南京虐殺を否定する“歴史修正主義新聞”産経が「旧日本軍が婦女子も虐殺」「犠牲者は40万人」と報道していた

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〈日本軍はまず、撤退が間に合わなかった中国軍部隊を武装解除したあと、長行(揚子江)岸に整列させ、これに機銃掃射を浴びせて皆殺しにした。
 虐殺の対象は軍隊だけでなく、一般の婦女子にも及んだ。〉
〈こうした戦闘員・非戦闘員、老若男女を問わない大量虐殺は二カ月に及んだ。犠牲者は三十万人とも四十万人ともいわれ、いまだにその実数がつかみえないほどである。〉

 当時の「サンケイ新聞」1976年6月23日付に掲載された、連載記事「蔣介石秘録」第497回のなかにある記述だ。小見出しには「南京大虐殺の悲劇」と記されており、また、日本兵による中国兵・民間人虐殺の“手段”も具体的に書かかれている。

〈虐殺の手段もますます残酷になった。下半身を地中にうめ、軍用犬に襲い掛かからせる“犬食の刑”、鉄カギで舌を貫いて全身をつるしあげる“鯉釣り”、鉄製のベッドに縛りつけ、ベッドごと炭火のなかに放り込む“ブタの丸焼き” ──など、考えられる限りの残忍な殺人方法が実行された。〉

 こうした産経の記述を素直に読めば、日本兵は中国兵だけでなく一般人も対象として極めて無残な虐殺を行い、その犠牲者は30万人どころの話ではなく「三十万人から四十万人」であると受け取れる。つまり産経は、自身が「荒唐無稽」と批判する南京事件の「虐殺30万人説」、いやそれよりも10万人も多い「40万人説」までをも、自社報道で大々的に展開していたのだ。これは、どういうことなのか。

「蔣介石秘録」は、産経新聞が74年から76年まで計666回にわたって長期連載したもので、のちに同名で書籍化、サンケイ新聞社(当時)から刊行されている。執筆したのは産経新聞論説副委員長もつとめた古屋奎二氏で、「社長を説得して台北に連載の準備室をつくり、『蒋介石が生きているうちに証言をとろう。歴史の証言を書くんだ』と、しゃかりきに資料や情報を集めていた。とにかく妥協しない人で、大漢和辞典を手元に置いて原文を読み込んでいた。大変な勉強家だった」(産経新聞2000年9月15日付)という。

 しかし、繰り返すが、現在、産経は「30万人説は中国のプロパガンダだ」「30万人説はウソだから南紀大虐殺はなかった」と、「蒋介石秘録」とはまったく逆の主張をしているのだ。これをどう説明するのか。

 実は、産経は2014年12月24日付記事のなかで、〈「『30万人虐殺』は中国側の一方的な宣伝であり現実にはあり得ない」との立場だ〉と明言しつつ、〈産経新聞も過去に犠牲者数を「30万~40万人」と紹介したこと〉については〈これは中国国民党が保有する記録などに基づいて執筆された〉とサラっと流しただけで、その自社報道をしっかり「検証」したことは、これまで一度たりともないのだ。

 「南京事件」の被害者数については1万人から30万人まで諸説あるが、本サイトはその人数の多寡を問題にすることは歴史の矮小化だと考えている。しかし、他のメディアに対して「30万人説は中国のプロパガンダだ」と血祭りにあげながら、自社の報道についてほおかむり、というのはあまりにご都合主義が過ぎるのではないか。

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