”足立康史と一緒に
2 Dappi運営会社社長が、“安倍の懐刀”元宿自民党事務総長の親族の土地に家を
3 Dappi運営企業と取引報道の自民党ダミー会社は岸田、甘利が代表の過去
4 葵つかさが「松潤とは終わった」と
5 大阪に看護師不足は維新のせい!橋下徹は看護師の給料を「バカ高い」と攻撃
6 安倍晋三が杉田水脈の名簿順位を上げ、あの初村元秘書の公認ゴリ押し
7 『ひるおび!』出演者のバービーが番組の野党の扱いに疑問!
8 甘利明が「スマホは日本の発明」「消費税の使途は社会保障に限定」の嘘
9 吉村知事の大阪府は「時短協力金」支給も大幅遅れでダントツ最下位! 
10 岸田首相に「話が長くて中身がない」「何を言いたいのかわからない」と悪評
11 山口敬之の逮捕をツブした中村格の警察庁長官就任に広がる抗議!
12 有名ネトウヨ「Dappi」の正体は自民党が取引先のウェブ制作会社!
13 佳子内親王の「姉の一個人の希望を」に批判殺到はおかしい
14 小田嶋隆・武田砂鉄対談 後編 糸井重里と松本人志をあらためて語る
15 眞子内親王をPTSDにした小室圭さんバッシングの裏にある差別的本質!
16 辻元清美が自らの不正への対応を語って甘利明に説明要求!
17 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
18 ネトウヨDappiと自民党の関係が国会で追及されるも岸田首相はゴマカシ
19 すぎやまこういち死去報道で封印された歴史修正主義と性差別肯定発言
20 東山紀之が“反ヘイト本”を出版
1Dappi運営企業と取引報道の自民党ダミー会社は岸田、甘利が代表の過去
2有名ネトウヨ「Dappi」の正体は自民党が取引先のウェブ制作会社!
3甘利明が「スマホは日本の発明」「消費税の使途は社会保障に限定」の嘘
4『ひるおび!』出演者のバービーが番組の野党の扱いに疑問!
5甘利幹事長に「闇パーティ」広告塔疑惑
6ネトウヨDappiと自民党の関係が国会で追及されるも岸田首相はゴマカシ
7Dappi運営会社社長が、“安倍の懐刀”元宿自民党事務総長の親族の土地に家を
8岸田首相の解散直前『報ステ』単独出演に「放送の中立性欠く」と批判殺到!
9辻元清美が自らの不正への対応を語って甘利明に説明要求!
10維新の野党共闘ディスが悪質!吉村知事も“暴言王”足立康史と一緒に
11岸田首相に「話が長くて中身がない」「何を言いたいのかわからない」と悪評
12安倍晋三が杉田水脈の名簿順位を上げ、あの初村元秘書の公認ゴリ押し
13すぎやまこういち死去報道で封印された歴史修正主義と性差別肯定発言

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄