室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第2回ゲスト 山口二郎

室井佑月が野党共闘を支える政治学者・山口二郎に「ワイドショーが野党を取り上げたくなる過激作戦」を提案

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室井佑月と山口二郎が安倍政権の倒し方を語る。


 室井佑月がさまざまなゲストとともに安倍政権との闘い方を考える連載対談「アベを倒したい!」。スタートから大きな反響が寄せられ、室井がテレビから干されないか心配になるほどだが、それでも、彼女の舌鋒は止まらない。第2回は、市民連合の中心メンバーでいまも野党共闘の継続に奔走している“闘う政治学者”山口二郎をゲストに迎え、野党が安倍政権に対抗していくためにはどうしたらいいのかを忌憚なく語り合ったのだが、室井の口からはなんと「民主党をわざと分裂させてドラマチックな展開にしたら」というとんでもない提案が……。今回も炎上必至、ぜひ最後まで読んで、野党のありようをいっしょに考えていただきたい。
(編集部)
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●「ポスト・トゥルース」時代の安倍政権との闘い方

 

室井 山口先生、お久しぶりです。2年くらい前、法政大学で先生の講義を半年受講させてもらって。その節はお世話になりました。

山口 室井さんは授業中でも物怖じせずにどんどん質問してくるから、周りの学生はビビっていたね(笑)。でもいい刺激にもなった。北海道合宿にも参加してくれたし、かなり積極的な生徒だったな。

室井 本気で政治を勉強したかったんです。無知だと一方的にやられるだけじゃないかって気付いたの。だから今回も先生にたくさん質問したい。先生は民主党や小沢一郎さんの政策ブレーンもつとめられていたわけでしょ。なぜ、安倍さんがどんどん強くなって、野党はそれに対抗できないのか。私はまず、メディアの問題が大きいと思っているんですけど。国会答弁でもテレビは安倍さんの都合の良い場面ばかりを流している。もしテレビがきちんと安倍さんを批判していたら、いまのような状態にはなっていなかったと思う。

山口 たしかに、いまのメディア、特にテレビは、自民党の宣伝機関に成り下がっているから、野党は圧倒的に不利だね。でも、それだけじゃない。たとえばアメリカでなぜトランプが勝ったのか。彼は滅茶苦茶な暴言や、矛盾する言動を繰り返して、それがメディアでも盛んに批判されていた。多くの良識派からは「バカ」だとさえ思われていた。でも、それが実際の支持率の低下に繋がることはなかった。“ポスト・トゥルース”という言葉がEU脱退を機にイギリスから始まり、世界的な現状を説明する言葉として一気に広まりましたよね。日本語で言うと、“脱真実”“脱事実”ということになるんでしょうけど、つまり「真実を適当に捏造したり粉飾しても別にいい」というニュアンスなんです。あるいは、嘘をついてもいい、と。感情的訴えでもあるポスト・トゥルースがいま、人々の欲求と合致してしまった。不愉快な真実よりも、快いデタラメ、フィクションに飛びつく。面白ければいい。そんな感覚です。自分たちにとって耳当たりの良いことが“事実”であり、それが求められる。こうして一種の反知性主義が跋扈すると、生真面目さが取り柄だった従来のリベラルは、不利な状況に追い詰められていく。そんな現実が、世界的に広がりつつあるんです。

室井 だから先生は東京新聞の連載の書き方を変えたんですか? 昨年くらいから、先生の文体がガラリと変わって、挑発的というか、言葉が強くなっている。ネトウヨを怒らせるような表現がすごく増えているでしょ。ちょうど今日の対談前、前回のゲストでもある金子勝先生とラジオ(※室井氏がレギュラー出演している文化放送ラジオ『大竹まことゴールデンラジオ』のこと)でも盛り上がったんですよ。「山口先生は狙ってキレているんじゃないか。あれはキレ芸だ」って(笑)。

山口 その通りです。正攻法で真面目に批判しているだけでは、こちらの主張は広がっていかない。中間的な読者を引きつけたり、右翼を怒らせたりするには挑発的な言葉を吐く必要がある。安倍的なもののいかがわしさ、インチキ臭さをわかってもらうためには、理屈ではないところで闘いを広げていかないと。

室井 実は、前回の対談でも同じようなこと、話したんですよ。あたしが言ったのは、ネトウヨやネトサポがやっている卑劣なやり口を真似るというもの。偏った報道をしたマスコミがあったら、みんなで集中攻撃をする。「政権べったりの御用報道だ!」って大きな声を上げていく。左派の人はメディア全体を批判することはあっても、具体的、局地的に批判することが少ないじゃないですか。だから「このテレビ局がおかしかった!」と名指しで批判する。じゃないと勝てない。

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