照ノ富士に「モンゴルへ帰れ」のヘイトヤジ…それを肯定したスポーツ新聞と黙認した日本相撲協会の差別体質

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日本相撲協会公式サイトより


 稀勢の里が劇的な逆転優勝をおさめ、大きな注目を浴びた大相撲春場所。ケガを押して勝ち取った優勝が感動を呼び相撲ファンは熱狂したわけだが、その一方で残念なことも起こった。照ノ富士へのブーイングとそれに関するメディアの報道である。

 3月25日に行われた大相撲春場所14日目で、モンゴル出身の大関・照ノ富士は関脇・琴奨菊に勝利。左膝にケガを抱えた状況で臨んだこの一戦で照ノ富は立ち会いで変化、はたき込みで琴奨菊を破ったのだった。

 この内容を受けて観客は大ブーイング。「そこまでして勝ちたいんか」といった罵声が飛んだ。そのヤジのなかには「金返せ」、「勝ったら何でもいいんか」というものに加え、「モンゴルへ帰れ」というヘイトスピーチに類するものまであったという。

 確かに、大関が下位力士相手に立ち会い変化をすることは一般的にはあまり褒められたものではないとされており、優勝をかけた大一番ならいっそう、そのような取組を行うことが批判の対象になるのは仕方がないことなのかもしれない。

 しかし、それと「モンゴルへ帰れ」というヤジが許されるかどうかはまったくの別問題だ。そもそも、照ノ富士にこれだけ強いヤジが飛び交ったこと自体に、差別的な側面がある。というのも、千秋楽で横綱である稀勢の里は照ノ富士に対し立ち会い変化を見せて勝利しているが、これには前述のような怒号は飛ばなかったからだ。

 また、これに対する報道もひどかった。照ノ富士と琴奨菊の一戦を報じたウェブ版のスポーツ報知は、「照ノ富士、変化で王手も大ブーイング!「モンゴル帰れ」」と見出しをつけて報じた。

 ヘイトスピーチのヤジを好意的に受け止めているとも読めるこの見出しには批判が殺到。津田大介氏もツイッターで〈法務省がガイドラインとして「アウト」と示しているのにそれを否定せず(何なら肯定的な文脈で)見出しに使う報知新聞が一番アウトではこれ……。「美しい国」だよまったく。〉と苦言を呈するなどしていた。

 これを受けて報知新聞社は翌日、見出しから「モンゴル帰れ」の部分を削除。また、記事本文にある「モンゴルに帰れ!」「恥を知れ!」などのヤジ紹介部分も削除したうえ、29日にはウェブサイト上に〈大関・照ノ富士関の記事と見出しで、観客のヤジを記述した部分に、ヘイトスピーチを想起させる表現がありました。人権上の配慮が足りず、不快な思いをされた皆様におわびします。〉と謝罪のコメントを出した。

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