池袋暴走事故で元通産官僚の容疑者を逮捕せずネットで批判…元検察幹部の人身事故でも逮捕見送り恣意性丸出し捜査

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
池袋暴走事故で元通産官僚の容疑者を逮捕せずネットで批判…元検察幹部の人身事故でも逮捕見送り恣意性丸出し捜査の画像1
元通産官僚の容疑者を逮捕せず(警視庁HPより)


 東京・池袋の都道で乗用車が暴走し、横断歩道を自転車で渡っていた31歳の母親と3歳の娘がはねられ死亡したほか、8人が重軽傷者を負った事故。運転していた男性は87歳の高齢で「アクセルが戻らなくなった」などと説明しているというが、警察は車体にトラブルが確認できないことから運転操作を誤った可能性を視野に捜査しているという。

  相次ぐ高齢者運転者による事故が社会問題となるなか起きてしまった痛ましい事件だ。報道によれば、乗用車は二つの交差点に赤信号を無視して進入。ドライブレコーダーに残された記録によると、同乗していた80代の妻から「危ないよ、どうしたの?」と声をかけられた男性は「どうしたんだろう」と返したものの、その後もスピードを上げていったという。男性は警察に対して事故を起こしたことを認めている。

 他方、ネット上で大きな関心が高まっているのは、警察が男性を逮捕していないことだ。各社の報道を総合すると、警察は男性がけがをしていることや証拠隠滅の恐れがないことから逮捕はせず、回復を待ってから詳しく事情を聴くという。

 Twitterなどでは、男性が通産省(現経産省)の元官僚で、大手機械メーカー・クボタの副社長などを務めた経歴に注目が集まり、「警察が忖度して逮捕しなかった」などという声が多数あがっている。さらには「上級国民」なる言葉までもがトレンドに浮上。〈日本が階級社会であることが証明された〉〈これぐらい功績を残しとけば数人轢いても逮捕されないのか〉などというのである。

 たしかに、池袋で事故を起こした男性が元高級官僚であったことは事実だ。男性は東京大学工学部卒業後、1953年に通産省の工業技術院計量研究所に入った。工業技術院は様々な研究を行う通産省の行政機関である(2001年に国立研究開発法人産業技術総合研究所に統合再編)。部長や所長などを務め、1986年にはトップの院長に上り詰めた。

 男性の経歴からは、一貫して技術・研究畑を歩んだエリートであったことが窺える。1986年に工技院長を退官した後も、国際的な技術系組織の委員などを務めながら、1991年にクボタへ常務として再就職。98年に同社副社長、2000年に顧問となった。2015年秋の叙勲では瑞宝重光章をうけている。

 いま、ネット上で「逮捕されなかった理由」として取りざたされている「上級国民」なる言葉は、こうした男性の官僚経験や社会的地位を意識したものだろう(ネット上では〈上級国民だから無罪か〉などという書き込みも散見されるが、逮捕と起訴は法的に別行為なので、これは早とちりである)。

 一般論としては、交通事故等に限らず、加害者を逮捕するかどうかは警察の裁量次第であることが多く、事件の悪質性に加えて、健康状態や容疑の認否などを考慮して、これまで人身事故の加害者を逮捕しなかったケースがないわけではない。

 ただし、今回の事件を機に、あらためて「警察は逮捕するかしないかを恣意的に決めている」との疑念が生じること自体は、至極まっとうではある。

 事実、加害者の様々な事情を考慮して逮捕しないケースがある一方で、容疑の認否や高齢等にかかわらず警察が身柄を拘束するケースはザラにある。とりわけ、今回のような複数人の死傷者を出した重大事故の場合は加害者が逮捕されることのほうが多いだろう。

 たとえば昨年1月9日、群馬県前橋市で通学途中の女子高生2人がはねられて一人が死亡、一人が重体となった事件では、同日夜に警察は運転していた男性を過失傷害の容疑で逮捕している(のちに検察は過失運転致死傷の罪で起訴)。男性は当時85歳と高齢だった。池袋事故のケースと同じく、加害者が容疑を認め、自身もけがを負ったが、群馬県警は在宅捜査ではなく逮捕したわけだ。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

池袋暴走事故で元通産官僚の容疑者を逮捕せずネットで批判…元検察幹部の人身事故でも逮捕見送り恣意性丸出し捜査のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。検察池袋暴走事故石川達紘編集部警視庁通産省逮捕の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 大阪・松井市長が高市早苗と同じく公文書否定でカジノ用地鑑定談合ゴマカシ
2 葵つかさが「松潤とは終わった」と
3 橋下徹に恫喝された女子高生が告白!
4 三浦瑠麗問題に「週刊文春」「週刊新潮」は完全沈黙する理由!
5 高市早苗が統一教会問題でも“嘘”、領収書偽造、勝手に収支報告書修正も
6 放送法解釈変更は氷山の一角!安倍官邸は同時期、あの手この手で言論弾圧
7 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
8 維新は優生思想政党! 馬場幹事長がれいわ舩後議員の「生きる権利」発言を否定
9 トム・クルーズもハマる宗教の裏
10 高市早苗と赤旗が「政治資金規正法違反」報道でバトル!
11 テレ朝で『モーニングショー』統一教会報道中止、ネット動画削除!
12 「カジノ用地疑惑」追及が松井市長から恫喝・嫌がらせ受けるも新事実を敢然と報道
13 岸田には安倍が乗り移っている! 政策だけでなく答弁も
14 吉本芸人「ほんこん」のサムすぎるネトウヨぶり!
15 岸田政権の“改憲”の本命「緊急事態条項」はこんなに危ない!
16 自衛隊スパイ事件、官邸が解禁の理由
17 コロナ第8波で三浦瑠麗、たむらけんじが医療機関を攻撃、非難殺到!
18 『報ステ』ディレクターの自殺と原発
19 乃木坂46橋本奈々未が背負った貧困
20 ICAN無視の安倍政権に吉川晃司が
1高市早苗が統一教会問題でも“嘘”、領収書偽造、勝手に収支報告書修正も
2大阪・松井市長が高市早苗と同じく公文書否定でカジノ用地鑑定談合ゴマカシ
マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄