検察OBは人を轢き殺し容疑を否認しても逮捕されないのか? ゴーンと対照的な“元特捜部長”への処分

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OBは特別扱い(検察庁HPより)


 日産自動車のカルロス・ゴーン前会長をめぐる事件で、ゴーン前会長とともに逮捕されていたグレッグ・ケリー日産前代表取締役が25日深夜、保釈された。検察側は保釈を不服として準抗告していたが、東京地裁に退けられた。

 検察は、ゴーン前会長については特別背任容疑を持ち出して3度目の逮捕に踏みきり、保釈を阻止したが、ケリー前代表取締役にはそれができなかったというわけだ。

「容疑を否認したら逮捕して身柄拘束」という“人質司法”が常識となっている日本の司法にあって、これは異例のこと。ゴーン逮捕以来、国際社会から先進国ではあり得ない勾留を批判されているなか、裁判所が配慮したということだろう。

 ただし、このケースが突破口になって、日本の前近代的な司法が変わるのか、というと、そんなことはまったくないだろう。

 というのも、「容疑を否認したら逮捕して身柄拘束」という原則はこれまでも、相手によって恣意的に運用されてきたからだ。権力にたてついたり、告発したりした人間は、微罪でも長期勾留される一方、権力者、政治的な絡みがある相手、検察や警察といった身内に対しては、よほどのことがないかぎり逮捕しない。日本の司法はまさに「法の下の不平等」状態が横行しているのだ。

 最近も元検察幹部に対するありえない処遇が明らかになった。相手を死亡させる交通事故を起こし、容疑を否認したにもかかわらず、逮捕されないまま、10カ月後になってようやく書類送検されるという結果に終わったのだ。

 この元検察幹部とは、東京地検検事正、名古屋高検検事長などを歴任した石川達紘弁護士。しかも、石川氏はたんに検察幹部だったというだけではない。かの「ロッキード事件」の捜査に関わり、1989年に東京地検特捜部長に就任。以降、検察幹部として「東京佐川急便事件」で金丸信・自民党副総裁や、「ゼネコン汚職事件」で中村喜四郎元建設相の逮捕に関わったほか、野村証券などの「四大証券事件」では次々と社長、会長の身柄を取り、「大蔵省接待汚職」に至っては新井将敬衆院議員の逮捕許諾請求を国会の場でやってのけた(新井議員は直後に自殺)。事ほどさように「逮捕」にこだわり、名実ともに“特捜検察の鬼”の名をとどろかせた人物でもある。

 問題の事故は、東京都港区白金で2月に起きた。トヨタの高級車「レクサス」を運転していた石川氏は道路の路肩でいったん停車し、知人を乗せようとした際に急発進して暴走。歩道を歩いていた37歳の男性をはねて死亡させ、さらに道路脇の金物店に突っ込んで建物の柱やシャッターなどをめちゃくちゃに壊す大事故を起こした。警視庁担当記者の話。

「石川さんはギアをドライブにした状態で、パーキングブレーキをかけて停車しました。その状態のまま運転席から降りようとしてドアを開けたそのとき、バッグを落としたので拾おうとした際、誤って左足でアクセルを踏み込んだとみられていました。しかし、石川さんは頑として自分の過失を認めようとはしなかったんです」

 警視庁は、通常の交通死亡事故なら現場を所管する高輪警察署に任せるところだが、容疑のかかった相手が検察の大物OBだけに本庁が捜査に乗り出し、交通捜査課が担当した。

「交通捜査課が直接乗り出すケースといえば、大規模なバス事故をはじめ、交通事故を偽装した殺人事件などのように法令適用の難しい案件ばかり。特定の個人が起こし、隠し立てのできない事故現場がある今回の交通事故捜査に本庁が当たるようなことはまずあり得ないですね」(前出・警視庁担当記者)

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