松嶋尚美の“虐待を受けた子どもは暴力を振るう”は根拠のない差別だ! 坂上忍の松嶋擁護も排除を強化させるもの

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偏見を松嶋に「気にする必要ない」とフォローした坂上忍の無自覚

 松嶋の発言は放送中から大炎上し、SNS上には批判的なコメントが大量に書き込まれた。松嶋本人がそれを知っていたのかどうかはわからないが、松嶋はCM中に自身の発言について気に病んでいたようで、その日の番組の最後にはMCの坂上忍が松嶋に対して「全然気にする必要ない。そんなものは。主婦の人たちの、ある一定の感情を代弁してくれたかたちにはなったし」とのフォローを入れる場面もあった。

 坂上の言うように、松嶋の発言はある種の人たちと同じ感情・意見ではあるだろう。しかし、それは誤解に基づいた偏見・差別であり、公共のメディアで垂れ流したり、ましてや正当な意見であるかのように代弁されるべきものではない。

 松嶋の発言は、虐待被害者を排除しようとする差別主義者たちに、排除する側にあたかも正当な理由があるとお墨付きを与える、きわめて悪質な発言だ。そして、本来、加害者である親への支援や、社会的介入の必要性を示すための論拠であるはずの「虐待の連鎖」という考えを、逆に被害者である子どもへの差別・排除を正当化するための根拠に転倒させてしまう、いかにも現在の日本の差別社会を象徴するような発言でもある(ちなみに松嶋に対して出自を持ち出して攻撃するような言説も散見されるが、出自と今回の発言とはなんの関係もなく、それも差別だということを強調しておきたい)。

 このように差別を正当な意見であるかのように扱う風潮こそが、差別を増殖させていることを松嶋と坂上は自覚するべきだろう。「気にする必要はない」などとフォローするのではなく、むしろ訂正と反省を表明するべきだった。

 現在、虐待相談対応件数は右肩上がりを続けていて、2017年には13万件を突破した。数字の増加自体は、かつては表面化していなかったものが問題意識の高まりによって、声をあげられるようになってきたためという面もあるだろう。しかし、児童相談所の数は足りていない。たとえば、現在、東京都内に児童相談所11カ所しかなく、対応しきれていない状況がある。

 児童相談所を増設することは急務であり、そのために必要なのは、偏見に基づいた劣情の発露でなく、冷静な視点の報道なのだ。

最終更新:2018.12.22 01:04

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