伝説のまま逝った森田童子は全共闘世代の挫折感を癒す存在だった…親交のあった劇作家が素顔と音楽を語る

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
moritadouji_01_20180704.png
リバイバルヒットした森田童子の『ぼくたちの失敗』

 4月に亡くなっていたことがわかった森田童子。森田といえば、1975年にファーストシングル『さよなら ぼくの ともだち』を発表して注目を集め、当時の若者からカルト的な支持を受けていたフォークシンガーだが、その素顔は謎に包まれていた。本名は非公開、人前ではサングラスを外さず、アルバム7枚、シングル4枚を発表して、1983年に事実上の引退。1993年に『ぼくたちの失敗』がテレビドラマ『高校教師』(TBS系)の主題歌となり、シングルCDが100万枚近くのリバイバルヒットとなったが、そのときも表舞台に出てくることはなかった。

 そして、森田が伝説のまま逝ってしまったいま、その音楽をリアルタイムで感じたことのある人も少なくなっている。いったい彼女は当時の若者にとってどういう存在だったのか。そして、その素顔は……。森田の歌のファンで彼女と親交があった劇作家の高取英に話を聞いた。

 高取が森田童子と知り合ったのは、森田がデビューしたすぐあと、1976年から1977年のことだったという。

「『音楽全書』(海潮社)という音楽誌で森田童子について書いたのですが、彼女のマネージャーでイラストレーターの前田亜土さんから連絡がありまして。前田さんと親しくなって、それから付き合いが始まったんです。公表してませんでしたが、前田さんは森田童子のパートナー、夫でもあった」

 以後、高取は森田のライブに足しげく通い、ライナーノーツも執筆したり(『森田童子全集Ⅲ a boyア・ボーイ』などに収録)、森田も高取の演劇の公演に顔を見せるようになった。そして、お互いの音楽、演劇に批評文を寄せ合う関係になったという。

「私が作った芝居『少年極光 (オーロラ) 都市』の音楽を作っていただいたこともあります。僕の詩に曲をつけるのに、『私、人の詩に曲つけたことないんですよねー』って言うから、『好きにしていいですよ』と、彼女のいいと思う形に変えてもらって、3曲作ってもらいました」

 高取は当時、自分たちが森田童子に強く惹かれた理由について、こう分析する。

「森田童子が登場したのは全共闘運動が挫折して、少し経った頃。彼女の歌はその全共闘世代の心情、挫折感に寄り添うものでした。たとえば、仲間がパクられた日曜の朝、といったことを歌ったり、高橋和巳の『孤立無援の思想』から来ている『孤立無援の唄』、爆弾教本の『球根栽培法』から来る『球根栽培の唄』といった歌があったり。彼女自身は全共闘世代より少し若くて、運動のピークの頃はまだ高校1〜2年でしたが、東京教育大(現筑波大学の前身)の紛争に関わっていたという話もあった。どこかのセクトに入ってるとか、高校全共闘みたいなかたちでやっていたというのはないとは思うけれど、その文化や気分はすごく色濃く共有しているアーティストでしたね」

 全共闘世代の心情を代弁し、支持を集めているミュージシャンはたくさんもいたが、森田がほかの誰とも違っていたのは、彼女の歌が“弱さ”に光をあてていたことだった。

「森田さんのライブって客が泣くんですよ。死んでいってしまった友人を歌にした『さよなら ぼくのともだち』って歌で、泣き出す人も出てくる。歌っている森田さんも歌いながら涙をぬぐう。全共闘世代って、強がったり過激ぶったりするのが習性で、自分の弱さをさらけだせない人が多かったんですが、森田童子の歌を聴いていると、その弱さを隠さなくてもいい気がしてくる。たとえば(映画監督の)高橋伴明さんは早稲田大学の学生運動出身で、すごい武闘派だったんですが、森田童子が好きだと言っていました。そういう人でも森田さんの歌に感動するんです」

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

伝説のまま逝った森田童子は全共闘世代の挫折感を癒す存在だった…親交のあった劇作家が素顔と音楽を語るのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。全共闘森田童子高取英高橋南平の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 週刊誌の秋篠宮バッシングは官邸が発信源か?
2 萩生田発言が大阪12区補選に影響!安倍首相が窮地に
3 萩生田光一の問題は消費税延期論でなく「ワイルド改憲」発言
4 橋下徹が岩上安身リツイート裁判で矛盾を追及され逆ギレ!
5 上野千鶴子「東大祝辞」へのワイドショーコメントが酷い!
6 橋下徹に恫喝された女子高生が告白!
7 松尾貴史「日本を壊しているのは安倍さん」
8 ウーマン村本がよしもと社長からの圧力を激白!
9 ブラックホール会見でNHK記者“日本スゴイ”質問に世界が失笑
10 マツコ「安倍首相は馬鹿」にネトウヨが
11 美智子皇后が誕生日談話で安倍にカウンター
12 報道特集が中曽根の慰安所作りを報道
13 葵つかさが「松潤とは終わった」と
14 ゴーン逮捕“国策捜査説”を裏付ける経産省メール
15 維新応援団・野村弁護士が懲戒、橋下徹にも請求が
16 秋元康の東京五輪に椎名林檎が危機感
17 東電が福島原発の廃炉作業を外国人労働者に押しつけ
18 秋篠宮が「大嘗祭」には秘密の儀式が
19 自衛隊スパイ事件、官邸が解禁の理由
20 吉本興業が社をあげて法務省PR!
1国民健康保険料が大幅値上げ、年間10万円増額も
2安倍首相と省庁幹部の面談記録ゼロ!安倍政権“公文書破壊”の実態
3石野卓球がワイドショーに勝利した理由
4忖度道路めぐり安倍の直接指示の新事実が
5安倍首相が「桜を見る会」に『虎ノ門ニュース』一行を堂々招待
6安倍が“忖度道路”の要望書を提出、山陰自動車道でも利益誘導
7上野千鶴子「東大祝辞」へのワイドショーコメントが酷い!
8 塚田「忖度」発言は事実! 麻生利益誘導の疑惑
9イチローに国民栄誉賞を断られ安倍政権が赤っ恥
10野党議員をデマ攻撃「政治知新」の兄・自民党県議を直撃!
11NHKで国谷裕子を降板に追い込んだ人物が専務理事に復帰
12維新勝利で橋下徹が「反対した年配の人が死んじゃった」
13中村文則が安倍政権批判に踏み込む理由
14 『あさイチ』の「中高生に韓国が人気」企画炎上の異常
15 安倍首相「桜を見る会」招待状が8万円で売買との報道!
16菅官房長官「令和おじさん」人気の正体!
17ゴーン逮捕“国策捜査説”を裏付ける経産省メール
18「あつまれ!げんしりょくむら」以外も…原子力ムラの醜悪SNS戦略
19衆院補選で安倍自民党が大惨敗の予想が!
20 ピエール瀧出演の『麻雀放浪記2020』に“安倍政権への皮肉”

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄